緊急速報:ダイエーの社長就任が噂される林文子氏とはこんな人
2005年03月03日
ダイエー再建の支援企業に、丸紅とアドバンテッジパートナーズの連合が内定しました。丸紅はダイエー社長に、林文子ビー・エム・ダブリュー東京社長(58)を充てる意向で産業再生機構側との調整に入っているようです。最初林氏の名前を聞いて意外に感じた人も多いのではないでしょうか。私も最初はそう感じました。その理由は、同氏が自動車セールス一筋というキャリアの持ち主だからです。しかしよく考えると、日本最大の再生企業のトップを担う適任者という見方も可能だと感じてきました。新生ダイエーのシンボルとしても、十分に魅力的な人選かもしれません。まずは、同氏のキャリアをご紹介します。情報源は、『ダイエー社長候補、林文子氏の素顔――ほめて語って実績抜群』(2005年3月3日 日経産業新聞 24面)です。
林さんは高校卒業後、6つの会社を転々とした。振り出しは東洋レーヨン。その後、松下電器産業などに勤務。結婚後も仕事を続けるが、アシスタント業務が中心で、希望の営業職には就けなかった。
転機は今から28年前。国産の小型車を購入したが、営業マンの対応がいま一つ。「私ならもっとうまくできるのに」。男性営業職を募集していたホンダの販売会社(横浜市)の門をたたき、「女性には無理」と渋る相手を説き伏せた。
1977年に念願の営業職に就いてからは「1日100人と話すまでは帰らない」と自分にノルマを課し、次から次へと玄関のベルを鳴らす。車だけでなく映画や音楽の話をしたり、訪問先の奥さんの悩みを聞いたり――。「とにかく人が好き」というセールスウーマンは1カ月後には営業所でトップになり、1年に145台もの車を売った。
これ以降、林氏はドイツ系の自動車販売業界の中で、着実にキャリアアップしていきます。
87年には独BMWの日本法人「BMWジャパン」の100%子会社であるBMW東京の世田谷支店に転身。。通常の営業職が平均年20~30台のところ、4年で400台の高級車を販売し、社内でかなりの話題に。
1999年にヘッドハントでファーレン東京(現フォルクスワーゲン東京)の社長に就任、4年で売り上げを倍に。フォルクスワーゲングループジャパンの梅野勉社長は「人のやる気を引き出す経営者だった」と振り返る。
20003年に熱烈なラブコールを受け、古巣のBMW東京の社長に就任。「店で先頭に立ち、お客様をおもてなしするのが理想の店長」という考えから、販売店の店長室を廃して会議室に変え、顧客満足度の向上に努めた。
この略歴から明らかなように、林文子氏はセールス一筋のキャリアです。これまで問題企業の再建を任されてきた、コンサルティング業界出身の戦略家や企業再生の専門家(Corporate Turnaround Specialist)でもありません。セールス畑出身だけに前向きなエピソードが多いのは事実です。しかし、BMW時代には、トップとして厳しい処置も断行しています。
販売店の合理化にもメスを入れ、昨年11月に横浜市などの5店舗を中古車販売大手に譲渡した。ただ、その際は転籍を拒む従業員が続出するなど苦渋も味わった。セールスウーマンとしての実績は抜群だが、経営者としての力量には未知数の部分もある。
林さんが最終的にダイエーの社長兼CEOになるかは不透明な面も残る。しかしどんな肩書になっても新生ダイエーの「顔」になるのは間違いない。かつて「車の購入権は奥さんが握っている」と見抜き、妻の心をつかむことに力を入れた林さんが「主婦の店」として創業したダイエーを復活させられるのか。再生機構、支援企業、取引銀行の思惑が交錯する中、林さんの厳しい戦いが始まる。
林氏が丸紅側の思惑通りダイエー社長におさまるまでには、さらなる紆余曲折も予想されます。焦点となるのは、機構側がダイエーの社長の資質として何を最も重視しているのかでしょう。もちろん、戦略家で実務家であり、グレートコミュニケーターであり、シンボリックにダイエーの新しい姿を体現できる人材がベストであることは確かです。
しかし、そのような理想的な人材が稀有であることも事実です。林氏のキャリアから考えて、ダイエーに顧客思考(CS)の基本に立ち返る精神を注入することや、社内のコミュニケーションを活性化するという面では、これ以上の適材はいないでしょう。
HPの再建を委ねられたのも、外部から招聘された女性CEOのフィオリーナ氏でした。彼女の場合は、志半ばでHPを去ることになりましたが、再建のスタートを対外的にアピールする面では、シンボルとして大きな働きがありました。日本最大の再生企業のトップに女性が就任することになれば、同じようなインパクトも期待できます。なおフィオリーナ氏は、世界銀行の次期総裁候補に名前が挙がってくるほどですので、逸材であることは変わりありません。
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