各社横並びで提供する無料ブログサービスには消耗戦に突入した兆候も見える
2005年03月16日
有料のレンタルサーバを利用してブログを書いている者としては、ヤフーが2GBまで無料のYahoo! BLOGを始めたという話を聞いて驚きました。他を圧倒する大容量サービスを提供することに踏み切ったのは、他のポータルサイトに大きく遅れを取ったブログの分野で、一気に巻き返すことを狙ったからでしょう。果たしてそんな大容量がキラーサービスになるのでしょうか? 約1年前に始めたこのブログの現在の使用量は、150MB程度にしかなりません。ヤフーにすれば、これから10年以上も無料で使える計算になります(そんなに続ける気持ちはありませんが)。
手を変え品を買え登場してくる無料のブログサービスですが、実際には各社ともその台所事情は苦しいようです。 情報源は、ヒット中の「ブログ」、いかにお金を生むビジネスに結びつけるかが最大の課題です。
デザインをテンプレート化し、更新作業が容易な簡易ホームページ作成サービス「ブログ」の勢いが止まらない。「livedoorブログ」「gooブログ」「エキサイトブログ」「はてなダイアリー」など、開設数は軒並み10万件という大台を突破している。
表向き、各社は久々にヒットしたコンテンツに歓喜している。今後注力するコンテンツとしてブログを柱の一つに掲げる事業者も多い。ただ、内情は複雑だ。アクセス増加に伴うサーバー増強の負担が拡大しているためだ。「1秒間に20件もの更新がある。つい先日もサーバーを大幅に増強したばかり」(NTTレゾナント・パーソナル事業部の村井説人チーフプロデューサー)。
ブログがヒットしたのは、更新が簡単なうえ、お互いの記事にリンクを張り合う「トラックバック」という仕組みが斬新だったためだ。その分、「極めてサーバーに負荷がかかる構造」(イーナチュラルの齋藤伸也代表取締役)になっている。
「ココログ」を提供するニフティは、サービスを開始した2003年12月、アクセスが集中してサービスが停止、2004年4月にも記事更新ができない状態に陥るなど、身をもってブログの“怖さ”を知る事業者の一つだ。そのため、現在ではサーバーの増強に加え、ネットワーク計測ツールを導入し、負荷状態を常に監視する体制を整えている。
こうした負担の増大は加速する一方で、収益化の方向性は見えない。現在ブログサービスは原則無料で、別途サービス内容を拡充した有料コースを設けている事業者がほとんどだが、この課金モデルの成果は芳しくない。「どの事業者も有料コースの利用率は1割に満たないはず」(ニフティのソーシャルシステム部の中泉隆部長)という現状だ。
30%くらいのユーザは、有料サービスにスイッチしているのではないかと想像していました。実際には10%以下とは、その低さに愕然とします。これに加えて、ブログの構造からして、再構築やトラックバックの際にトラフィックが大量に発生するという問題もあります。収益化の見込みのない設備投資負担は、今後も増加する一方でしょう。
現在、ISP以外で無料のブログサービスを提供しているところも、多数あります。消耗戦に近い状態が続けば、このうち何社かのサービスは休止になったり、大手に吸収されることになると思います。そう予想するのは、ブログと同じように明確なビジネスモデルを確立するのが難しいSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)では、既にその兆候が見え始めているからです。 昨年8月にスタートした、招待不要で参加可能なSNSの「UUME」が突然サービスを休止しました。 情報源は、SNSという難しいビジネスです。
国内SNSの多くが確固たるビジネスモデルを持たずにスタートしていた中、UUMEは「コミュニティを企業のマーケティングツールとして販売する」という明確な方針を持っていた。中国で成功していることもあり、確実に収益をあげられる初のSNSになるかと期待したが、残念な最期となってしまった。
SNSの運営は難しい。サービスを拡充してユーザー数を伸ばすほどサーバ負荷が増え、個人情報の厳格な管理が求められる。システム面の不具合対応に加え、人間関係のトラブル対応まで運営側に迫られることもあり、運営企業の負担は大きい。
最大手のmixiは3月、GREEは2月末にそれぞれ1周年を迎えた。mixiは現在、アフィリエイトに加え、バナー広告やコミュニティを使った広告、有料機能と収益源を拡大。2位のGREEは昨年末に株式会社化して以降、デザインやインタフェースを改善してユーザー数を14万人以上に伸ばすとともに、タイアップ型広告を導入。SNS専業企業として収益アップを図っている。
UUMEは米国の会社が運営していたSNSですので、特殊なケースかもしれません。外資の場合は、儲からないビジネスと判断すれば、撤収するのに躊躇しませんから。サービス中止に至るまでの事情は、あるSNSの最期――ドタバタの末に幕を閉じた「UUME」に詳しく述べられています。
突然にサービスが中止された時の最大の被害者はユーザです。迷惑を蒙るという点では、無料ユーザであろうと、有料ユーザであろうと違いはありません。しかし、未経過分の料金の返還の手間がないだけに、無料サービスの方が十分な予告期間なしに打ち切りになる危険性は高くなります。
心配になるのはユーザの個人情報です。極端な場合は、勝手にユーザ情報が第三者に転売されてしまう可能性もないとはいえません。個人的な意見としては、ある程度無料サービスを試してみて、本気で続ける気になったら、有料サービスに移行した方が安全ではないかと思います。
ブログは、本質的にはネット上の日記です。日記は後日読み返して見て、思い出に浸ることができなければ日記の役割を果たせません。サービスが勝手に中止されて以前に書いたものが消えてしまうのは、ブログの楽しさの半分を失うことと一緒です。無料サービスを利用している人も最悪の場合を想定して、バックアップを取る労を惜しむべきではないと思います。
最後にビジネスブログらしく、ビジネスの話を少しします。各社横並び型のISPのサービス展開には疑問が残ります。1社が無料ブログを始めれば、一様に大手ISPは追随します。全てのユーザが無料ブログを必要としているわけではありません。大半は低価格で安定したインターネット接続サービスを求めているだけでしょう。1社くらいは、無料ブログやサーバスペースを提供しない代わりに、料金を引き下げるISPが現れてもいいはずです。年配者向けに通話機能しかない携帯電話「ツーカS」を投入して成功した発想と同じです。 無料ブログがないと顧客が逃げそうで心配であれば、独立したブログサービスと提携するという方法もあります。
大手ISPはどこも収益率の低さに悩んでいます。それを打開するようなユニークなビジネスプランを打ち出すところもありません。ブログの場合で言えば、現在の最大の悩みは日々大量に発生するコメントやトラックバックのスパムです。各ISPとも、ウィルスメールのフィルタリングサービスはオプションで提供しています。これからのISPが基本サービスで差別化できる分野は、スパム対策であることは間違いありません。IP電話や動画配信サービスは、あくまでもオプションです。
もちろん、ITU等でも論議されている問題であるスパム対策は、本来世界共同で取り組むべき課題で、一ISPレベルで解決すべき問題ではないことも理解しています。しかし、末端ユーザとしては、自分にスパムが来なくなれば助かることは間違いありません。スパムを強力にフィルタリングできるブログサービスが登場すれば、有料であっても利用者は激増するでしょう。
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