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楽天三木谷社長の立場からから見たライブドアのフジテレビ買収劇

2005年03月18日

ライブドアがフジテレビにTOBを仕掛けることになって、ホワイトナイト候補として急浮上してきた企業が楽天です。プロ野球新規参入で争ったライブドアと楽天が、再び激突することになるのでしょうか。 まず最初に、村上ファンド代表の村上世彰氏が、保有するニッポン放送株の引取りを楽天の三木谷社長に持ちかけた昨年のエピソードを紹介します。敵対的買収との画策と思われたくなかった三木谷社長は、すぐさまフジテレビの日枝会長に面談を申し込みました。 情報源は、『楽天がフジサンケイに接近』(日経ビジネス 2005年3月21日号 p.6-7)です。

日枝は知らせてくれたことに感謝しつつも、ニッポン放送株問題は、フジサンケイグループ内で解決できると回答。そして楽天側が望んだ業務提携についても「ぜひ進めたい」と応じ、両者の交渉はプロ野球問題で中断したものの、継続されていた。

これ以降、両社の業務提携に関して目立った進展はなかったようです。しかし、ライブドアのニッポン放送株取得が明らかになると、話は一転して現実味を帯び始めます。

その関係(フジテレビと楽天の関係)が一層蜜になったのは、ライブドアによる29%を超えるニッポン放送株の大量保有が発表された直後だった。フジテレビ側と楽天はライブドアの発表の2日後、今年2月10日から実務者同士が接触していた。

「大変なことになっちゃうんじゃないですか」
楽天側の心配をよそにフジテレビ側は事態を楽観しているようだった。
「ライブドアの案件はそんなに切迫した問題ではないんじゃないですか」

この部分を読んでも、初動段階でフジテレビ側がことの重大さを理解していなかった様子がうかがわれます。今さらながら、脇の甘さを指摘されてもしょうがないでしょう。

当初、楽天内部では、フジテレビ側との業務提携を踏まえて、「ホワイトナイト」として登場することも検討された。しかし、それについては、「プロ野球の時の二の舞はやめた方がいい」。つまり、プロ野球問題では楽天がライブドアの上前をはねたような印象を持たれ、一時期楽天批判が続いたことを指している。

実務者レベルでの交渉では、フジテレビが第三者割当増資を実施し、それを楽天が受ける、また、ニッポン放送が行い、結局東京地裁の仮処分で差し止めとなったフジテレビを引き受け先にする新株予約権の発行を中止し、改めてニッポン放送が楽天を引き受け先にした第三者割当増資の可能性なども検討されていたようだ。

けれども、「司法が介入するディールには関わらない方が賢明」との三木谷の判断から、フジテレビ側とは三木谷と日枝とのトップ同士がまず大きな流れで合意することが大切とのスタンスに変わりつつある。

以上の話を時系列的に整理してみました。
1)昨年よりフジテレビと楽天は業務提携を積極的に進めることで合意
2)ライブドア、楽天のプロ野球参入問題で、業務提携の話は一時中断
3)ライブドアがニッポン放送の買収プランを発表
の順番になります。

この記事が真実だとすれば、元々楽天とフジテレビは業務提携の話があったことになります。そこに突如ライブドアのプロ野球新規参入問題が起ります。どうしてもプロ野球球団がライブドアの手に落ちる事を避けたかった旧体制側は、同じネット業界の楽天に白羽の矢を立てます。

三木谷社長は、そもそもプロ野球球団経営には興味がなかったようです。しかし、財界首脳陣からの強い要請を受けて参入への名乗りをあげて、球団の獲得に成功します。しかし、世間の受け止め方は三木谷社長の想定を超えるものになりました。最初に手を挙げたライブドアが善玉(Babyface)で、後から現れて横取りした恰好の楽天は悪玉(Heel)になってしまいました。世間の風の冷たさに懲りた三木谷社長は、フジテレビの件では極力距離を置こうとしている節が見られます。

三木谷社長の立場から一連の事件を眺めると、全く違った構図に映るはずです。日本的に周到な根回しをしながら、フジテレビとの友好な業務提携を考えていたところに、突如としてライブドアが乱入してきて、何もかもぶち壊されてしまったというところでしょう。三木谷社長の心中穏やかでない様子が想像できるというものです。

現在、三木谷社長はプロ野球参入時の轍を踏まないように、様子見を決め込んでいる感じがあります。本当に楽天がメディアとの融合を考えているのであれば、ホワイトナイトとして名乗りをあげてみるべきだと思います。極端な話をすれば、もしライブドアのフジテレビ買収が成功したら、各メディアとも対抗上雪崩を打つようにネット企業との業務提携を進めることになるのは、間違いありません。その場合は、楽天もフジ以外のメディアとの業務提携を当然考えるでしょう。2番手群の1つとしてメディアとの業務提携を実現したとしても、またライブドアを真似したと言われるだけです。

メディアとのシナジーが重要だと思うなら、楽天はフジテレビ対ライブドアの戦いに割って入るべきではないでしょうか。機は熟しています。三木谷社長には自分の出身銀行のみずほコーポレート銀行(当時は興銀)がついています。資金調達面で有利に立てる可能性もあります。今回はプロ野球の場合とは違って、後出しとの非難を受ける可能性も少ないでしょう。最終的に第三者のホワイトナイトが漁夫の利を得る顛末は、M&Aの世界では珍しくない話ですから。果たして楽天が登場した時、堀江社長は「想定内」という言葉を使うのでしょうか?


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