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行政訴訟を取り下げたソフトバンクの変わり身の早さには節操のかけらもない(純個人的感想)

2005年03月30日

以前に、総務省を相手に行政訴訟中のソフトバンクグループが、フジテレビ問題に参入してきたことは、総務省が不快に感じるだろうと推測する内容の投稿をしました(SBIの北尾氏がソフトバンクの孫社長に事前に相談しなかったという話はマユツバ(純個人的感想))。総務省の反発を恐れてか、案の定ソフトバンク側が訴訟を取り下げることにしました。 情報源は、『携帯周波数割り当て、ソフトバンク、訴訟取り下げ』(2005年3月30日 日本経済新聞 朝刊 9面)です。

ソフトバンクが携帯電話事業への参入を巡り、総務省を相手取って昨年10月に起こした行政訴訟を29日付で取り下げたことが分かった。周波数800メガ(メガは百万)ヘルツ帯での参入を求めたが、総務省は既存事業者に割り当てる方針を示していた。フジテレビジョンとの連携も視野に入るだけに、放送免許を所管する総務省を刺激したくないという思惑ものぞく。

総務省は800メガヘルツ帯をNTTドコモとKDDIに割り当てる案を昨年8月に発表。ソフトバンクは「既存事業者だけに割り当てるのは不当」と訴えた。その後正式に免許申請したが、同省は却下し対立が続いていた。

ソフトバンクは「総務省が方針を決めた以上、訴訟を続けても意味がない」と表明。今後は新たに割り当てられる1.7七ギガ(ギガは10億)ヘルツ帯などで携帯参入を目指す。

想定内の動きです。そう考える理由の1つは、ソフトバンクが大々的に訴訟を起こした後に取り下げた前例があるからです(ソフトバンクBB、イー・アクセス小畑氏への訴訟取り下げ)。この時の提訴した相手は、通信業界団体の情報通信技術委員会(TTC)の委員長であったイーアクセスの小畑至弘取締役でしたが、監督官庁である総務省に牙をむいたのは今回と同じことです。

ここで考えてみたいのは、ソフトバンクが法廷闘争をどのように位置付けているかということです。取下げとなった2件とも、ソフトバンク側の代理人を務めたのは、牧野法律事務所の牧野二郎弁護士です。ライブドアのように短期間に代理人を替えたりはしていません。ソフトバンクは、提訴に踏み切る際には、牧野弁護士も同席の上でマスコミ向けに派手に発表しています。

素人考えかもしれませんが、このように取下げを繰り返すだけでは、代理人となる弁護士は面白くないはずだと思います。もし成功報酬で弁護料が決まるようであれば、なおさらでしょう。しかし、ソフトバンク側の弁護士は一貫して同じ人が務めています。このような事実からは、ソフトバンクが最初から法廷での決着を視野にいれているわけではないようにも推察できます。

ソフトバンクは、提訴も自社のビジネスディールを有利に運んだり、自社の主張の正当性を世間に広く訴える手段として考えているのではないでしょうか。つまり、訴訟もPR戦略の1つということです。この辺も従来の日本企業には見られなかった欧米型企業の発想なのかもしれません。

提訴・取り下げを繰り返してばかりいると、今後は世間がソフトバンクを狼少年扱いするような可能性もでてくるでしょう。提訴する時は派手(High Profile)にぶち上げても、取り下げる時の引き際は極めて地味(Low Profile)です。例えば、総務省を行政訴訟した時には、孫正義社長は次のような大風呂敷を広げています。情報源は、「100年でも戦う」:携帯電話への参入を目指すソフトバンクが行政訴訟です。

牧野氏は訴訟の法的争点について、電波法第26条に規定された公平かつ合理的な資源再配分が行われていないこと、ソフトバンクBBの新規参入が妨げられることによる経済活動の自由の侵害、平等原則に対する違反、意思決定が恣意的に行われた根拠が見いだされれば公務員倫理規定法違反、共同不法行為が立証されれば民法違反などが該当する可能性があると説明した。

通信の監督官庁を相手取り行政訴訟を起こしたことについて、孫氏は「この世に神がいるのなら100%勝つ。最高裁まで進んで正しいと思える結論が得られなければ、世界の世論に訴えても戦い続ける。100年でも続ける」として、技術的観点から議論して出される結論と総務省の意思決定の乖離をあくまで追及する意思を示した。

これに加えて、ソフトバンクは、意見広告を新聞各紙に掲載して、国民に携帯電話の周波数割当に関するパブリックコメントを出すように訴えかけるプロモーションまで展開しました。この結果、孫氏のビジョンに賛同した人からの膨大な量のメールが総務省に寄せられています。

国民を巻き込んで、「最高裁まで進んで正しいと思える結論が得られなければ、世界の世論に訴えても戦い続ける。100年でも続ける」とまで宣言した訴訟の取り下げ理由が、「総務省が方針を決めた以上、訴訟を続けても意味がない」とは、いかにもお粗末です。厳しい見方をすれば、孫氏に乗せられて抗議メールを送った人を侮辱したことにもなるでしょう。

法廷闘争もビジネスディールの一環と考えるソフトバンクの戦略を完全に否定するわけではありません。しかし、世論を巻き込んで戦おうというのであれば、それなりの落としどころを考えてから行動して欲しいと思います。フジテレビ問題との関係から、総務省との関係修復を最優先した結果でしょうが、後味のスッキリしない行政訴訟でした。

今回の取り下げがフジテレビ問題の「大人の解決法」に深く関係しているようであれば、その解決策の中身にも不信感がつのってきます。大人の汚さに嫌気がさして、子供の堀江社長の応援に回る人が増えるのかもしれませんね。

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