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楽天イーグルスのオーナー三木谷浩史氏は、選手起用法に口を挟むべきか?

2005年04月18日

楽天の三木谷浩史社長のインタビュー記事が、日経流通新聞に掲載されました。 「トップの戦略」と題する比較的扱いの大きな記事で、中身もプロ野球効果からメディア事業参入まで多岐にわたっています。その中で、私が注目した部分を抜粋します。 情報源は、『楽天会長兼社長三木谷浩史さん――3000万会員が資産』(2005年4月18日 日経流通新聞MJ 3面)です。

――50年ぶりに新規参入したプロ野球が始まりました。戦力不足の課題や球界改革をどう考えますか。
「楽天野球団はトップを目指して成長し続ける楽天グループの体現者、象徴です。今回の参入はここからどう良いチームに作り上げられるかがテーマ。プロだから勝たなくてはならず、合理的な補強はしますが、資金だけで選手を次々引っ張るつもりはありません」

「実は1年以上前から参入を検討していました。ライブドアの参入表明とは関係なく、当社の発表するタイミングが後になったのです。野球もサッカーも参加企業はゲーム上は敵ですが、ビジネスでは仲間。みんなで発展する意識を持たないとダメです」

――楽天の知名度は高まりました。
「30、40代が中心の顧客層が50代以上に広がり、新しいビジネスチャンスが生まれました。3月末から楽天シニア市場という通販サイトを設け、文字を大きくするなど使い勝手を工夫しています。次は証券取引、旅行予約を使ってもらうよう手を尽くします」

球団保有により拡大したファン層を取り込むべく、着々と布石を打っている姿がうかがえます。三木谷社長は、自らのマネジメントスタイルを「体育会系」と称して、自由奔放さを特徴とする他のネット企業のトップとの間で一線を画そうとする向きが見られます。ビジネス哲学に対する質問に関しては、以下のように答えています。

――社内に張り出す「成功のコンセプト」の一番目にも「常に改善」とあります。前をみてジャンプするネット企業とは異なる印象です。
「当社の社風は世界のネット企業でも異色と思います。初めから成功しなくていい。進みながら考えて、チームで解決していきます。サイトの取扱高だって創業当初の月13万円から、今は360億円になり、そして800億円を目指している。今日よりは明日、明日よりあさってと考えて動くのです」

6月予定の国内信販(福岡市)買収で従業員数は1000人余りから約2500人に急増。「東北楽天ゴールデンイーグルス」の本拠地は仙台市、国内信販の営業所は全国にまたがる。月曜朝8時からの全社員集会や三木谷社長が主催する社員の誕生月を祝う会など、風通しの良さが成長力の源泉だった。グループで20社超に膨らんでも大企業病に陥らないか、経営手腕が試される局面だ。

これだけ楽天グループが大きくなると、グループを率いる者として考えなければならないのが権限委譲の問題です。どこまで現場の責任者に日常のビジネスの采配を任しておくべきか? このエリアは、今まで率先垂範で事業を牽引してきた三木谷社長にとっても、未知の挑戦となる部分が大きいのではないでしょうか。

低迷する楽天イーグルスの選手起用方針に関して、現場の指揮官と三木谷氏との間で、権限委譲にからんだ問題が浮上する兆しが見られ始めました。 情報源は、「おじさん軍団」正念場、楽天、借金2ケタ目前、三木谷オーナー「若手に機会を」(2005年4月18日 日本経済新聞 朝刊 37面)です。

楽天の“おじさん軍団”が開幕19試合で正念場を迎えた。日本ハム相手に早くも今季4度目の3連敗を喫し、5勝14敗と借金は2ケタ目前。三木谷浩史オーナーは「もっと若手に機会を与えた方がよいのでは」と話し、ベテラン重視を公言する田尾監督の方針に疑問を投げた。

この日のスタメン9人は平均年齢31・3歳。不振にあえぐ三番鷹野(31)と四番吉岡(33)は無安打。先発した金田(35)は5点を失い4回0/3でマウンドを降りた。ルーキーの平石(24)と竜太郎(28)が9回に代打でクリーンヒットを放っただけに「結果が出ていないのに何のためにベテランを使っているのか」(同オーナー)。

一方、それを伝え聞いた田尾監督は、かつて在籍した阪神のお家騒動を例に挙げ「この時期に切り替えればチームがガタガタになってしまう。方針は僕が決めます」。

 チーム防御率は12球団唯一の6点台、打率も2割3分に満たない。ルーキー一場が先発する十八日の西武戦で敗れれば再び1勝3敗ペースとなり、今季「100敗」も現実味を帯びてくる。

グループ内の企業の経営方法と、プロ野球球団の選手起用方法を同列に論じることはできないこと明らかです。以降はその前提を踏まえた上での話です。 三木谷社長は、従来の球団オーナーのように「金は出すけど、口は出さない」という方針をとるべきでしょうか? それとも、積極的に現場の采配にまで意見を述べるべきでしょうか? 私は、三木谷氏がある程度オペレーションレベルの意思決定に関与することに賛成します。

若手IT企業の社長が球団経営に参入したことにより、世間では試合のネット配信とか、マーケティング面でプロ野球界に革新が起きることを期待しています。しかし、IT企業の社長に期待することはそれだけに止まりません。IT業界の特徴は、ドッグ・イヤーと呼ばれる動きの速さにあり、いずれも組織も迅速なトップの意思決定を必要とされています。

これまでプロ野球球団が赤字を垂れ流したまま放置されてきた一因は、オーナーが現場のオペレーションに介入することなく、資本と経営が全く別の方向を向いていたからではないでしょうか。こういう現状を考えると、三木谷社長が現場のオペレーションに関心を示して、迅速な対応を迫ることは、球団運営にスピード感を持ち込むという点で意味のあることだと考えられます。

但し、大事なのは中途半端に現場の監督の采配に介入しないことでしょう。今回の発言の裏には「今年はベテラン勢で結果を求めるよりは、むしろ若手育成のシーズンとしたい」という考え方があるのかもしれません。もし、そのような方針があるのであれば、十分に現場の指揮官に伝えるべきでしょう。

また、少し勝率が上向いてくると、勝ちにこだわりたくなるのも人情でしょう。そうなったとしても、簡単に方針を変えては現場の混乱を招くだけです。三木谷氏に期待したいのは、長期的な視点にたって球団経営です。イーグルスの負けが続けば、これまで「勝ち組み」の人生を歩んできた三木谷氏には、つらいことでしょう。しかし、Jリーグのヴィッセル神戸に対する経営姿勢を見ていると、この点での忍耐力に優れた人物だと想像しているのですが...


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