少しの論理的思考力と迅速な行動力さえあれば、インターネットは宝の山かもしれない
2005年04月21日
全世界が注目していた新しいローマ教皇の名前が、ベネディクト16世に決まりました。この決定が発表される2週間以上も前に、新教皇の名前のドメイン名『BenedictXVI.com』が目端の利く米国のブロガーによって登録されていたのですから驚きです。 情報源は、新ローマ教皇のドメイン名、すでに米国人が取得です。
フロリダ州ジャクソンビルに住むライターのケイデンヘッド氏が『BenedictXVI.com』の権利を取得したのは4月1日(米国時間)だった――ヨゼフ・ラツィンガー枢機卿が、ベネディクト16世という名前でローマ教皇職に就くと発表される2週間以上も前のことだ。
19日のラツィンガー枢機卿の発表直後のインタビューで、ケイデンヘッド氏はこのドメイン名の取得は神の導きというより、根拠のある推測に基づくものだと語っている。
新しく選ばれたローマ教皇は、過去の教皇にちなんだ名前をつけることが多い。そこで、メディアが先月、先代のヨハネ・パウロ2世が危篤状態にあることを発表した際に、ケイデンヘッド氏は新教皇が選ぶ可能性のある名前を検討し、ドメイン名の取得を開始した。
結局取得できたのは全部で6つ――BenedictXVI.comの他に、『ClementXV.com』(クレメント15世)、『InnocentXIV.com』(インノケント14世)、『LeoXIV.com』(レオ14世)、『PaulVII.com』(パウロ7世)、『PiusXII.com』(ピウス12世)――だった。『JohnPaulIII.com』(ヨハネ・パウロ3世)や『JohnXXIV.com』(ヨハネ24世)のようにすでに取得されていたドメインもある。
テクニカルライターでカトリック教徒として育ったケイデンヘッド氏は、ゲーム感覚でこのドメイン名を取得した――「サイバー・スクワッティング」で金を稼ぐためではない――と言う。さらに「自分が取得しなければ、もっと評判の悪い人間に取得されていただろう」とも語った。
ケイデンヘッド氏によると、BenedictXVI.com――ケイデンヘッド氏のブログにリダイレクトされる――は新ローマ教皇の選出以降、すでに1分間に100ヒットのアクセスがあるという。ブログの右端に並んでいる広告からの収入は19日の昼だけで12ドルになったという。
サイトを訪れた人の多くがケイデンヘッド氏に電子メールを送ってくる――このドメインを占拠することは罪だと糾弾する人もいるという。
こうしたメッセージについてケイデンヘッド氏は「考えさせられるところもある」という。「しかしそれは、(ドメインを)どう使うかによると思う」
この記事を読んで、通常のサイバー・スクワッティング(著名ブランド、企業名等のドメイン名を取得して高額で転売をたくらむこと)とは違って、特に不快感は起きません。その理由の1つは、ドメイン名の取得目的に露骨な悪意が存在しないからです。
取得したドメイン名は、ネームサーバに登録して自分のブログサイトにリダイレクトさせる目的で使っています。実際のリダイレクト先もアダルト系ではないので、それほど悪質な行為とはいえないでしょう。
もう1つは、このドメイン名を取得した方法の鮮やかさにあります。過去のローマ教皇の命名方法を分析した結果から今回の名前を論理的に推察したわけで、単なる偶然ではありません。後から聞けば、それほど難しい推論ではありませんし、誰でも思いつきそうなことです。
大事なのは、前教皇の危篤の知らせを聞いてから、次の教皇の名前の予想をして、実際に可能性の高いドメイン名を取得するまでのスピードです。その発想と実行力が今回の快挙(?)に結びついたのでしょう。
実際にBenedictXVI.comをクリックすると、ケイデンヘッド氏のブログ『Workbench』にリダイレクトされます。ブログのサブタイトル「Programming and publishing news and comment」にあるように、 通常は純粋に技術情報を発信しているサイトです。
ドメイン名取得に至る経緯を説明した記事には、全世界から多くのコメントが寄せられています。まんまとドメイン名取得に成功したことを祝福する内容が多く、口汚く罵るようなものが目立つわけではありません(コメントを全部読みきったわけではないですが)。典型的なのは、
Hey! Congratulations on getting this site! Hope you do something excellent with it!
You're a star! I just saw a blurb about your domain name on CNN Headline News (6:40 am PT)!!
Your strategy worked!! Benedict it is! I am so curious to know how this will pay off for you . . . here and in the afterlife . . .
批判が少ないのは、私と同じような感想を持ったからではないでしょうか。 皆が知りたがっているのは、このドメイン名をこれからどうするつもりなのかということです。
I was wondering if anybody had bought benedictxvi.com. Blimey. What are you going to use it for?
Why not sell it to the Vatican, with a 5-10% annual tithe? Or just a hyperlink aknowledgement... that couldn't hurt from a PageRank point of view, and would pay dividends for years traffic-wise :)
you should turn it to Roman Catholic Church.
I think if you sell it or keep it... it should not matter. Your life is not the business of others.
Very well done. Forget Ethics. Not even bibles are free.
Great to hear that you have a conscience!! Selling all of the domain names that you registered...to the Vatican...for a nominal profit...seems to be a reasonable solution. God bless you.
Of course you have an idea about what to do with the domain. As your consicence, I'm giving you strong hints that the right thing to do is to redirect the domain to the Vatican web site. You may choose to ignore me, but you already know that I'm suggesting the only ethical course of action.
世間の声なんかを気にしないで自分の好きなように使えばいいよというものから、バチカンに返せという真面目なものまで、いろいろな意見があります。私が見る限り、今のところ説得力のあるグッド・アイデアは出ていません。これはと思うアイデアをお持ちの方は、コメントしてみてはいかがでしょうか? アイデアが採用されれば、提案者もニュースとして取り上げられるかもしれません。
さらにこのサイトの今後について考えてみます。 現在このサイトでは1分間で100ヒット!あるそうです。その割には広告収入が12ドルとは、少なすぎる気がします。広告は Google AdSense の記事連動広告でした。実際に掲載されている広告を見て、少ない理由が分かりました。表示されている内容は、前教皇のヨハネ・パウロ2世に関するものばかりだからです。新しい教皇の情報を求めてサイトを訪問した人にとっては、あまり興味のない広告のはずです。
このままサイトを維持していれば、そのうち AdSense の広告内容も新しいものに置き換わってくるでしょう。例えば、『バチカンの熱い1日:新教皇はこうして決まった』『密着取材:ベネディクト16世の素顔』『独占スクープ:新教皇はかく語りき』とかの、訪問者の関心を引きそうな広告も続々登場してきます。
ここから「妄想モード」に入ります。1分間で100ヒットが続くとすれば、AdSense の広告内容次第では、1日1000ドル程度のクリック収入が期待できるかもしれません。ひと月分にすれば、3万ドルになってと... 他人ごとながら、妄想は膨らみます。
現在のところは、高額な広告収入もあがっていないので、ケイデンヘッド氏もドメイン名の今後に関してあまり深く考えていないようです。もし私の妄想のようなことが1日でも実現すると、考え方も違ってくるのではないでしょうか。
もともと不正な手段によりドメイン名を取得したわけでもありませんし、新教皇のことを知りたくてサイトを訪れた人に新教皇関連の広告をクリックしてもらっても、社会倫理に反することでもないでしょう。その気になれば、サイトをこのまま維持することは、CRIME でも SIN でもないと自分を納得させることもできます。
そうなると、ケイデンヘッド氏もドメイン名を手放すのが惜しくなってくるのが人情なのではないでしょうか。少なくとも私の場合は、金銭の誘惑に負けたりします。このドメイン名がどういう運命をたどることになるのか、注目していきたいと思います。
最後に、少し深刻な話をします。私のブログでは、政治・宗教の話題は取り扱わないことにしているのですが、今回は例外ということで。 先ほど紹介したコメントの中には、次のようなものを見つけました。ハングル混じりのコメントです。
Dokdo is Japanese ground
Japan is KOREAN ground
とか
dok-do is a land of korea, ok jap??
竹島(韓国名ドクト)問題がこんなとこにも現れています。場違いなブログのコメントにこの種の問題を持ち出しても、アラシ扱いされるのが関の山だとは思います。また、これらのコメントの投稿者が日韓間の領土問題を正しく認識しているとも思えませんし、単なる落書き気分なのでしょう。むしろ無意味な投稿は韓国にとって、逆効果である可能性もあります。
しかし、世界中からアクセスのあるブログにコメントすることは、竹島問題の存在を世界にアピールする効果はあります。やり方は低劣ではありますが、韓国側の必死さは伝わります。もちろん、これらのコメントに対抗するような日本からのコメントはありません。このような場所で反論すべき問題ではないので、そのこと自体は正しいことだと思います。
本当は、大方の日本人にとって竹島は関心外の問題だからではないでしょうか。我々も、もう少しこの問題に対する関心を高める努力をするべきだと思います。幼稚な行為とはいえ、韓国側があらゆる機会を利用して自国の主張を繰り返すのであれば、我々も適切なチャネルを通じて日本側の主張を積極的に訴えていくべきだと思います。
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コメント
勉強になりました。
世の中で話題になっていることをビジネスに活かすと
いうことは心がけていましたが・・・・話題になることを
予測して・・・というのはすごいですね。
Posted by: ビジネスノウハウ大学・内田拓男 | 2005年04月21日 11:34