アップルのジョブズCEOは洗濯機選びにも家族全員で2週間も議論する
2005年05月17日
前回の投稿(新OSタイガーは買えても、ジョブズCEOの伝記は買えないアップル直営店で、発売前のジョブズの伝記の原稿を見たアップル社が、その内容が気に食わなかったので、出版元の書籍を全て直営店から撤去することになった事件を紹介しました。
問題となった書籍 iCon Steve Jobs: The Greatest Second Act in the History of Business(邦題『アイコン、スティーブ・ジョブズ:ビジネス史上最大の復活劇』)の中身が徐々に明らかになっています。書籍撤去との理由となったのは、そのタイトルにあったようです。 情報源は、ジョブズCEOの新しい伝記『iCon』です。
| Icon: Steve Jobs, The Greatest Second Act In The History Of Business | |
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『アイコン』(iCon)とはうまいタイトルだが[英語のiconには偶像、アイドルなどの意味もある。タイトルはそれをアップル社の製品風に表記(写真)したもの]、簡単な事実確認のため、同書の原稿が送られてきたさい、アップル社はタイトルの変更を求めた。だが、出版元の米ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社がこれを拒否したため、アップル社は先月、直営小売店の棚からジョン・ワイリー社の書籍をすべて引き上げた。
アップル社の直営店がジョン・ワイリー社の売上に占める割合は大きくないが、この話は報道で大々的に取り上げられた。それがいい宣伝になったことから、ジョン・ワイリー社は同書の印刷部数を倍に増やし、発売日を1ヵ月早めて5月16日(米国時間)とした。
おそらくアップル社は、中身のない偶像崇拝という意味を連想させる icon という言葉そのものが気に入らなかったのでしょう。さらに、そのアップル風のデザインも、意匠権を厳重に管理することによって高いブランド価値を維持している同社にとって、許せなかったのかもしれません。
例えば、これが若干意味は違いますが、日本でも経営者を表現する場合によく用いられるでカリスマ(charisma)あたりだったら、問題は起きなかったように考えられます。しかし、charisma では、アップル製品を象徴する "i" で始まらないので、使えなかったのでしょう。
タイトルを別にすれば、本書の中身はジョブズ氏本人、アップルにとって好意的な内容が多いようです。ジョン・ワイリー社側も「驚異の企業再生物語」と謳っているほどですから。この記事を読む限りでは、アップル側の過度の対応がいい前宣伝になったので、結果としてはむしろ出版社のビジネスに好影響を与たことになりました。
アップル製品の生命線はそのデザインにあります。本書でも、ジョブズCEOのデザインへのこだわりに関して多くのページが割かれているようです。その中でも、特徴的な記述は以下の部分です。
ヤング氏とサイモン氏は同書の中で、ジョブズCEOをデザインに強くこだわる人物として描いている。それを象徴するのが、以下に引用する、家族で「完璧な洗濯機」を探しまわるエピソードだ。
「しゃれた目新しい機械」を作るだけがデザインではないという考えを強調するため、ジョブズCEOは、家族全員で、ほかでもない、新しい洗濯乾燥機選びに取り組んだ話をしたのだ。億万長者のジョブズ一家が、それまであまり性能のよくない製品を使っていたというのは、いささか想像しがたい話だが、新しい洗濯乾燥機選びは家族総がかりのプロジェクトになった。そのさい大きな問題となったのは、ヨーロッパ製を買うか、米国製を買うかという点だ。ジョブズCEOによると、ヨーロッパ製のほうがかなり性能に優れ、米国製の4分の1の水しか使わず、洗濯物をやさしく扱うので服が長持ちするという。一方、米国製は洗濯にかかる時間がヨーロッパ製の約半分だ。
「双方のメリット、デメリットについて、家族でしばらく話し合った。話し合いは2週間続いた。毎晩、夕食の席で」――毎晩、夕食を食べながら洗濯機について会話する家族とは!――「通常、洗濯乾燥機に関して議論される点は後回しにした。話し合ったのは主にデザインについてだ」。最終的に、一家はヨーロッパ製のほうを選んだ。ジョブズCEOはこれについて、「ヨーロッパ製は値段が高かったが、それはたんに、米国では誰もヨーロッパ製を買わないからだ」と述べている。
むろん、このエピソードの重要な点は洗濯機そのものではない。ジョブズCEOが、わが子やおそらく(妻の)ローリーンにまで、デザイン重視の教えを広めていたという点だ。洗濯乾燥機選びは、ジョブズCEOにとって明らかに、普通の人が考えるより楽しい作業だったようだ。ジョブズCEOは新しい洗濯乾燥機についてこう述べている。「ここ数年の間に買った物の中で、家族全員が心から満足している数少ない製品の1つだ。この製品を作った人たちは、開発過程でとことん考え抜いている。こんな洗濯乾燥機をデザインするなんて、見上げた仕事ぶりだ」
率直に言って、洗濯機に関するデザインだけで2週間も家族で会話を続けることは私には不可能です。実際にジョブズ氏が選んだヨーロッパ製の洗濯機の製品名を知りたくなってきました。最近の日本のドラム式洗濯機も、デザインとしてはユニークだと思います。例えば、ジョブズ氏は、サンヨーのドラム型洗濯乾燥機はどう評価しているのでしょうか?
いずれにせよ、ジョブズ氏のパラノイア的ともとれるデザインへの執着が、アップルの製品に生かされていることは間違いないでしょう。問題のアップル社「非公認」の伝記は、日本時間の本日発売です。果たして出版社の目論み通りに好調な滑り出しとなるのでしょうか。
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コメント
はじめまして。
25歳のハナタレ起業家です。
発想法を少しでも気づきたく思い来ました。
更新された時は必ず見にきます。
また来ますね。
楽しみにしてます。
Posted by: yaraneba | 2005年05月17日 10:59