団塊の世代退職後の2007年問題とバブル期大量採用問題、どちらが深刻?
2005年05月17日
「2007年問題」という言葉をご存知でしょうか? これは我が国の企業の人員構成において大きな割合を占めている団塊の世代が、一挙に第一線から退く2007年以降に発生が予想される社会的・経済的問題の総称です。この問題に関する分析が、今週発売の週刊東洋経済で特集されました。 情報源は、『団塊700万人退場の衝撃-技の断絶-現場は大丈夫か』(週刊東洋経済 2005年5月21日号 28~43ページ)です。
戦後ベビーブームの1947~49年に生まれた「団塊の世代」691万人が、20077年から順次定年退職へ突入する。総人口の5.4%を成す一群の短期間での“退出”は近代以降の世界で前例がない。この現象が社会に与える影響が今、さまざまな角度から語られ始めている。
短期的には、人件費軽減がもたらす企業業績の浮上、退職金という一時所得を手にした人々の消費意欲の高まり、人手不足から来る失業率の改善。しかし中期的には、恒常的な所得減に伴い貯蓄率は低下、消費ブームも沈静化し、企業はあらためて市場縮小に対応するためのコスト削減を強化――。
この「2007年問題」に関心を寄せる河野龍太郎・BNPパリバ証券経済調査部長は「これまでとまったく違ったマクロ環境が出現、移行期のドタバタはある。が、私が楽観的かもしれないけれど、市場メカニズムが機能してハードランディングにはならない」と見る。
この後の記事として、製造現場では技術の伝承が断絶される、情報システム部門では巨大システムの保守管理ができなくなる、などの想定される問題の説明が続きます。今から2年後のこのような事態を予防すべく、各社ともそれなりの準備を開始しているのも事実です。したがって、予想されるほどの悲惨な事態は回避できるのではないでしょうか。
団塊の世代が退出した後で、これに代わる問題となりそうなのが、同じく大量採用された、いわゆるバブル期入社組に対する処遇です。すでに一部の企業では、バブル期に入社した社員を「第2の団塊世代」として問題視する動きも見られつつあります。 情報源は、『バブル入社組の遠吠え』(週刊AERA 2005年5月23日号 14~19ページ)です。
1988年~92年入社、年齢にして30代後半に当たる「バブル期入社世代」は、多くの企業で50代後半の「団塊の世代」とともに、年次構成上2つのコブを形づくっている。
「入社時に『ひと山いくら』と言われたのを覚えている(メーカー係長、37歳)
団塊の世代は2007~10年に定年を迎える。企業にとって、残る年次の歪みは、バブル期入社世代の「コブ」だ。不況で採用が少なかった団塊ジュニア(93~97年入社)、就職氷河期(98~02年入社)の世代とのアンバランスが問題になる。
ある金融機関の人事部長は、「個人的にも、それが最大の人事課題だと考えています」と語る。この金融機関は他社と合併したこともあって、バブル期入社世代の社員が他世代の1.5倍もいる。だが、組織のスリム化でポストはない。さらに、人数の多いこの世代がこのまま持ち上がれば、人件費が経営を圧迫する。
記事の中では、年収が同期入社の半分にされた例(大手化学メーカー営業職 37歳)、「バブル世代ということで、意図的に昇格からはずされている」(メーカー研究職 39歳)と訴える例などが報告されています。
これらの事例を読むと、日本型成果主義がもっとも過酷に適用されている対象が、バブル期入社組であるという印象を受けます。成果主義と団塊の世代、バブル期入社組の関係については、20万部を超えるベストセラーになった『内側から見た富士通』の著者で、現在人事コンサルタントに転身した城繁幸氏が次のようにインタビューで答えています。 情報源は、『著者に聞く「日本型成果主義の可能性」』(週刊東洋経済 2005年5月21日号 111ページ)です。
── 団塊世代が退場すれば、成果主義ブームも消える?
確かに、ある新聞社では、成果主義を導入する議論があったのですが、今年から団塊の世代が退職を始めて、人件費がガクンと下がるというので取りやめた。そういう例はほかにも多くあると思います。ただ、あと2~3年でバブル入社組みの問題が顕在化します。某新聞社では、平年の3倍の記者を採用している年がバブル期に5年ぐらいあり、彼らに与えるポストがなくて社内で大問題になっている。成果主義を入れなくてもそれはそれで大変なことになる。
やはり、バブル入社組は企業の人事政策にとって共通の問題となる可能性が高いという点では、AERAの記事と一致しています。それでは問題の解決に向けて、専門の人事コンサルタントは明確な処方箋を用意しているのかというと、どうも事情はそう簡単ではないというのが、城氏の意見です。
── 信頼できる人事コンサルタントの条件は何ですか。
日本企業の人事部で3年以上の経験があり、できれば成果主義型の人事制度を1年以上運用したことがある人。ただ現実には、この2つの条件だけで世の中の95%のコンサルタントが脱落します。
コンサルタントの多くは営業、SEの出身や新卒で、人事の本流を歩んできた人はほとんどいません。ワトソンワイアット、ヘイなどの大手も、人事の経験がない、もしくは経験があっても数十年前の人間がトップに立っているのですから。人事の分野は、本当に人材が枯渇しています。
要するに、自分のようにかつて企業において人事業務に携わった経験のあるコンサルタントの存在が貴重だという主張です。
このような団塊の世代やバブル入社組の人事問題を読んでも、私自身どうしても切実な問題という感想は持てません。それは、現在私が日本の大企業に勤めていないからかもしれません。所詮、大企業の抱える贅沢な悩みの1つと思えてしまうのは、私のひがみからでしょうか?
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