ベガで健全ファミリー路線を強化するソニーがPSPではアダルトDVDを投入
2005年06月10日
本日の日経新聞によれば、電池の持ち時間が長いソニーのメモリー型製品がiPodを抜いて、携帯オーディオプレーヤー市場で国内シェア首位に浮上したそうです(『デジタル携帯音楽プレーヤー、電機大手が本格攻勢』2005年6月9日 日本経済新聞 11面)。さすがソニーというべきでしょう。
もう1つ世界のソニーと思わせることがありました。それは、最近出版された技術経営戦略の雑誌『日経ビズテック』の7号の巻頭特集「勝手に考えるソニー再生計画」です。特集記事では、ソニーから依頼を受けたわけではないのに、国内外の一流の執筆陣が、自ら進んでソニーのリバイバルプランを提案しています。これは、ソニーの存在感の大きさを物語る証拠といえます。特集の内容は次のようになっています。【現状総括】■『構造改革打ち上げるもエレクトロニクスは浮上せず』
【提言】
■『新興国に基幹部品を外販する「インテル」を目指せ』クレイトン・クリステンセン/米ハーバード・ビジネススクール教授
■『エンタメの王様復活は「第四の娯楽」の確立から』西和彦/I・T・N・Y&パートナーズ代表取締役 マネジング・ディレクター
■『自身の役割を問い直し「ものづくり」に回帰を』常盤文克/東京理科大学大学院客員教授
■『エンターテインメント事業を切り捨て業務用機器に特化せよ』ピーター・シーリー/米ロスアルトス・グループCEO
■『ナンバー1と素材にこだわり家具まで手掛ける』成毛 眞/インスパイア 代表取締役社長
■『「ものづくり」に退行することなかれ』ヘンリー・チェスブロー/米カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院教授
■『M&Aで業界再編を先導し「成熟市場」の覇者となれ』山本一郎/イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役社長
■『OBが語る再生への処方せん』城島明彦/作家・ジャーナリスト
次期CEO就任が発表されてから約3ヶ月が経過したストリンガー氏ですが、いまのところは大きな戦略転換の方向性を示す動きはありません。しかし、細かいところでは新しい試みも見られ始めました。例えば、これまで弱いとされていた主婦層をターゲットにした新しいマーケティングプランの展開です(ソニー、主婦狙い販促 男性中心から転換)。
高性能、先進性をうたって、これまで男性ユーザーの取り込みに力を注いできたソニー(東京都品川区)が、家電製品購入の決定権を握る“主婦”をターゲットにした販売促進キャンペーンを1日から展開する。
国内販売会社であるソニーマーケティング(同港区)が、女性や主婦層へ明確に照準を合わせて、ボーナス商戦向けに売り込み攻勢をかける。対象商品の第1弾は、普及型液晶テレビ「ハッピーベガシリーズ」だ。
1日からソニーマーケティングのホームページ上で行うプレゼントキャンペーンでは、フランスの有名キッチン用品メーカー「ル・クルーゼ」のホーロー鍋セットを商品に選定。また、ベネッセコーポレーション運営の「ウィメンズパーク」、ジェイ・マーチ運営の「とくっち」といった主婦向けのウェブサイトに、今回のキャンペーンへのリンクを期間限定ではる。
チラシ、リーフレット、カタログなどの色合いにもこだわりをみせる。他社の液晶テレビ販促向けの場合は、クール、先鋭などをイメージするブルー系やブラック系が多い。それを、母、女性の“温かみ”をかもし出すオレンジを基調にして、液晶テレビ売り場で、目立つ存在にしている。
個人のCOOLなブランドから家族全体のWARMなブランドを目ざす方向性は、理解できます。ベガ製品のホームページを見ても、オレンジを基調とした暖かい雰囲気が伝わってきます。これまでのソニーのイメージを象徴するような、黒が基調のQUALIAのページとは好対照です。
それではソニーは完全に穏やかなファミリー路線にシフトするつもりかというと、ゲーム機の方では、男性ユーザをターゲットにした過激な路線を狙っているから不思議です。情報源は、PSP向けアダルトビデオ、日本で発売にです。
日本のアダルトDVDメーカー2社が、自社の人気作品をソニーの『UMD』(ユニバーサル・メディア・ディスク)規格で来月からリリースする計画を発表したのだ。UMDは、今のところPSPのみに採用されている。しかもこのアダルトビデオは、正規品かどうか疑わしい怪しげな品ではまったくない。来月発売される8タイトルはソニーの正規ライセンスを受けており、パッケージにはPSPのロゴもつく予定だ。
UMD版のアダルトビデオは、h.m.pとGLAY'z(注意:どちらも露骨なアダルトコンテンツあり)から来月リリースされ、価格は1925円から3800円となる予定だ。これまでのUMDビデオでは地域コードによる視聴制限がかけられていたが、GLAY'zのパッケージの裏面を見る限り、今回リリースされるアダルトUMDは、どの国で購入したPSPでも観られるようだ。
そしてリリース予定タイトルの中に、『巨乳ナース天衣みつ』、『金城アンナ~高級ソープ嬢~』、『ロリナンパ すぺしゃる。5』といったアダルト作品が含まれているのだ。こうしたUMDビデオはさまざまな特殊な嗜好を満たすもので、女子学生、ナースものから、緊縛プレイ、「ソープ」を扱った内容のものまで、多岐にわたる。
アダルトビデオ導入の目的は、新規格のUMDの普及にあるようです。だとすれば、この戦略単体で考えると、十分に合理的な決定だといえるでしょう。問題は、「ハッピーベガシリーズ」で狙う健全ファミリー路線と整合性がとれるかということです。ソニーが理想とするのは、リビングルームでは家族全員でハッピーベガのテレビを見て、自室に戻ればPSPでアダルトビデオを楽しむ姿でしょうか?
最後に最近読んだ新聞記事の一部を紹介します。 情報源は、『ソニー改革、まず「役員室」――ストリンガー次期会長号令、縦割り追放へスリム化』(2005年6月3日 日経産業新聞 28面)です。
東京・高輪のホテル。2日朝、背広姿の男がぞくぞくと玄関をくぐっていった。ソニーが毎年開く恒例の「マネジメント会同」。1000人を超す経営幹部を集めた会場では、ストリンガーら新経営陣が待ち受けていた。
「SONY UNITED」。朝9時から始まったスピーチのトップバッターに指名されたストリンガーは、こんな言葉を繰り返した。「ソニーの団結。顧客視点を基軸に一丸になろう」という呼び掛けだ。
ファミリー路線のベガと、アダルト路線のPSP。完全に意志が統一されてないようにも感じるのは、私だけでしょうか? それとも、今時この程度のことは矛盾とは言えないレベルのことなのでしょうか?
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