投稿後平均7分で検索可能となるサービスの登場はグッドニュース?
2005年07月05日
また新しい検索サービスが登場しました。サービス・コンセプトは「本当に欲しい情報はグーグルのようなデパートにではなく、小回りの利くブティックにある」ということらしいです。まずは、そのコンセプトのベースとなる「ロングテール」の話を紹介します。 情報源は、「グーグルで探せない生情報が見つかる」--テクノラティを開発した理由です。
デジタルガレージ共同創業者兼顧問の伊藤穣一氏は、ブログが果たす役割が、特に「ロングテール」部分において大きいとした。ロングテールとは何なのか。例えば、ウェブで検索されるキーワードランキングを棒グラフで示した場合、ランキングのトップ部分はグラフの頭が飛び抜けているが、その飛び抜けている部分は全キーワードランキングの中ではほんの一部に過ぎない。他の大多数のキーワードは、グラフの全体図で見ると背の低い「しっぽ(テール)」の部分にあたり、検索される頻度はそれほど高くない。しかし実際にはそのテール部分のキーワードの種類は非常に数が多いため、その数に比例してグラフのテールも長くなる。つまり、人々が求めている情報の多くはロングテール部分にある、という現象を説明する際に使われる言葉だ。
伊藤氏は、「Amazon.comにしても、全売上の中で大きな割合を占めるのは、一般書店に並んでいないようなニッチな書籍の売上げだ」として、ロングテールの重要さを説明すると共に、インターネットがテール部分をより長くしているとした。今まで一般店舗などで手に入らなかった音楽CDや DVD、また各種情報が、インターネットでは簡単に入手できるからだ。ただし、テールが長くなれば長くなるほど、ユーザーはテールのどの部分が自分の好みに合うのか探しにくくなる。そこで役に立つのが、自分と趣味の合う人が発信するブログ情報というわけだ。
要するに、ユーザ個々人にとって知りたい情報はブログの中にあるということです。そこで必要になるのがブログに特化した検索サービスということになり、後半の新サービス紹介の話につながります。
このように影響力が高まっているブログだが、ブログの数自体も膨大に増えており、そこからうまく自分の求める情報を手に入れることが困難となりつつある。そこで役立つのがTechnoratiのようなブログ検索エンジンだ。
Technoratiの日本法人テクノラティジャパンは、7月1日にブログ検索サイトの日本語版「テクノラティ」を正式リリースしたばかり。米Technorati 創業者兼CEO David Sifry氏は、このサービスの特徴について、「ブログ記事が投稿されてから平均して約7分後にはTechnoratiで検索可能となるため、Google でも探しきれないような新しい情報が見つけられる」としている。現在トラッキングしているブログ数は1150万にのぼっている。ブログの数自体も増えているため、「トラッキングする数は5カ月ごとに倍増している」とSifry氏は述べている。
このサービスの特徴は、投稿後平均7分で検索可能となるところにあるようです。 そこで、早速テクノラティで、さっき投稿したばかりの記事、『55歳の主婦が年齢を原因で国立大医学部不合格となった問題を考える(素人として)』が検索可能になっているかどうかを調べることにします。検索キーワードは「医学部不合格」です。
見事に検索結果に反映されていました。同じ情報から合計18件ものブログへの投稿があったことがわかります。一番早い人は、7月1日の夜に投稿しています。元々、投稿の速さで勝負しているつもりはないのですが、遅い割にはたいした中身じゃなかったなと思ったりして、少しへこんだりもします。
さらに今日の大きなニュースの1つである「花田勝+相続放棄」で検索すると、117件ヒットしました。弁護士の正式発表を受けての投稿の最初は、16時34分でした。世の中には「早耳」で「早書き」の人がいるもんです。
私が試したように「誰が1番最初の投稿をしたか」を調べるために、テクノラティのサービスがスタートしたわけではありません。しかし、こんなサービスが普及すると、早書き競争が助長されることは間違いないでしょう。
私の経験から振り返ると、あわてて書いた投稿ほど、後で読み返すとつまらないものが多いようです。早書き競争が熾烈化すると、中身のない投稿ばかりが増えてきて、その結果ますます貴重なロングテール情報を探すのが難しくなります。結局、このサービスは開発者の思惑とは逆の方法に進む可能性もあるように思えてきたりします。
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コメント
そもそも、ロングテールって「定義により」検索するのが難しいものだと思ってたんですが... 「検索エンジンで入力したキーワードとの関連度が低い情報にも、実は役に立つことがかいてあるよ」と言うのがロングテールの精神であれば、それを発掘するのに検索エンジンを使うのは本末転倒にしか思えません。伊藤君がAmazonの例を出してますが、それを言うならAmazonでも救い切れていないロングテールはいろいろあります。例えば地図。海外に出かける時に渡航先の地図(紙の地図でなければならない、歩き回るので電子化地図は役に立たない)が必要になることが多いのですが、これがAmazonではことごとく出てきません。結局、到着後に街の書店で手に入れるハメになります。ロングテールの存在は「気づかないから意味がある」のであり、それが簡単に見いだせてしまうようになったとたん、価値を失ってしまうのです。それを乗り越えるには、少なくともGoogleがやっているような「人気」に基づくランキングは捨てなければならないはずです。そこまでわかってやってるのかなぁ... もっとも、案外簡単なところに答が転がっている可能性もありますけどね。定義をじっと見るとわかりますが、単に検索エンジンが出した結果を逆順(関連度の低い方から順に出す)に出すだけでも、ロングテールへ早く到達できるのかも知れません。
早書き競争については、情報の質以外にも問題がありそうです。私が心配しているのは、ブログが「いじめ」の道具として用いられる恐れがあること。別に早書き競争が唯一の原因ではないですが、助長要因には十分なり得ます。いじめでやっかいなのは、加害者にいじめをしている意識がないこと。たいてい、加害者はいじめの行為に対して「遊びのつもりだった」「冗談のうち」など、好意的な解釈をすべしと主張します。早書き競争も、「競争に勝つ」面を主張すれば、やはり好意的に解釈せよと言う主張になってしまいます。加えて、ブログは「他の情報をオープンな手段によりつながる」ことを本質としているため、一人になりたい時には却って害になってしまいます。「ほっといてくれ」と言ってみても、勝手に他人がトラックバックを送ることを防ぐことはできません。私はよく、マスコミが押しつけ的に流す三面記事にうんざりしています(少年犯罪の隠れた原因、彼らは大人が思う以上に感受性が強く、変な情報を流すと何をするかわからない)。何年か前までは、ブログにそれを抑止することを期待していました。しかし、「情報の押しつけ」に異を唱えるどころか、「押しつけることこそブログの基本」と言う主張が台頭してしまい、望みは絶たれました。トドメとして、ブログはマスコミと違い、特定少数に対して法的手段などにより精神的な苦痛を補償させることができません。ブログでいじめを受けた「弱者」は、マスコミ相手よりもさらに悲惨な弱者になってしまう恐れがあるのです。数年内に、ブログが人殺しをした事例が出てしまうんでしょうねぇ... さすがにブロガーはこの話題だけは取り上げないでしょう、ブログを書いている自己の否定にほかならないのですから。
'Do you see?' said Care. 'What happiness have your goloshes brought to men?'
'They have at least brought a permanent benefit to him who slumbers here,' replied Happiness.
'Oh, no!' said Care. 'He went away of himself, he was not summoned. His spirit was not strong enough to lift the treasures which he had been destined to lift. I will do him a favour.
(The Goloshes of Fortune, Hans Christian Andersen)
Posted by: 谷村 正剛 | 2005年07月05日 07:53