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米国での調査「家庭でパソコンを使える子は成績がいい」に不満な理由

2005年07月06日

このところインターネットの青少年に及ぼす悪影響の話題が多いようです。しかし、小学生レベルではパソコンを日常的に使っている方が、テレビを見るよりも成績がよくなるとの調査結果が発表されました。 情報源は、スタンフォード大:「家庭でパソコンを使える子は成績がいい」です。

「家庭でパソコンを使える子供は成績が良く、寝室にテレビがある子供は成績が悪い」という調査結果を、米スタンフォード大学の研究者らが4日(現地時間)発表した。「パソコンありテレビなし」の場合が最も良好で、「パソコンなしテレビあり」の児童が最も悪かったという。

同大付属病院の医師らが、カリフォルニア州の小学3年生348人を対象に、国語や算数の学力テストの得点を調べた。その結果、自宅でパソコンを利用できる児童は、平均点が他の子供より7~9点高いことが判明。一方、自分の寝室でテレビを見られる児童は、7~9点低いことが分かった。71%の家庭が子供の寝室にテレビを置いていたという。

一読しただけでは、「テレビを見ていると成績が悪くなり、パソコンを使うと成績が良くなる」という、しごく当然の結果のように思えます。しかし、この調査結果には2つの不満があります。

1つ目の不満は、子供を勉強から遠ざける最大要因の1つであるはずのテレビゲームの使用実態が、調査対象に入っていないところです。テレビゲームを加えても、パソコンの優位は変わらないでしょうから、子供の成績に及ぼす好影響の順番は、
「パソコン > テレビゲーム > テレビ」もしくは
「パソコン > テレビ > テレビゲーム」 になるのではないでしょうか。

個人的には、テレビゲームとテレビのどちらが、成績に及ぼす好影響が大きい(あるいは悪影響が小さい)のかに興味があります。テレビゲームがテレビよりも教育的効果がある思われるのは、ある面では創意工夫が要求される能動的な行為であるという点です。テレビを見るのは受動的な行為でしかありません。

一方、受動的とはいえテレビからはそれなりの情報を得ることができます。テレビの情報が子供の知的好奇心を刺激する効果がある場合も、決して少なくありません。

2つ目の不満は、パソコンとテレビの利用状況が同じ土俵で比較されていない、いわば apple-to-apple comparison の関係になっていないように思える点です。疑問に思って、調査結果の原文を調べました。

The children reported an average of 3.3 television sets per households and almost all had a VCR. Seventy-one percent of the children had a TV set in their own bedroom and 71 percent had access to a home computer.

やはり日本語訳通りに、「TV set in their own bedroom」と「access to a home computer」との比較になっています。寝室とは、日本流に解釈すれば子供部屋ということになります。パソコンは子供専用に置かれるほどには普及していないので、「場所を問わず」家にあるパソコンということになったのでしょう。

子供部屋に自分専用のテレビがあれば、親の意思とは関わりなく子供は自由に見る番組を選ぶことができます。一方、居間にあるパソコンは親の監視の下で使うケースが多いはずです。またアプリケーションソフトで遊んだとしても、それはあくまでも親が用意したものでしょう。

要するに、親がコンテンツをコントロールしているパソコンとコントロールできないテレビの影響を比較するのは、条件が違うのではないかという疑問です。親の指導を受けてパソコンを使う子供の方が、自由にテレビを見る子供よりも成績がいいのは当然と考えられます。

純粋にパソコンとテレビの学力に与える影響を調査するのであれば、同じ条件での比較が必要ではないでしょうか。具体的には(1)居間にあるパソコン、(2)子供部屋にあるパソコン、(3)居間にあるテレビ、(4)子供部屋にあるテレビ、の全パターンの調査が必要です。

この4パターンの中で、(2)子供部屋にあるパソコンを使っている子供が、(3)居間にあるテレビを見る子供の成績を上回ってはじめて、パソコンの方が子供の学力向上の効果があるといえることになるはずです。

この調査は、IT産業のメッカであるシリコンバレーにあるスタンフォード大学が実施したものです。だからといって、意図的にパソコン側のスコアを上げるような操作が行われた、とまでは言うつもりはありませんし、調査結果の分析過程における統計的処理等には、恣意性も排除されています。それだけに、もう少し突っ込んだ調査が、欲しかったところです。


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