ブログで内定者研修を始める風潮に落とし穴はないのか?
2005年08月25日
私がBLOGカンパニーという会社に入社してからほぼ2ヶ月が経ちました(「BLOGカンパニー」の新入社員として一から出直すことにしました)。入社以来真面目に日々ブログを書き続けてきたのですが、残念ながら昇進の噂も全く聞こえず、いまだに平社員として放置されています。
この間に会社の方では組織改革を実施し、私も調査部から企画部ビジネス課に配置転換になりました。新入社員が増えて、組織も順調に拡大しているのでしょう。昇進競争もますます厳しくなり、このままでは一生出世する見込みもないように思えてきました。
BLOGカンパニーはあくまでのお遊び世界の話ですので、私のように出世できなかったとしても、たいしたことはありません。しかし、ブログの内容で社員を競争させることを考えている会社が現実に存在するとすれば、笑い話ではすまされないでしょう。 情報源は、『事業提案、ブログで競う――ディップ、採用内定者対象に、一般公開し知名度高める』(2005年8月24日 日本経済新聞 朝刊 17面)です。
インターネット求人広告のディップは、来年春の自社の採用内定者を対象に「ビジネスコンテスト」を実施する。ブログを使って競技の進み具合を一般公開する。内定者の囲い込みと同時に知名度の向上につなげる。
内定者200人を東京、大阪、名古屋の採用地区別に15チームに振り分ける。それぞれが新規事業を提案して内容を競い合う。チームごとにサイト上にブログを開設、内定者同士で情報交換したり、人事部が提案に対して助言したりする。
ブログを一般公開し、より多くの訪問者を集めたチームの成績にポイントを上乗せする仕組み。冨田英揮社長らが審査員となり、9月中旬に予選大会、10月初旬に決勝大会を開く。優勝チームの企画案はディップで事業化を検討する。
企画立案作業を通じて内定者同士の結束を強めるとともに、早期戦力化を目指す。コンテストの課程を公開することで、学生らに自社を広報する狙いもある。
内定者が集合研修でやらされた模造紙での研究発表が、今ではブログに変わったのかというのが、この記事を読んだ私の第一印象です。ブログを使った研修の方が、今の若者に受け容れられやすいことは理解できます。果たして今まで仕事をした経験のない人間が、バーチャルな手段だけでどこまで共通の目標を達成できるのか、興味が持たれるところです。
優勝チームの企画案は事業化される可能性もあるようですが、実現の可能性は怪しいものだと思います。このブログは一般公開されることが前提で、アクセス数が勝敗を左右することになっています。最大のアクセス数を集めたアイデアが、事業化に最も相応しいものであるとは限りません。また本当に秀逸なアイデアがあったとしても、公開されてしまえばその価値は半減するでしょう。
企業側の思惑を推測すれば、ビジネスコンテストの目的はあくまでのチームワークの涵養と、対外的なPR効果にあると理解した方がよさそうです。しかし、軽いノリで始めた公開ブログが、企業にとっては思わぬマイナスの影響を及ぼすこともあります。 情報源は、「オタ」「きもい」──スタッフのブログ発言、企業を巻き込む騒動にです。
米国系ホットドッグチェーンの「ネイサンズフランチャイジーオブジャパン」は8月23日、Webサイトに「移動店舗内スタッフによるブログ上の発言」について「極めて遺憾」とする文章を掲載した。
発端は8月12~14日に東京で開かれた「コミックマーケット」(コミケ)。会場に出店した同社フランチャイズ企業のアルバイトスタッフが、実名で運営していたブログに「みんな頑張ってバイトしています!まぁお客はみんなオタ」「大量オタ。これがぶぁぁぁぁあっているの。恐い!きもい!」などと写真付きで記事を掲載した。
これを読んだユーザーが「客をばかにしている」などと掲示板などで反発。その後ブログは削除されたが、同社にも苦情が寄せられたもようだ。
コミケに参加したある男性は「店員が何を思おうと自由だとは思うが、このホットドッグチェーン全体への印象が悪くなったのは否めない」と話す。
同社は経緯について調査し、Webサイトで文章を公表した。「当社ブランドを使用するフランチャイズ企業が独自に雇用したアルバイトの極めて不適切な表現が引き起こした事態」だと認めた上で、フランチャイズ企業の監督責任がある同社として「再発防止に全力を尽くし、お客様から失った信頼を取り戻すべく、社員一同努力いたします」と事実上、謝罪した。
おそらくこのスタッフはテレビドラマの電車男あたり見て、周りからきもいと見られていることをオタク自身も気づいているくらいだから、さしたる問題もないと考えたのではないでしょうか。自分で認めていることでも、赤の他人から指摘されると反発を覚えるのが人間です。また個人のブログであれば、この程度の書き込みは問題視されることもなかったでしょう。結局は、組織としての発言と捉えられる企業ブログへの心構えができていなかってことに尽きます。
このような事態を想定すれば、ビジネスコンテストの前には、ディップでも適切な教育を施すことが必要でしょう。今の若者はブログで自分の意見を表明することそのものには、何の抵抗もないはずです。しかし、企業ブログでの発言は個人ブログとは違った責任が生じてくることを、十分に理解させなければなりません。そもそもPR効果を期待して始めるコンテストで、逆にイメージダウンになるような失態を招いては、それこそ物笑いの種でしかありません。
コンテスト参加者は、ブログへの取り組みが新入社員としての配属先を決定する要因にもなることを肝に銘じた方がいいと思います。私がブログの内容によってBLOGカンパニーで配置転換になったのは、所詮バーチャルの世界での出来事です。現実社会では最初の配属先が、その後の人生を左右することも大きいので、その影響は比較になりません。
だからといってあまり慎重になりすぎても、大胆な企画は生まれません。その辺のバランス感覚は、ビジネスコンテストに限らず、ビジネスマンとしての必須のものです。そう考えれば、このコンテストも内定者の資質を測る有効な手段の1つと言えるのかもしれませんね。
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