学生ブロガーによるバイラル・マーケティングの「BUZZ AGENT」とは?
2005年09月12日
大学生をターゲットとしたマーケティングに特化したユーキャンパスが、ブログやソーシャルネットワーキングシステム(SNS)を利用した、バイラル・マーケティング事業をスタートしました。企業側が宣伝したい商品やサービスのサンプルを大学生に提供して、大学生が使用体験についてブログやSNSに書き込むという仕組みです。同社は、この事業で2006年12月期に、1000万円の売上高を目指しています。 情報源は、『ユーキャンパスが組織化、大学生ブロガーで販促』(2005年9月12日 日経流通新聞MJ 11面)です。
まず同社が審査し、固定閲覧者が50人以上いる大学生のブログ開設者(ブロガー)や50人以上のネットワークを持つ大学生のSNS利用者らを組織化、「BUZZ AGENT(バズエージェント)」と名付けた。この中から企業に対して10~50人程度をモニターとして紹介する。
商品・サービスの試用現場には同社担当者も立ち会い、モニターから意見や感想を聞きとる調査を請け負う。調査の結果、半数以上のモニターが商品を支持した場合のみ、ブログやSNSへの書き込みをしてもらう。書き込み終了後、同社が企業側にサイトのURLを送り確認してもらう。調査で支持した学生には基本的に書き込ませる。
同社は企業の新商品の試供品を学生にモニター調査しているため、サークルなど全国4万7千団体のリストを持っている点が強み。大学を特定して学生を集めることも可能。すでに1日、大手パソコンメーカーと組んで第1号となる調査を実施した。
ユーキャンパスの渡部陽社長の社長日記が、裏ユーキャンパスです。その中の投稿 『Buzz Agent(バズエージェント)がアップルに学ぶ』 を読むと、記事にあったパソコンメーカーが、アップルであることがわかりしました。
企業側がブロガーに製品の感想を書かせようとした場合に、注意しなければならないのは、あくまでも内容はブロガーの自主性に任せて、自社に有利なように書かせる「やらせ」の誘惑を断つことです。「やらせ」がバレてしまうと、消費者の反発を招いて、かえって逆効果になることは、テレビの「やらせ」報道と一緒です。「やらせ」防止のために、ユーキャンパスのシステムでも、半数以上の支持を前提とするなど、ある程度の歯止めがかかっています。
しかし、この記事で気になったのは、「BUZZ AGENT(バズエージェント)と名付けた」という下りです。さらに、ユーキャンパスには、「BUZZ AGENT」を積極的にプロモーションしようという姿勢も見受けられます。私には、この「BUZZ AGENT」というコンセプトは、ユーキャンパス社のオリジナルとは思えません。米国にある、BzzAgent, Incという会社は、「BzzAgent」がクチコミを広めるという同様のサービスを、かなり昔から提供してます。
現在 BzzAgen社は、IBM、People PC 等の大手クライアントを持つまでに成長しています。また、クチコミ・マーケティングの先駆である同社は、WOMMA(Word of Mouth Marketing Association)のメンバーとして、新しいマーケティング戦略の普及にも積極的に取り組んでいます。同社のHP、The Story Behind the Bzz には、このビジネスモデルの誕生秘話も説明されています。
Leading up to this point, he had read books like The Tipping Point, Unleashing the Idea-Virus, and Anatomy of Buzz. Dave was interested in the concept of "buzz", but he wasn't sure how to apply it.The number one question we receive is, "How did BzzAgent get started?" The seeds of BzzAgent were planted in late 2001 when Dave Balter, founder and CEO of BzzAgent, found himself at a transition period in his life.
One afternoon, Dave's friend, Eric, told him about Butterfly Economics, a book about the new speed of communications and how people's voices were affecting the world economy. The author, Paul Omerod, was making the point that business isn't a matter of just "changing" the numbers any longer ― it's a matter of understanding that people are the change agents.
Later that night, the lightbulb went on. Dave realized no one was truly tapping into the honest voices of consumers. What if there was a way to tap into the very nature of people ― to understand how people communicate ― and help them share honest Word-of-Mouth with each other?
少し米国のマーケティング事情に詳しい人間にとっては、「Buzz Agent」というクチコミ・マーケティングのコンセプトは、決して新しいものではありません。最近この手のマーケティング手法が脚光を浴び出した背景には、ブログの普及によりこのコンセプトが、簡単に具現化できる手段ができたからです。
したがって、「Buzz Agent」という言葉を自ら命名したかのように、ユーキャンパスが振舞うことには、違和感を覚えます。同社は、あくまでもBzzAgen社が創ったビジネスモデルをベースにして、自社の強みである学生ブロガーに組み合わせただけです。オリジナルのアイデアかのような誤解を与えるアピールの仕方は、避けるべきでしょう。
最近は、あらゆる面で安易にオリジナルを真似ることに、批判の声が高まる傾向にあります。特に商用目的の場合には、厳しい非難の矢面に立たされることも珍しくありません。例えば、現在ヒット中の「恋のマイアヒ」のプロモーションでも、その是非を巡ってネットが盛り上がっています。 「のまネコ」は「モナー」? ネットで騒動に。
エイベックスから発売されてヒット中の「恋のマイアヒ」。ムービーに登場するキャラクターが「アスキーアート『モナー』にそっくり」などと指摘され、ネット上で騒動が起きている。
エイベックス側は「アスキーアートにインスパイアされてキャラクター化したもの」と説明するが、ネットユーザーは「ネット上でみんなで育ててきたキャラクターを改変し、独占的に金儲けに使うのは納得できない」などと批判している。
企業がネット上の書き込みやキャラクターを商品化するケースが増えている一方、ネットユーザーとの“距離”の取り方や付き合い方の難しさも浮き彫りになった形だ。
クチコミ・マーケティングのビジネスモデルの場合でも、先行する事例からヒントを得た場合は、その旨をはっきり明言した方が、後々安心だと思います。また、BzzAgent と混同される危険性の高い Buzz Agent という呼称も避けた方が無難でしょう。ユーキャンパス社の場合は、学生エージェントを強調できるような呼称、例えば、「Buzz Student」「Campus Agent」あたりが、適当だと思います。
★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。
【本件に関係した投稿】
【本件に関係した書籍】
| ウェブコミ! | |
![]() | 喜山 荘一 株式会社ドゥ・ハウス ランダムハウス講談社 2005-07-30 売り上げランキング : 275 おすすめ平均 ![]() 担当者のインタビューが面白かったです “企業の声を語るウェブ” を “顧客の声を聞くウェブ” に変えるコツ マーケティング実務者 必読Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| バイラルマーケティング | |
![]() | セス ゴーディン 大橋 禅太郎 翔泳社 2001-02-28 売り上げランキング : 44,072 おすすめ平均 ![]() 『パーミッション・マーケティング』も一緒に! インスピレーションをくれる本 内容はいいけれどAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 2年で5000万人の顧客を獲得した驚異のバイラルマーケティング―アメリカからやってきた画期的ネットビジネスノウハウ | |
![]() | e′ネットワールド インターネットビジネス研究所 第二海援隊 2000-06 売り上げランキング : 166,831 おすすめ平均 ![]() 読むだけでなく、具体的にAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| ファンサイト・マーケティング | |
![]() | 日野 佳恵子 ダイヤモンド社 2005-04-15 売り上げランキング : 3,773 おすすめ平均 ![]() とどのつまり大企業向け 頷きと共感の連続でした。 企業サイドから見たコミュニティサイトAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 口コミ伝染病―お客がお客を連れてくる実践プログラム | |
![]() | 神田 昌典 フォレスト出版 2001-03 売り上げランキング : 1,949 おすすめ平均 ![]() 結局は実務に落としていけるかってのが問題じゃない? 口コミの活用の上手さは神田氏自身の成功が証明 口コミのメカニズムを理解できます。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| クチコミだけでお客様が100倍増えた! | |
![]() | 日野 佳恵子 PHP研究所 2005-02-16 売り上げランキング : 1,182 おすすめ平均 ![]() 「全国10万人のネットワークを組織」はすごい さすがクチコミ実践の第一人者! 良いブランドは、なぜか人気のある人に似ているAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 1日5分の口コミプロモーションブログ | |
![]() | 長野 弘子 増田 真樹 英治出版 2004-05 売り上げランキング : 49,924 おすすめ平均 ![]() ブログを始められる方は必読書 読みたい人が読むビジネス書 今とこれからのblogが分かるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| クチコミュニティ・マーケティング2-実践編 あなたの会社がクチコミで伸びる! | |
![]() | 日野 佳恵子 朝日新聞社 2003-08-06 売り上げランキング : 9,043 おすすめ平均 ![]() 今まさに、 腹に落ちる骨太な説得力 今までモヤモヤしてたことがわかりましたAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| クチコミはこうしてつくられる―おもしろさが伝染するバズ・マーケティング | |
![]() | エマニュエル ローゼン Emanuel Rosen 浜岡 豊 日本経済新聞社 2002-01 売り上げランキング : 12,917 おすすめ平均 ![]() クチコミが発生するのには理由がある よく出来たクチコミ解説書 「バズ」はとても大事Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 図解でわかるくちコミマーケティング―マーケティング活動に“くちコミ”の発想を取り込め! | |
![]() | 中島 正之 吉松 徹郎 鈴木 司 日本能率協会マネジメントセンター 2003-05 売り上げランキング : 42,748 おすすめ平均 ![]() わかりやすく解説 日経流通新聞での紹介 満足度はクチコミに重要ですね。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 女たちはなぜ「口コミ」の魔力にハマるのか | |
![]() | 黒川 伊保子 ベストセラーズ 2005-03 売り上げランキング : 36,564 おすすめ平均 ![]() 聴覚に触れる音が人の口を動かす ◆本書のメイン部分ではないのですが・・・ 女性脳で開き直って書きました。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 私たちの会社はじまり物語 Her Story―主婦2人から3万人のネットワークへ | |
![]() | 日野 かえこ さとう みどり 宝塚出版 2000-09 売り上げランキング : 32,769 おすすめ平均 ![]() 主婦、母、女性であることを言分けにしない奮闘ぶりが痛快!Amazonで詳しく見る by G-Tools |





内容はいいけれど

とどのつまり大企業向け









