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「ビットに色はない」と考える三木谷浩史社長の楽天がTBS株を大量取得

2005年10月13日

楽天がTBSの株式を大量に取得し、大株主になっていることが昨日明らかになりました。マスコミ報道を受けての楽天側の正式コメント『本日の報道について』が、ホームページに掲載されています。

本日、一部報道機関により、当社が株式会社東京放送(TBS)の株式の一定数を保有している旨の報道がなされました。

当社が同社株式の一定数を保有していることは事実でありますが、その保有数・保有目的等の詳細については、今後、適宜開示してまいります。

取り付く島もありません。本当のところ、三木谷浩史社長は、楽天のメディアビジネス参入の可能性をどのように考えているのでしょうか? 先日の投稿田尾前監督解任は信念に基づく決断と、楽天三木谷浩史社長が反論の中で紹介した、三木谷社長のインタービュー記事の中にも、ネットと放送の融合に関するやりとりがありました。情報源は、『なぜ田尾監督を交代させたのか-僕はタレントじゃない信念に基づいてしっかりやる』(2005年10月15日 週刊東洋経済 130~133ページ)です。

――インターネットと放送の融合をどうお考えでしょうか。その中で楽天は何を狙うのでしょう。

よい表現を思いついたのです。「ビット(bit)に色はない」というもの。放送形態が何であろうと、コンテンツとスクリーンをつなぐものは何であろうと、極端な話、何でもいい。それはもう必然です。IP、インターネットであろうが、なかろうが、基本的に境目がなくなる。

その中で当然、ポータルは強化していきます。Gyao(USENが行う無料インターネット放送)とかショウタイム(楽天とUSENの動画配信事業)など、ストリーミングコンテンツも当然取り組んでいく。USENとのパートナーシップは重視しています。楽天はよりユーザーの視点に立ったサービスを目指します。また、よりeコマース寄りという特徴があるのでしょう。われわれはeコマースや金融に強いポータル的な存在になっていく。


――コンテンツの上流工程、制作まで手掛けていくのですか。

これはタテヨコ戦略です。ヨコというのはプラットフォーム。たとえばマイクロソフトならOS(基本ソフト)、われわれで言うなら楽天市場がそれに当たる。

タテは幅広いサービス。マイクロソフトならアプリケーションソフトで、ワードやエクセルのように自社でやるものもあれば、アドビとか他社がやるものもある。同じように、いくつかのものは自分たちで直接やるし、USENなどと連携していくものもある。だから、自分たちで全部が全部を囲い込もうとは思っていません。

楽天の基本は、コンテンツを流通させるプラットフォームを提供する役割にあるということでしょう。そこで気になるのは、楽天が自社でどの程度の割合のコンテンツを保有するつもりなのかということです。球団を保有することにより、スポーツというコンテンツはすでに手に入れています。さらに放送局への資本参加することにより、今後もコンテンツ・ホルダーとしての役割を強化する予定があるのでしょうか?

――どこまでを自社で行うという明確な基準はある? 

正直に言って、まだあいまいですね。そこは今から探さないと。

――今春、フジテレビに対していろいろな働きかけを行ったとされていますね。

ノーコメントとしておきましょう。この件に限らず、公開企業に対することは、あろうがなかろうがコメントすることはできません。

――フジテレビの魅力はどこにあるのですか。知名度ですか。

よくわからないですね。テレビ局の中では、いちばんうまく経営している会社だと思います。テレビだけじゃなく、イベントや『踊る大捜査線』の映画とか、メディアミックスをいちばんうまくマネタイズ(収益化)できている。

具体的な買収話になると、三木谷社長の口は急に堅くなります。実際に業務提携を申し出たと噂されるフジテレビの魅力に関しても、「よくわからないですね」と答えているところなどは、完全なはぐらかしです。TBS株を大量取得しているくらいですから、各テレビ局の強み・弱みは分析済みで、明確な投資目的があると考えるのが普通でしょう。

楽天のTBS株取得の狙いは、この記事を読んでも見当がつかなかったというが、今回の結論です。徒手空拳というイメージの強いライブドアに比べれば、楽天の方がアライアンス力に優れていることは、確かだと思います。

【追記】
三木谷社長の記者会見の模様を見ました。TBSと表向きでは業務提携の交渉を進めながら、同時に同社株の取得を極秘裏に開始していたことがわかりました。本格的な業務提携のためには、資本提携の裏づけが必要という考えがあってのことです。

しかし、このようなやり方は、和戦両睨みの作戦とも捉えられかねません。衣の下に鎧を隠した形での提携申し出は、日本のビジネス慣行の基準では、非難される面もあるでしょう。TBSの井上社長も、株式の取得に関して事前に相談がなかったことに、不快感を率直に表しています。そこで、思い出したのが以前の投稿で紹介したこの部分です(田尾前監督解任は信念に基づく決断と、楽天三木谷浩史社長が反論)。

――プロ球団はファンあってのもの。楽天のビジネスも消費者相手です。三木谷社長が悪役になることはマイナスではないですか。

いいんじゃないですか。僕はタレントじゃない、人気商売じゃないんで、自分の信念に基づいてしっかりやっていく。

三木谷社長は、自分の人気がライバルのホリエモンに比べて、一般大衆の間で大きく劣ることを十分に認識しています。人気がないのは、既存の秩序に配慮しているようにも映る三木谷氏のビジネススタイルには、サプライズがないからです。一方、既得権益の代表である財界首脳の間での人気は、三木谷氏が堀江氏を圧倒しています。

その三木谷氏が、交渉相手であるTBSの信頼を裏切るような形で、大量株式の取得を突然発表したわけです。今回の三木谷氏の手法を財界関係者がどのように評価するのか、興味が持たれます。もし、三木谷氏の人気を気にしないという発言が本心であれば、強い批判にあっても、それも覚悟の上での行動でしょう。


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