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マクドナルド店長残業代支払い裁判が労働基準法改定に及ぼす影響

2005年10月17日

東京管理職ユニオンが要求していたマクドナルド店長の残業代の支払いに対して、マクドナルド側の回答は、全面拒否でした(おさまらないマクドナルド賃金不払い問題 今度は店長の残業代が槍玉に)。 マクドナルド側の主張は、店長は労働基準法で残業代の支払いの適用除外となっている「管理監督者」なので、支払い義務はないというものです。 交渉が決裂した結果を受けて、11月にはマクドナルド相手に残業代の支払いを求める訴訟を、店長側が起こすことになると予想されています。

一企業の労使問題に過ぎないはずの「マクドナルド裁判」の行方は、労働団体や弁護士等、多くの関係者からの注目を集めることになりそうです。 それは、マクドナルドの店長の身分に関する司法判断は、現在厚生労働省が検討中の「労働時間法制の見直し」にも、大きな影響を与えることが予想されているからです。 情報源は、『マクドナルド残業代訴訟、店長は監督者か-「割増賃金」対象狭める新法の死角』(2005年10月15日 週刊東洋経済 23ページ)です。

厚労省は2007年にも、労働者と使用者(企業)の雇用契約について、労使の権利・義務を明確にする「労働契約法」案を、国会に提出する準備を進めている。同時に、「残業には割増賃金を支払う」と定める労基法の規定を一部見直そうとしている。かねてより、日本経団連が導入を要望してきた「ホワイトカラー・イグゼンプション」と呼ばれる米国の制度がそれだ。

現行の労基法でも、管理監督者と、研究職、記者などの企画業務型の職種は、労働時間の自由度が高いとして、残業規制の対象外としている。「ファイナンシャルプランナーや企業法務など、労働時間の長さと成果が比例しない職種に、工場労働者がモデルの現行の残業代規制はなじまない」と、経団連の渡邉義広労働法制グループ長は言う。

経団連は新制度の導入で、残業代の支払いが不要な労働者の対象を、今よりも広げることを提言している。「年収400万円以上で、時間の制約が少ない頭脳系職種」(渡邉氏)が想定されている。

経団連の想定通りに進めば、「年収400万以上のホワイトカラーは残業代なし」ということで、サラリーマンのかなりの割合が、この対象に含まれることになります。それでは、この「ホワイトカラー・イグゼンプション」制度の導入を、当のサラリーマン自身はどう考えているのでしょうか?

参考になりそうな調査結果が、日経ビジネスに掲載されています。時間外労働に対する割増賃金の撤廃に関して実施した調査では、回答者の50.5%が「賛成」、43.5%が「反対」と、意外にもポジティブな受け止め方です。情報源は、『深夜の割増賃金規定見直し、賛成50.5% 「サービス残業」に意識の差』(2005年10月10日 日経ビジネス 155ページ)です。

「賛成」の理由

  1. 「労働時間が基準の割増賃金は、成果とは無関係だから」(74.6%)
  2. 「自ら働く時間を調整でき、意欲や生産性が高まるから」(55.4%)
  3. 「経済活動の24時間化に対応できるから」(48.2%)

「反対」の理由

  1. 「かえって長時間労働や過重な労働を招くから」(87.0%)
  2. 「裁量労働制でも労働時間が長くなる傾向があるから」(63.7%)
  3. 「普通のサラリーマンも残業代がなくなる恐れがあるから」(48.2%)

自由意見には、様々な意見が寄せられた。

  • 「能力がなくて遅くまで仕事しているのを熱心さと勘違いしている人が多いのに驚く」(31歳、女性)
  • 「基本給が低いと、自分から残業をしないと生活できない」(29歳、男性)
  • 「行政の頻繁な立ち入り検査がないと、弱い立場の雇用者が救われない」(36歳、男性)

注意しなければならないのは、この調査で尋ねたのが、「深夜残業の割増賃金の撤廃」についてなのか、それとも「週40時間を超える労働に対する割増賃金の撤廃」なのかが、明確でないところです。もし、後者であるとすれば、賛成の割合はもう少し下がるような気がします。

そうだとしても、「成果」や「生産性」という言葉が賛成の理由として述べられているのを見ると、労働者の意識も大きく変わっていることがわかります。今後も紆余曲折が予想されますが、日本も米国並みの「ホワイトカラー・イグゼンプション」の時代が来るのも、思いのほか早いのかもしれません。


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