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東京スタイル株主代表訴訟で和解を勝ち取ってもファンド収支は赤字の村上世彰氏

2005年10月25日

阪神電鉄やTBSの大量株式取得でマスコミの注目を集める機会が増えたのが、村上ファンド代表の村上世彰氏です。その村上氏を一躍有名にしたのは、2000年に手がけた昭栄への日本初の敵対的TOBでした。その翌年に同氏が狙ったのが東京スタイルです。当時は総会に臨む村上氏の動静が、連日のように報道されたものです。その村上氏と東京スタイルとの間の5年にも及ぶ戦いが、ついに決着を見ました。情報源は、村上氏、東京スタイルと和解…高野社長が1億円支払いです。

旧通産省出身の村上世彰(よしあき)氏が代表を務める「M&Aコンサルティング」が、アパレル大手「東京スタイル」の高野義雄社長に、投資失敗の損害賠償を求めた株主代表訴訟は17日、高野社長が東京スタイルに1億円を支払うことなどを条件に東京地裁で和解が成立した。

東京地裁が職権で行った和解勧告によると、投資失敗の原因となった債券の購入について、「明確な取締役会決議を経なかった」と認定し、村上氏側の主張を認めた。

村上氏側は2003年、高野社長が取締役会の決議を経ずに多額の有価証券に投資を決定した結果、東京スタイルが約73億円の損失を被ったとし、株主の立場から、高野社長に10億円の損害賠償を求める株主代表訴訟を起こしていた。訴訟が長期化したため、双方が和解に応じる方針を固めた。

株主代表訴訟という形で自らの主張を貫き通した村上氏には、わが国での株主の地位を向上させたいという思いも強くありました。 情報源は、『M&Aコンサルティングの村上世彰代表 「負け戦」で得た悟りが自信に』(2005年10月24日 日経ビジネス 16ページ)です。

「この会社もついに陥落したかなあ(という思い)、自分の中ではね」。村上は口頭弁論だけで14回と、この裁判に膨大なエネルギーを使った。そこからは「物言う株主」村上の執念深さと、正論で戦えば負けないという強い自負が浮かび上がる。

しかし、裁判を通して株主の正当な権利を認めさせることに成功した村上氏ですが、収支という面では、決して満足のいく結果ではなかったようです。

一方、ファンドマネジャーとしての村上は、「投資としては最悪。自分が情けない」と総括する。東京スタイルの5年間にわたる売買は「トータルとして負けた(損した)方が多かった」。

「安ければ買い、高ければ売る」。阪神電鉄やTBS株の取得について、当たり前のことを繰り返す最近の村上は、ファンドマネジャーの立場に徹しているように見える。同時に、その語り口からは、株式運用としては「負け戦」だった東京スタイルとの戦いで得た悟りと自信もうかがえる。

そこで、注目されるのは今後の村上氏の動きです。おそらくTBS株の場合は、ファンドマネジャーの基本である「高値売り抜け」で終わりでしょう。噂されるようにすでに楽天に売り払っている可能性も高そうです。今後TBSに関して、村上氏が大きな役割を演じることはないでしょう。

問題は、阪神電鉄株の方です。こちらの方は球団を上場して、ファンが株主になるなどのアイデアも提案しています。単に売り抜け狙いだけではなさそうな感じがします。それに、もし単に売り抜けだけが目的だったとわかった日には、熱狂的な阪神ファンの逆鱗に触れるでしょうし。ファン心理がエスカレートすれば、過激な行動に出る人間も現れないとも限りません。のまネコ騒動程度でも、殺人予告が起こる物騒な世の中ですから。

単純な資本の論理だけで話がおさまらないのが阪神株です。その辺の事情は当然村上氏の想定内でしょう。それなりの覚悟と信念がなければ、小利口な村上氏が手を出すとは思えません。


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