三木谷氏の手法に非難が集まったとしても、TBSに同情したい気持ちも起きない
2005年10月31日
今週発売のAERAに楽天の三木谷浩史社長の単独インタビュー記事が掲載されました。ホリエモンのように思わず口を滑らすようなことがないのが三木谷氏です。このインタビューでも目新しいことは語っていません。唯一気になった部分のみ引用します。 情報源は、『強気三木谷が明かした本心』(AERA 2005年11月7日 23-25ページ)です。
自分個人の腹は決まっていますし、これまでのボクの行動は自分が考える経営者の行動規範に照らしても反してはいないと考えています。しかし、楽天の株主の価値を毀損してはいけない。この2つの問題を解決するストラクチャーが必要です。それについてボクには考えがありますが、いまはまだ申し上げる段階にはありません。
果たしてどんな腹案があるのでしょうか? 思わせぶりな発言です。三木谷氏が気にかけているが楽天の株主の価値ですが、同社の株価はついに先週の金曜日に年初来安値となりました。楽天がTBS株の取得を発表した10月13日の株価からは16%の下落で、株主価値が毀損されていることは明らかでしょう。
AERAの記事でも強気を崩さなかった三木谷氏ですが、楽天株の下落にはかなりダメージを受けているのではないでしょうか? 歴史が浅くこれといった現物資産を持たない楽天が、唯一老舗のTBSに勝っていたところといえば、株式の時価総額です。その差も徐々に狭まりつつあります。
大量な借入金を抱える楽天にとっては、自社株の高さが担保でした。株価の下落により、企業の財務健全性を診断する与信管理ソフトが、楽天がかなりの危険な状態にあることを示し始めています。三木谷氏の心境は、限度額一杯に信用取引したころ担保株の価値が下落して、追証の恐怖に苛まれている素人投資家に近いようなものでしょう。このままこう着状態が長引けば、金利負担がさらに状況を不利にするといった待ったなしの状況です。
ここまで書いてきたところで、よくある三木谷批判的な記事になってしまったことに気づきました。普通これくいらいに旗色が悪くなってくると、三木谷氏の肩を持とうという人が現れてきてもいいはずです。ホリエモンと違って、三木谷応援団が全く登場してこないのも、同氏のキャラクターのせいでしょうか?
元来私はへそ曲がりなので、苦境に立つ三木谷氏を応援する側に回りたい気持ちは山々なのですが、なかなかいいアイデアが見つかりません。そこでTBS側の悪口を少し加えて、中和する作戦に切り替えました。というのは、もう一方の当事者のTBSに同情したい気持ちも起こらないからです。
庶民感覚からすれば、放送局のような免許制度で守られたような会社が過剰な利益をあげ、社員が高給を得ているのは、あまり面白くありません。放送業界にも視聴率競争というものがあるにせよ、新規参入が限られている以上、所詮コップの中の嵐というものでしょう。
この視聴率競争でも、業界の老舗であるはずのTBSは、最後発のテレビ朝日にも抜かれて4位というていたらくです。危機感のないTBSに外部の人間も厳しい眼を向けています(TBS視聴率テレ朝に抜かれ、みのでズバッと元気…)。
作家、麻生千晶さんは「TBSはやることがズレている。朝からギトギトしたみのさんでは…。旬を過ぎた久保純子さんやよそで目立った人ばかり連れてくる。一方で筑紫(哲也)さんにいつまでも頼る。テレビ局はもっと幅広い発想が必要。かつてのTBSは東大卒をよく採用し、個性豊かな人材を採らなかった。その人たちが今幹部になって、新しいことでコケるのが怖いのでは…」と厳しい。また、現場でも、「最近のTBSは、ドラマ収録の時もピリピリした雰囲気」(芸能プロ関係者)との評判が聞こえる。
現在のTBS社長の井上弘氏も東大卒です。今回の騒動で記者会見で見せる井上社長の姿は、あまりビジネスマンという感じがしません。どちらかといえば、上品な外交官といった印象を受けます。社員が必ずしも井上社長の手腕を信頼しているわけでもなさそうです(TBS井上弘社長、社内の評判…現場はソッポ?)。
井上氏の手腕を見守る同局の現役社員は、社内の雰囲気をこう伝える。
「最初からエリート街道を歩んだ井上さんは、制作とは縁遠いので現場のスタッフにはあまり慕われていない。強烈なリーダーシップを発揮するタイプでもない。社員からは総スカンだったベイスターズの買収や、もともと他局に比べて強かったセクショナリズムに拍車をかける分社化など、社内に諮る前に上層部で決めてしまって、事後報告というパターンが多い。今回もそうなるのではないか」
突然の“黒船来襲”に、社員にも厭戦感が漂っているのも事実だ。
30代の男性社員は「ついに来たか、という感じ。3年ほど前、フジテレビに買収されるというウワサがまことしやかに流れた。同業者に買収というのはすごく恥ずかしいので、それに比べたら楽天に助け舟を出されるのはまだ全然ましだ」。“井上丸”からは、ねずみが逃げ出している。
歴史的に見ても特定の事業法で保護された業界では、内発的な力だけでは大きな革新は起こらないものです。いわゆるゆで蛙状況にあるTBSには、やり方の当否はともかく、楽天やライブドアのような会社がたまに噛み付くことによって、ダイナミックな変化を促すことも必要だと思います。今回の騒動を機会に、井上社長が強力なリーダーシップを発揮して、TBSに往年の活気が戻れば、災い転じて福という結果にはなるわけですが。。。
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Posted by: 新規開拓営業研究所 | 2005年10月31日 16:21