経営トップ交代劇を黒子として演出するヘッドハンティングビジネス
2005年12月02日
ユニクロのファーストリテイリングが、CEO、COO、CFO、CHO、CIOなどの経営トップを新聞で公募していることを紹介しました(一部上場企業ファーストリテイリング経営幹部も自民党候補者も公募する時代)。その時書いたように、トップクラスの人材を募集するの場合は、普通ヘッドハンター(英語では Executive Search Firm)を使うのが普通です。どれくらい「普通」であるかというと、このブログでこれまで取り上げてきた人も、その多くがヘッドハンター経由の転身です。
例えば、日本マクドナルドの原田泳幸社長の場合は、ATカーニーが、ダイエーの樋口泰行社長の場合はスタントン・チェースが、ヘッドハンターとして絡んでいます。そのヘッドハンティングビジネスの最新事情に関してご紹介します。情報源は、『ヘッドハンター台頭(上)ビッグ5基盤固め』(2005年11月28日 日経金融新聞 1面)です。
2003年8月末、米ハイドリック・アンド・ストラグルスのメグ・アンブローズ氏は、日本IBM副社長(当時)の倉重英樹氏に電話をかけた。同年7月に米投資ファンド、リップルウッドから依頼され、買収を予定していた日本テレコムの社長を探していたのだ。
およそ60カ国に展開するハイドリック。インドのデータセンターで世界中から100人の社長候補者を探し出し、マーケティングの知見が深い倉重氏に白羽の矢を立てた。アンブローズ氏は倉重氏と即座に面会、リップルウッドの戦略や求められている人材像を説明した。約5カ月後、了解を取り付けた。
グローバルなスケールで活動するサーチ活動の実態が伝わるエピソードです。しかし、このようなダイナミックなネットワークを持つ、本格的なサーチ・ファームの数は、世界でもごく限られています。
ハイドリックをはじめ、米スペンサー・スチュアート、コーン・フェリー・インターナショナル、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ、欧州系のエゴン・ゼンダー・インターナショナルの5社は「ビッグファイブ」と呼ばれ、国際的なネットワークを売り物にしている。
お家騒動で混乱したモルガン・スタンレーはスペンサー、ヒューレット・パッカードはラッセル、昨年のKマート、ナイキはハイドリック。米国有力企業のトップ交代には、必ずビッグファイブが裏で動いている。米ホワイトカラーの転職に伴う手数料収入は年30億ドル超の規模とされ、うち10億ドルがサーチ会社が狙う経営者の異動だ。
現在世界NO.1のサーチ・ファーム、コーン・フェリー・インターナショナルの日本代表が橘・フクシマ・咲江氏です。橘氏の夫が元米国大統領府通商代表部(USTR)の対日代表で、現在はエアバス・ジャパン社長のグレン・フクシマ氏です。フクシマ氏が日本NCR社長からエアバスに転じたのは、奥さんの口利きではないかとの推測を書きました(有能なプロフェッショナル・マネジャーを輩出するには、有能なヘッド・ハンターも必要)。
しかし、今回の日経金融の記事を読んで、仲介したのがライバル会社のラッセル・レイノルズであることがわかりました。フクシマ氏がエアバスの話をラッセル・レイノルズから持ち込まれた時、妻の橘氏に相談したのでしょうか? それとも、妻とはいえライバル会社の人間には、事前に漏らしてはならないことになっていたのでしょうか?
橘氏は、ハーバード修士号、スタンフォードMBAの学歴で、米国系コンサルティング会社出身と、フクシマ氏に劣らない華麗なるキャリアの持ち主です。それでは、どのようなバックグラウンドの人間がヘッドハンターになっているのでしょうか? 情報源は、『ヘッドハンター台頭(下)ファンド参入で活性化』(2005年11月29日 日経金融新聞 1面)です。
ヘッドハンターにとり、幅広いネットワークと人材の目利き力は必須条件。特に専門性が高い金融分野では元金融マンがヘッドハンターを務める場合が多い。
例えば、欧州最大手のエゴン・ゼンダー。東京事務所にいるヘッドハンター12人のうち、3人が金融を担当する。13年目でリーダー格の佐藤信雄氏は、旧興銀出身で米ハーバード大学のMBA(経営修士)取得者だ。東京では最もファンド案件を手掛けたとされ、これまで150人超のスカウトを完了した。他の2人も野村証券、旧三和銀行の出身者だ。
どうやらヘッドハンターにも、それなりの学歴とビジネスキャリアが必要なようです。一流のヘッドハンターになるのも、なかなか難しいのでしょう。もちろん、そんなヘッドハンターから声をかけられるようになるのは、もっと難しいことなんですが。。。
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ハイドリックをはじめ、米スペンサー・スチュアート、コーン・フェリー・インターナショナル、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ、欧州系のエゴン・ゼンダー・インターナショナルの5社は「ビッグファイブ」と呼ばれ、国際的なネットワークを売り物にしている。








