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マイクロソフトとAOLの資本提携なき業務提携は楽天三木谷社長へのさらなる逆風となる?

2005年12月08日

日本で楽天がTBSに経営統合を迫っていた同時期に、米国で話題になっていたのがタイムワーナーのAOL部門の売却先です(AOL: In Search of a New Strategy)。当初AOLの買収に興味を示していた企業は、マイクロソフト、コムキャスト、グーグル、ヤフーの4社でした。

この中でヤフーは、一番最初に買収合戦からの撤退を表明しました(米ヤフー、AOL買収交渉からドロップアウト)。また、相対的に資金量の劣るコムキャストが、AOLを買収する可能性は極めて低いので、実質的にはマイクロソフトとグーグルのマッチレースというのが、大方の見方です。そんな中、本日マイクロソフトがAOLを射止めたとの観測記事が流れました([WSJ] AOLとMS、広告サービスで合弁か)。

米Time Warnerは、Googleに対抗するオンライン広告サービスの構築で近くMicrosoftと契約する。両社の交渉に詳しい筋が伝えた。

数カ月に渡る断続的な交渉の末、両社は今、広告関連の資産を統合する――金のやり取りは、あるとすれば最小限で――契約に焦点を当てている。契約は年内に結ばれる見込みだが、AOLがMicrosoftを犠牲にしてGoogleとの関係を深める方を選択する可能性もまだある。

これらの交渉には、AOL部門とMSNの両方のオンライン広告を販売する合弁の広告販売部門を設立しつつも、これらオンラインサービスをそれぞれの所有者の支配下に置いたままにするための話し合いも含まれると情報筋は語る。

両社が取引に至った場合、MicrosoftがAOL部門の少数株を取得するという先の交渉とはかけ離れたものになるとこの計画に詳しい筋は話す。両社は12月の第3週までに取引を発表する見込みだという。

現段階ではあくまでも噂の域を出ない内容なので、具体的な契約の詳細も不明です。私が注目したのは、マイクロソフトがAOLを買収するのではなく、広告事業での合弁契約を結ぶ形を選んだという点です。

楽天の三木谷社長は、TBS株を取得した理由として、「資本提携がなければ、強力な業務提携もありえない」と主張していました。もし、AOLとマイクロソフトの間で、資本提携のない形での広範な業務提携が実現すれば、三木谷氏の主張も否定されることになるのではないでしょうか。

三木谷社長がネットとメディアの融合の野望を示した時に、AOLとタイムワーナーの合併の失敗の例を挙げて、その構想を批判する声も多く聞かれました。その一例が「楽天はAOLの失敗から何を学ぶべきか」です。

AOLとマイクロソフトの業務提携が成功すれば、今度は最初に資本提携ありきと決めつけるのは誤りで、「楽天はマイクロソフトとAOLの提携から学べ」と言われることになりそうです。さらに三木谷氏の苦境は、続きそうな予感がしてきました。そんな四面楚歌状態にある三木谷氏を日経産業新聞では、こう評しています。情報源は、『“愛されたいキャラ”に最大の試練』(2005年12月7日 日経産業新聞 32面)です。

熱意演出のため、わざと汗だくになって顧客を訪問する。草創期の楽天を語る際のこのエピソードが三木谷浩史社長の事業スタイルを象徴している。日本興業銀行時代に頭角を現したのも、ソフトバンクの孫正義社長やカルチュア・コンビニエンス・クラブの増田宗昭社長の信頼を勝ち取り、大型商談を手がけたのがきっかけだったというから、三木谷氏は顧客や有力者に巧妙に取り入り、「愛される」才能に恵まれているに違いないと思っていた。

だからこそ、TBS株式を大量に取得し、経営統合を迫った時には「らしくない」と感じた。プロ野球参入の際に三木谷氏は財界有力者らを球団諮問委員に招いた。そんな権威志向の事業家が巨大メディアの買収を「一文無しになってもやる」と言う。メディアの「買収王」といえばルパート・マードック氏だが、既存の枠組みを破壊する凄みのある経営者という印象は三木谷氏には微塵もない。

案の定、TBSとの休戦協定を余儀なくされた。説得したのが興銀の先輩で球団諮問委員でもあるみずほコーポレート銀行の斎藤宏頭取というから「予定調和」の結末ともいえる。プロ野球参入でライブドアに競り勝ったものの球団は今季断トツの最下位。サッカーのヴィッセル神戸もJ2降格が決まるなどオーナーシップの評価は芳しくない。“愛されたいキャラ”の三木谷氏は最大の試練を迎えている。

やはり三木谷氏は、“愛されたいキャラ”に相応しく、最初から資本提携なき業務提携を選択すべきだったのではないでしょうか?



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