学生の間で究極のキャリア志向型就職と注目を集める「チェンジ・エージェント」
2005年12月08日
先日の投稿、『人件費の長期固定化を避けたければ、いまや経営幹部もレンタルする時代』で、役員クラスの人材を数ヶ月から数年間だけ派遣するという、新しい人材紹介サービスの話をしました。レンタル役員を欲する企業があれば、若手社員に対する同様のニーズもあって当然です。
このようなニーズに応えるのが、人事コンサルティングの大手のマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングが導入予定の「チェンジ・エージェント」です。 情報源は、『学生就職、売り手市場だが…、止まらないキャリア志向、採用・雇用形態多様化促す』(2005年12月8日 日経産業新聞 22面)です。
「会社組織を変革する触媒が求められている。それがチェンジ・エージェントだ」。10月13日、名古屋市内のホテルで開催された「マーサー・キャリア・フォーラム」。主催者であるマーサーの柴田励司社長の言葉に詰めかけた学生が熱心に耳を傾けた。
マーサーが提唱する「チェンジ・エージェント」は新しいタイプのコンサルタント。マーサーにいったん就職した後、長期にわたり企業に派遣され、組織改革や事業再構築などのプロジェクトメンバーとして常駐する。派遣前に、マーサーで2カ月程度の研修を受け、企業に常駐した後は定期的にプロジェクトの進展状況を報告する。
常駐期間は最低1年。プロジェクトの中核として、経営陣と協力しながら、会社の変革を進めることを求められる。短期間で表面的にしか当該企業を見ない通常のコンサルタントと違い、企業に「置き去り」(柴田社長)にすることで、ビジネスの現場で実際に修羅場を多く経験できる。
マーサーでの上司は報告を聞いて、どう変革を進めるかを指示はするが、あくまでチェンジ・エージェントとして派遣された本人が企業変革の主体となる。経営情報の分析、ビジネスプロセスの効率化、生産性向上の支援、企業のトップが出すメッセージの浸透などを主導しなければならない。苦労は多いが、若いうちに多くの経験ができる。キャリア志向の学生はこうした業務に携われる幹部社員になるまで待ち切れないのだ。
採用条件の詳細はまだ決まっていない。給与は一般企業より2割程度高くなるというが、身分はマーサーの契約社員だ。説明会の終了後の会場に残り、「こんな仕事を探していた。ぜひやらせてほしい」と訴える学生が多かった。「企業のトップと直接やりとりできるのは大きなチャンスだと思う」(名古屋商科大経営大学院2年生)
すでに電機メーカーなどで働く若手社員もフォーラムに参加し、「将来の選択肢として考えたい」と話した。「思った以上に学生の反響が大きい」とマーサーの伊藤武彦・名古屋事務所長はいう。来年1月には東京でより大規模なフォーラムを開催する予定だ。
チェンジ・エージェントというネーミングは秀逸です。しかし、新卒の学生を2ヶ月程度の促成栽培の研修で送り出しても、名前通りの変革者としての役割が期待できるかどうかは大きな疑問を感じます。もし、企業側も本当に変革者としての役割を期待していないのであれば、単なる人材派遣と何ら変わりのないことになります。
もう1つ気になるのは、チェンジ・エージェントの業績を誰が評価するのかということです。通常のコンサルティングであれば、チームリーダーが個々のコンサルタントにアサインされた業務内容に応じて、ある程度の客観的な評価を下すのが普通です。クライアント企業に1人送り込まれるチェンジ・エージェントの業績評価をするのは、誰になるのでしょうか? おそらくクライアント側の評価によりそのほとんどが決まるのでしょう。どんな企業に派遣されるかによって、受ける評価の基準も均質であるとは思えません。
クライアント企業の立場として考えれば、最初にコンサルティングを依頼して、提案された戦略計画を実行(インプリメンテーション)する人間として、その後若手社員の派遣を依頼するというニーズは、ありそうな気もします。最初からチェンジ・エージェントを欲しがるケースは意外と少ないのではないでしょうか。
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