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新雑誌「ファクタ」はネットで素人の情報発信が溢れる中でプロ記者の違いで勝負

2005年12月27日

硬派ジャーナリズムの旗手として有名だった「選択」の元編集長・阿部重夫氏が、来年4月に会員制月刊誌「ファクタ」を創刊します。会員制月刊誌とは、通常の雑誌のような広告は載せずに、定期購読料収入のみで経営を維持する雑誌です。配本形態も定期購読者が中心になるため、一般書店では入手できないことが予想されます。まず、阿部重夫氏の硬骨漢ぶりを示すエピソードを、『「選択」元編集長の再挑戦』(週刊AERA 2006年1月2日-9日号)から紹介します。

月刊誌「選択」の編集長だった時、後に贈収賄事件に発展する関連会社、選択エージェンシーの営業手法や経理状況を内部告発し、その地位を追われた。日本で数少ないクオリティーマガジンと言われてきた同誌の「闇」は多くのファンを失望させたが、同時に、最近ではすっかり珍しくなくなった「モノ言うジャーナリスト」の存在を知らしめてくれた。

それが、阿部重夫氏(57)である。日本経済新聞で金融・証券をカバーする編集委員として活躍し、新聞協会賞を2度受賞した。「選択」の編集長に転じた後は、誌面を通じて古巣・日経新聞の鶴田卓彦元社長のスキャンダルを追及し、硬骨漢ぶりを発揮する。やがて批判の矛先は「選択」内部にも向けられ、同誌をさることになった。

阿部氏が今回「ファクタ」を創刊するに至るには、現在の大手メディアに対する不満があります。

その阿部氏が2006年4月、かつての「選択」の部下たちと、会員制月刊誌「ファクタ」を創刊する。資本金1億2千万円は自己資金のほか、知りあいの数人の資産家から募ったという。

最近の大手メディアは広告主や政財界のVIPに気兼ねし、リスクを恐れて保身に走りがちな記者が増え、調査報道や批判精神が以前と比べて影を潜めているように、阿部氏に映る。だからこそ、新雑誌は「ファクト・ファインディングに徹したい」という。

「どのメディアも自主規制して、きちんと報道していないケースが多い。スクープの材料は目の前にいくらでも転がっています」

新雑誌では、「選択」と同様、「同志」とされる新聞社や放送局など大手メディアの記者たちが自社媒体で書けなかった原稿、つまり一種のアルバイト原稿を活用するが、従来の会員制月刊誌とは異なる趣向も考えている。

阿部氏のネットワークを活用して集めた第一線の記者が、「ファクタ」の執筆陣となるのは、「選択」と全く同じやり方です。ここで考えたいのは、阿部氏が「選択」の編集長を務めていた2000年から2003年頃と現在の状況との違いです。

当時は存在しなかったブログというメディアの登場により、現在では普通の人間でも一次情報を発信する環境が整ってきました。中には、プロの記者をリードする個人サイトも存在しています。立花隆氏は姉歯問題の情報の流れについて、次のように述べています。情報源は、ネットの日記が暴く耐震偽装問題の裏を読むです。

これは、マスコミの世界では知れ渡っていることだが、実は、この事件の特ダネはネタのほとんどが、連日のように書き込みがある、ある女性のブログから発している。その情報ページ『きっこの日記』はこの事件のはじめから登場し、終始この事件の展開をリードしてきた。

そのページは信じがたいほどに情報が豊かで、マスコミの多くが、まずそこから情報の端緒を得、それをウラ取りしてから記事にすることの繰り返しだといってもいいくらいだ。

国会でこの問題追及の花形になっている民主党の馬淵代議士のネタ元が彼女であることも、このページでバラされている。

また、問題の人物の一人、「イーホームズ」の社長が、彼女にメールを寄せて、自分も知らなかったことが沢山書かれているので、リンクを張らせてくださいといってきたこともバラされている。

関係者たちが記者たちに追われて、いろいろ弁明を繰り返すようになると、即座にその弁明がいかにデタラメかをあばき、それをつぶしていていった。

その筆者は誰なのか。書かかれている内容からすると、この業界の内部に深く通じている者にちがいないと思えるのだが、本人は、ヘアメイクを業とする体重43キロの女性としか書いていない。

今後はこの例のように、情報の正確さと早さでマスコミを凌駕する個人サイトが増えてくるでしょう。だとすれば、プロの記者が執筆するという理由だけで、新雑誌「ファクタ」が圧倒的に優位な立場にあるわけではありませんし、阿部氏が期待する通り「スクープの材料は目の前にいくらでも転がっている」状態でもないように思えます。ネットで無料の一次情報が溢れる中で、購読料を前提とする雑誌が成功するには、さすがにプロ記者だと読者をうならせる視点が必要になるはずです。

なお、新雑誌のサイト月刊FACTAには、本誌の"本番"記事が掲載され始めています。また、来年1月には見本誌も発行される予定です。見本誌は先着3000人まで無料で送付してもらえるので、興味のある方にはお薦めします。

このサイトを見ても、「ファクタ」の購読料がいくらになるのかは明らかにされていません。参考までに、他の会員制雑誌の価格を調べると、『選択』が一部1000円、『週刊金曜日』が一部500円となっています。おそらく新雑誌も、500円~1000円の範囲に収まるのではないでしょうか。



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