ライブドア・ショックがライブドア・スキャンダルに変わり、そして...
2006年01月20日
前代未聞の東京証券取引所売買停止措置を引き起こしたライブドアショックも、昨日で一応終息を迎えた感じです。世界第2の規模の株式市場がとった異例の措置は、世界中のメディアでも取り上げられています。その中でCNNは17日の段階で、ライブドアスキャンダルという言葉を使って、大々的に報じていました。
ショックとスキャンダルは意味が違います。株式市場全体が、ある1つの事象の影響により全面安となることを、その名前を冠して○○ショックと呼びます。有名なところでは、2003年4月25日に日経平均株価がバブル崩壊後の安値を更新した事件は、ソニーショックと呼ばれます。
これは前日に発表されたソニーの2003年3月期の連結決算の内容が、ネガティブ・サプライズとなったためです。しかし、ソニーショックの場合は、同社の違法行為が関与したものではありません。
ライブドアの場合も、市場全体にネガティブ・インパクトを与えたという点では、ショックであることは確かです。しかし、一部報道で伝えられる不正経理疑惑が正式に立証されていない以上、ライブドアスキャンダルという言葉を使ったCNNは、報道機関としては少し勇み足のような気がします。
それともスキャンダルという言葉は、芸能誌に見られるように比較的軽い調子で使ってもいいのでしょうか? 当のライブドアでは社内調査の結果、不正の事実はなかったと発表しています。とは言っても、元関連会社の社長が自殺するなど、スキャンダル色を強めているのも、また事実ですが。。。
同様に勇み足とも見える措置をとったのがマネックス証券です。疑惑の段階でライブドア関連5社の株式の担保価値をいきなりゼロとしたことを、与謝野金融大臣からも批判されています。これに対して、同社の松本大社長が反論コメントをホームページに載せました。
当社は、株式市場の重要な担い手の一つである証券会社として、また上場企業であるマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社の100%子会社として、その株主価値を守る責務があります。信用取引に於ける与信行為は、株式を担保に、お客様に金銭を貸与することです。個別の経営判断として特定の株式の代用有価証券としての担保価値の評価が困難になったと総合的に判断される場合に、その担保掛目を下げることは、経営の選択肢の一つであると考えております。
次に、当社の判断として市場にそのような状況が発生した場合には、当社のお客様である個人投資家の利益を守る為に、早期の注意喚起を行うことは、証券会社としての責務だと考えております。
顧客である投資家がリスクを取ることによって成り立っているのが、証券会社のビジネスです。その証券会社が、自分の方はリスクを取れないと公言しているようなものでしょう。今回の経営判断が「個人投資家の利益を守る」行為であるとは、到底思えません。
さて今回の事件が、後にライブドアスキャンダルと呼ばれるようになるかは、東京地検が証拠固めにどの程度成功するかにかかっています。もし捜査の結果、 立件できるに足る十分な証拠が見つからなければ、今回の事件は全世界のマスコミを巻き込んだ「ライブドア・バッシング」に過ぎなかった、という結果になる可能性もゼロではありません。
しかし、地検が捜査に踏み切ったからには、かなりの確証があるはずだと、数々の捜査事例に詳しい評論家の立花隆氏は予想しています。情報源は、ライブドア粉飾決算事件でITバブルは弾けたのかです。
この事件どこまで広がるか、現段階では全く予測がつかないが、一般論として、東京地検が捜査令状を取って、公然捜査に踏み切るのは、その前段階の予備調査、内偵で、これはモノになるとよほどの確信が持てた場合に限るということである。
確信は持てないが、とりあえず怪しいようなので、証拠集めのために、見込み捜査をやるなどということは、地検は絶対にやらない。検察は非公然予備調査の段階で、秘密裏に証拠を集める強力な手法を沢山持っている。
それに、相手が小泉首相とも距離が近く、落選したものの、前回選挙で当選していたら、小泉チルドレンの一人になったにちがいない人物である。見込み捜査でやったら、失敗した場合のリスクが大きすぎる。
検察は捜査に踏み切るにあたって、相当慎重にすでに入手している証拠の証拠評価と法律的な詰めをしているはずである。これほど堂々たる捜査に踏み切ったということは、検察当局がすでに立件するに足る証拠を手にしているからだと考えてよいだろう。
検察当局としては、近い将来、やっかいな耐震偽装事件の捜査に乗りださざるをえないことを覚悟しているはずで、それに相当のエネルギーをさかざるをえないということがわかっている状態でこの事件をかかえこんだわけだから、これは事案としては簡単なケース(証拠集め、立件がそんなに難しくない)と考えているのではないだろうか。
耐震強度偽装事件(姉歯スキャンダルとは呼びません!)への、東京地検のリソース投入スケジュールまで深読みするとは、さすが立花氏です。
海外メディアが今回の事件を大々的に取り上げているくらいなので、日々変化するオンライン百科事典の Wikipedia (英語版)での Livedoor のページも既に更新され、Fraud allegations (粉飾疑惑)という項目が設けられています。
記述されている内容は、正確な事実だけです。 Wikipedia そのものが信憑性を疑われる事件に見舞われた結果、慎重な編集姿勢をとり始めた影響でしょうか?
さらに、Takafumi Horie のページでも、今回の事件が Investigation for securities fraud として加筆されています。 結果としては、Livedoor、Horiemon とも極めて不名誉な形で、世界進出を果たしたことになります。
Takafumi Horie のページに、今後どんな内容が加筆されていくかは、予想もつきません。ちなみに、インサイダー取引で有罪となった、元祖カリスマ主婦マーサ・スチュワートのページは、こうなっています。
これを今回のケースに当てはめると、堀江社長は現在3番目の「Scandal」の最初の部分に位置していることになります。
マーサの記述はこの後、
起訴(3.1)、
事業の失速(3.2)、
判決(3.3)、
釈放(3.4)
と進みます。
注目すべきは、4番目の「Comeback」です。マーサの場合は、スキャンダルを克服して見事復活を果たしました。
極端な話をすれば、堀江社長も有罪判決を受けることになったとしても、その後に復活できる可能性もゼロではないということです。マーサが再起できたのは、敗者にも門戸を開く米国だからでしょうか?( 日本ではマーサ・スチュワートやマイケル・ミルケンのような復活劇は不可能?)
だとすれば、堀江社長も日本以外での再起を選べはいいだけの話でしょう。しかし、このストーリー展開は、そもそも堀江社長が自ら起訴事実を認めて、完全にクリーンなスタイルでの再起を、願うようになることを前提としています。今の時点で、こんなことまで考えて、所詮意味のないことかもしれません。
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