堀江・宮内はベストパートナーとして後日語られる道をどこで踏み外したのか
2006年01月24日
ライブドアの「陰の社長」と呼ばれていたのが、最高財務責任者(CFO)の宮内亮治氏(今後は「容疑者」と書くべきか?)です。CFOの手腕次第で企業の命運が左右されるのは、ライブドアに限った話ではありません。有能なCFOは、いまや引く手あまたです。そのような中小企業のニーズに応えるために、CFOを専門に派遣するサービスがスタートします。情報源は、『CFO派遣のデルタウィン、IPOやM&Aにも対応、中小企業向け』(2006年1月23日 日経産業新聞 21面)です。
CFO(最高財務責任者)の紹介・派遣を手掛けるデルタウィンCFOパートナーズ(東京・新宿、安藤秀昭社長)は2月から、中堅・中小企業向けにM&A(企業の合併・買収)や株式公開(IPO)の専門家を紹介・派遣するサービスを始める。経営の選択肢としてM&Aなどを検討する中堅・中小企業が増えているため、財務関連の人材を総合的に派遣できる体制を年内に整える。
デルタウィンは(1)M&A戦略の立案者(2)IPO担当者(3)常勤監査役、内部監査室長、コンプライアンス(法令順守)責任者といった企業統治(コーポレートガバナンス)関連の人材(4)中長期的な企業価値向上を担う経営企画室長・マネジャー(5)財務・経理部長――などを紹介・派遣する。
中堅・中小企業では自らM&Aを仕掛けるケースだけでなく、投資ファンドや他企業からの敵対的買収を受けるケースも出ている。また、オーナー系上場企業ではIPOと逆に、株式非公開化に動く事例も出ている。財務関連の多様なニーズに対応できるよう、幅広い人材を紹介・派遣できる体制を整える。
ライブドアの事件は、良くも悪くも企業経営におけるCFOの重要性を如実に物語るものです。この事件を契機として、CFO派遣サービスへの需要がますます高まっていくのではないでしょうか?
さらに今週発売の週刊AERAには、宮内氏が堀江社長と最初に出合った時の様子が載っています。情報源は、『ライブドア「陰の社長」の人生』(週刊AERA 2005年1月30日号 21~23ページ)です。
税理士として独立してまもなく、ニフティのフォーラムで出会ったある社長を通じて、顧問弁護士を探していた堀江貴文を紹介された。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)を創業したばかりの堀江からすると、パソコンやネットを知らない税理士では自分の会社はつとまらない、と考えていた。
初対面の宮内に、堀江はいきなりこう切り出した。
「うちはインターネットで世界一になるから」
すごいトンチキな野郎が現れたぜ。初対面で、いきなり世界一かよ──。月額2万円の報酬は1万5000円に値切られたが、以来、東横線で1時間以上かけて堀江のもとへ通う日々が始まる。
(中略)
突拍子もないロマンを語るものの実務に疎い堀江に対し、ナンバーツーの宮内は経営を切り盛りする事実上の社長、と言えた。
仮に今回の事件がなくて、ライブドアが成長を続けたとしたら、堀江、宮内の運命的な出会いは、後日「プロジェクトX」的文脈で語られる可能性もあったと思います。特に技術志向の強い企業の場合は、No.1とNo.2の相互補完的なパートナーシップ関係が成功をもたらすケースは、決して少なくありません。
例えば、ソニーの場合は盛田昭夫と井深大、ホンダの場合は本田宗一郎と藤沢武夫、といった2人の出会いがあったからこそ、その後の飛躍的な成長が実現したのです。それでは堀江・宮内は、なぜ「プロジェクトX」路線を踏み外す結果を迎えたのでしょうか?
堀江氏が最初に発した「うちはインターネットで世界一になるから」という言葉は、若者が純粋に夢を述べたものと考えるべきでしょう。「何を尺度として」世界一になるつもりだったかは、明らかではありませんが、少なくとも「時価総額で世界一」という発想はなかったはずです。
当時は一介のプログラマーでしかなかった堀江氏には、時価総額という言葉も知らなかったでしょう。「クールな技術で世界一」あたりを夢見ていたと想像するのが適当だと思います。後日、宇宙旅行をするために起業したと語っていますが、マスコミ受けを狙った後付という面が大きいと思われます。
その後、世事に長けた宮内氏に感化されて、堀江氏自身も時価総額で世界一が目標であると考えるようになったのではないでしょうか? 結局はライブドア全体が、時価総額世界一を目標とする方向へ加速していくことになるわけです。
時価総額で世界一を目指すことそのものは、決して悪いことではありません。しかし、組織全体がそれだけを目標にして突き進めば、目標のためには手段を選ばないという風土が生まれてきます。このあたりから道を踏み外し始めたと考えられます。
現在堀江社長は、暖房のない東京拘置所の独居房に収監されています。おそらくまんじりともしない一夜を過ごしたはずです。何の根拠もなく、「インターネットで世界一になる」ことを考えていた起業時の純粋な気持ちを思い出すことができれば、堀江氏が再起できる可能性は残っていると思います。(柄にもなく感傷的過ぎる結論か?)
★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。
| 最強CFO列伝 ― 巨大企業を操るもう一人の最高権力者たち | |
![]() | 井手 正介 日経BP社 2003-05-29 売り上げランキング : 82,333 おすすめ平均 ![]() 読み物としては面白いが 続編が読みたい。 伝記としては及第点だが、自説の展開は余計Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| CFO―最高財務責任者 | |
![]() | 浜口 直太 安生 浩太郎 日経BP企画 2002-02 売り上げランキング : 168,219 おすすめ平均 ![]() 実際の情報量はページ半分 CFOの役割が大まかにわかるAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| The CFO―ビジネスインテグレーターの時代 | |
![]() | セドリック リード ハンス‐ディーター ショヤマン Cedric Read 東洋経済新報社 2005-02 売り上げランキング : 164,572 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| CFO―最高財務責任者が企業価値を向上させる | |
![]() | 行天 豊雄 田原 沖志 日本CFO協会 ダイヤモンド社 2002-08 売り上げランキング : 88,135 おすすめ平均 ![]() 米国的経営 CFOとは何かを広く浅く解説 入門書です。Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| CFO入門―成功に導く40の解答 | |
![]() | 浜口 直太 日経BP企画 2002-08 売り上げランキング : 126,516 おすすめ平均 ![]() 確かにわかるけど… CFOを目指したくなりますAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| CFOインサイト~常勝企業のアウトソーシング術 | |
![]() | スチュワート・クレメンツ マイケル・ドネラン アクセンチュア 東洋経済新報社 2005-08-26 売り上げランキング : 39,329 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| ケーススタディ CFOの戦略会計―会計実践力が経営を強くする | |
![]() | 落合 稔 中央経済社 2004-06 売り上げランキング : 83,624 おすすめ平均 ![]() 読者対象を拡げ過ぎAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| CFOのためのバリュエーションと企業価値創造 | |
![]() | 井上 貴裕 藤森 裕司 矢崎 芽生 税務経理協会 2004-07 売り上げランキング : 280,891 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| CFOのための財務戦略 | |
![]() | 朝日監査法人 井上斎藤英和監査法人= 朝日新和会計社= 東洋経済新報社 2003-09 売り上げランキング : 157,466 おすすめ平均 ![]() 内容の薄い「べき論」 広範だが内容は薄い 財務部門、企画部門の実務者向けにもAmazonで詳しく見る by G-Tools |


読み物としては面白いが
続編が読みたい。

実際の情報量はページ半分



確かにわかるけど…




