ディズニーの取締役に就任し順風満帆のスティーブ・ジョブズの死角
2006年01月30日
ディズニーがピクサーを株式交換で買収するとことを発表しました。買収の結果、ディズニーの筆頭株主になるのが、ピクサーの大株主であったアップル・コンピュータのスティーブ・ジョブズCEOです。これによりジョブズ氏、はディズニーの取締役に就任することになります。
iPod の好調、インテルCPUの Mac の発売に加えて、ジョブズ氏の快進撃は留まることを知りません。しかし、アップルの勝ち組ぐあいが目立ってくると、ジョブズ氏に対する世間の目も厳しくなってくるものです。最初は今回の買収が引き起こす利益相反の問題です。情報源は、S・ジョブズを待ち受ける新たな課題--利害衝突への懸念が浮上です。
AppleがDisneyのコンテンツを最初の呼び物にしてビデオ配信分野に参入したことで、両社の関係は以前にも増して緊密なものとなっている。だが、コーポレートガバナンスに関する専門家のなかには、そうした両社の関係からJobsがかなり微妙な立場に置かれており、特にDisneyやPixarのつくる映画をAppleやライバル各社がオンラインで配信しようとしているなかで、これが切実な問題になると指摘する者もいる。
まもなくDisneyの筆頭株主となるJobsは、Appleの株式を1%保有する同社のCEOでもある。そういう立場にあるJobsが、常に利害が一致するとは限らない両社の株主を代表するという難しい課題に取り組もうとしていることが不安の種になっている。
Disneyの広報担当、David Caouetteは「取締役会がAppleとの業務について検討するような場合は、確実に利害の衝突を避けるために、適切な手続きがとられることになるだろう」と述べている。
Appleの関係者からこの問題に関するコメントを得ることはできなかった。
アップルは、この問題に関して明確なスタンスを示していません。どうもジョブズ氏、あるいはアップル社は、コーポレートガバナンスや企業の社会的責任といった問題に対して、あまり積極的ではないようです。
以前に携帯音楽プレーヤーで音楽を聴いていると、難聴になる危険性が問題視されている動きに関して投稿しました( iPod のパッケージに「健聴のために聴き過ぎに注意」の警告が載る?)。米国では、この問題が新たな展開を迎えています。 情報源は、iPod等の難聴問題:米議員、調査を要求です。
エドワード・マーキー米下院議員(民主、マサチューセッツ州選出)は26日(米国時間)、『iPod』など携帯音楽プレーヤーが難聴を招く懸念について、米厚生省の国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)に調査を要求したことを明らかにした。本当に危険があるのか、予防策はないのか調べるよう求めている。医療関係者が最近しきりに警告を発していたが、議員も関与する事態に発展した。
同議員は同日、NIDCDの所長に書簡を送り、どの程度のリスクがあるのか報告するよう要求。「音量が85デシベルを超えると問題」と言われている中で、それを超えたかどうか消費者が知る手段はないのか、回答を求めている。特に米アップルコンピュータ社が、iPodの最大音量の開示を拒んだという報道をふまえ、各社製品の音量の情報入手も促した。
携帯オーディオ・プレーヤーの危険性は iPod に限ったことではありません。しかし、圧倒的なシェアを誇るアップルが、この問題に対して明確な姿勢を示さずに、 iPod の最大音量の開示を拒否するのは関心できません。リーダー企業であれば、問題の深刻さを考えて真摯に協力すべきでしょう。
さらに、ジョブズ氏個人に対する厳しい見方も聞こえ始めました。マイクロソフトのビル・ゲイズはつまらない金の亡者でしかなく、かたやジョブズ氏は憧憬されるカリスマといった、ステレオタイプに対する疑問がそれです。 情報源は、ジョブズとゲイツ、真の「善玉」はどっち?です。
実は、2人の真のイメージはちょうど反対だ。世界を変えているのはゲイツ会長で、自分を必要とする社会の声に耳を貸さず、ひたすら金儲けに突っ走る資本家の役にぴったりなのはジョブズCEOのほうだ。
ゲイツ会長は、巨万の富を得るのにも熱心だが、寄付活動にも同じくらいの情熱を傾けている。世界の保健衛生上の問題を解決することを目指し、数十億ドルを投じているのだ。また、相続税の税率軽減をめざす計画に反対するなど、主要な政策についても自らの意見を公にしている。
これに対し、慈善事業の寄付者のリストでジョブズCEOの名前を見かけたことはない。また、重要な社会問題について発言したことも一度もない。あのたぐいまれな説得の才能は、もっぱらアップル社の製品を売ることだけに使われているようだ。
さらに、長期にわたって重要な意味を持つ社会的な問題だけでなく、個人的に大きな意味を持つと思われる事柄についてさえ、ジョブズCEOは支持を表明していない。自転車競技のランス・アームストロング選手と同様、ジョブズCEOはガンを克服してきた。だが、アームストロング選手と違って、ガンと闘うための募金や啓発活動を公の場で行なったことは今のところほとんどない。
社会的な事柄に対するジョブズCEOの無関心な態度をこうして検証してみて、ではなぜここまで高い評価を得ているのかと、私は混乱してきた。確かに、ジョブズCEOにはすばらしいカリスマ性があり、そのプレゼンテーションは舞台映えする。だが、社会的なやりとりから距離を置くその姿勢を知ると、なんだか小物に見えてくる。人々は自分たちなりの価値観をジョブズCEOに投影しているが、当人は巨大な富と力にともなう責任から身をかわしているのだ。
実際の行動から判断すれば、ジョブズCEOはあきれるほどの富を手にした、欲張りな資本家以外の何者でもない。それは恥ずかしいことだ。いっぽう、ほぼすべての面において、ジョブズCEOが手にしているロックスターのような称賛にふさわしいのは、むしろゲイツ会長だ。
マイクロソフトと同じように、あまり人気のない企業がインテルです。そのインテルの元CEOアンディ・グローブ氏も、ジョブズ氏と同じくガンを克服した経験の持ち主です。情報源は、がんの放射線治療です。
「インテル」という、世界中のパソコンで使われている部品メーカーの元会長にアンディ・グローブさんという方がいます。この方が前立腺がんになり、最終的にどの治療法を選択したかというてん末記を「フォーチュン」という経済誌に載せています(1996年)。
彼は10人ぐらいの医師にいろいろ聞いてまわり、やはり専門領域によって医師間にもそれぞれ主張があるということで、「自分の治療は自分で決めよう」と考え、自ら文献を調べて、各専門病院の治療成績を-コンピュータの会社の会長さんですから-治療法別に集計し、その結果彼は放射線治療(外部照射と小線源治療)を選択しています。
これは国立がんセンターの書いた文章なので、婉曲な表現になっています。実際には、人によって言うことが違う医者の言葉が信じられなくなったグローブ氏は、治療方法を自分で調べて決めることにしたのです。いかにも頑固者らしいエピソードと言えます。
そんなグローブ氏も、現役のCEOで多忙な時期でもスタンフォード大学で教鞭をとっていました。また、元々ハンガリー移民であった同氏は、自分を受け入れてくれた母校ニューヨーク市立大学に対して、2600万ドルの寄付しています。その際、「同校は真のアメリカンドリームを実現してくれるところだ。今後もそうあり続けてくれることを願っている」とのコメントを寄せています。
冷静に調べてみると、ジョブズ氏の社会貢献意識は、他のIT企業のリーダーに比べて薄いと言わざるをえません。アップル社のガバナンスに対する注目度がアップする中、ジョブ氏の変身にも期待しましょう。そうは言っても、「Stay Hungry. Stay Foolish.」でのカッコよさのように、他人には絶対真似できない魅力の持ち主であることは確かです( 天才ビル・ゲイツがスティーブ・ジョブズのようなカリスマになれない理由)。
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