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ジャコベリスの転倒シーンはティーボのリプレイ・トップ10の圏外だが

2006年03月01日

米国のティーボが、「トリノ冬季五輪中継で最もリプレイされた印象的な瞬間」を発表しました。必ずしも自国の選手が活躍したシーンばかりが、人気ではないようです。情報源は、米ティーボ:トリノ五輪中継で「最もリプレイされた瞬間」トップ10を発表です。

同社のDVRのユーザー2万人を対象にした調査で、開催期間中のリプレイ率トップ10と、開催16日間の日替わりのトップを集計した。全体のトップ10では、女子フィギュア銀のサーシャ・コーエン選手(米)の演技やインタビューが2、4、5位に入るなど、上位10位のうち8つまでをフィギュア関連のシーンが占め、同国のフィギュア人気を反映していた。

また、日替わりのトップでは、15日のショートトラック男子5000メートルリレー準決勝で、日本の藤本貴大選手がイタリアのユーリー・コンフォルトーラ選手と接触転倒し失格になったシーンがあがった。

オリンピック中継では、メダル獲得につながるような素晴らしいパフォーマンスが大きく取り上げられ、失敗や痛々しい災難はあまり強調されないため、こうしたシーンがかえって視聴者の興味を誘い、リプレイにつながったようだ。

意外な結果に驚きました。女子のスノーボードクロスで2位になったジャコベリス選手(20歳)の転倒シーンが、上位に入っていると想像していたのですが、ベスト10にも入っていません。

ゴール直前の不必要なパフォーマンスの失敗によって、ほぼ確実であったスノーボード種目での米国の金メダル独占を逸することになったわけですから、注目度もさぞかし高いだろうと思ってたのに、完全に当てがはずれました。

ジャコベリス選手の失敗は、米国ではそれほど論議の的にはならなかったのでしょうか? そこで、NBCのオリンピック特設サイトの記事を調べてみました。 情報源は、Snowboard culture shares blame with Lindseyです。

Sports columnists, television analysts and pretty much anyone over 40 were mortified. Seth Wescott, age 29 and the men's gold medalist in the snowboard cross, was thrilled.

Not so much by his teammate's brain lock just two hills from her own win in the event's Olympic debut. But he understood Jacobellis' excitement in the seconds before she opted to show off rather than show up at the finish line.

"It was good that she got carried away," Wescott said Saturday in an appearance with silver medalist Jacobellis. "It would have been a shame if she didn't."

40歳以上の人間は、彼女の行動に対して批判的なようです。一方、スノーボードクロスの男子金メダリストのウェスコット選手は、彼女の行動は同じ選手として理解できると擁護しています。

彼に限らず、総じてスノーボード関係者は、ジャコベリス選手に同情的です。

In a snowboarding shop in Sauze d'Oulx, technician Greg Bell agreed.

"What Lindsey did is fine. She tried to throw a bit of style into the jump. Unlucky she caught an edge on the landing," said Bell, a Dublin native now living in Italy. "It's mean-spirited to attack her for that. So she doesn't get to take home the golden souvenir. She knows how well she did. She knows how well she could have run in that race. It's sport. It's not war. It's not even a bad marriage."

たかがスポーツ、命のやり取りをする戦争でもあるまいし、大げさに騒ぐことじゃない、と言ったところでしょうか。

もちろん、彼女のせいで米国の金メダル独占の夢が破れたことを責める声も聞かれます。

"She ruined the U.S.'s ownage of snowboarding," another snowboarding.com posting said. "The U.S. had gold for every snowboarding event so far and she lost it when she had it. Hopefully, she isn't the only one who learned from her huge and costly mistake."

それでは、こうした事態を迎えて、彼女のスポンサーもおかんむりなのでしょうか?

Michael Lynch, a senior vice president for Visa, which used Jacobellis in a pre-Olympics ad campaign, said the snowboarder's marketability should survive the mishap on the mountain.

"She's a great person," Lynch said. "She's been an absolute pleasure to work with."

事なきを得たジャコベリス選手自身も、お金のためにスポーツをやっているわけではないと言い切っています。

Jacobellis had no concerns about the impact of her snowboard cross run on endorsement or sponsorship opportunities.

"I think it's silly for athletes to look at a sport as a way to get better deals and endorsements," she said. "It's about the love of the sport."

冒頭で紹介したティーボのランキングでは圏外でしたが、やはりジャコベリス選手の転倒シーンは、米国内で何度もリプレイされていました。彼女も、何の恥じることもなく、それを見ると答えています。たくましいものです。

On Sunday, she's flying home to Vermont for a rest and possible knee surgery. Her race has become one of the most replayed events in these Winter Games, and she's likely to catch it while channel surfing back home.

"Of course I'll watch it," she said. "It's something that happened, part of my history. It's not the worst thing in the world. I still came out with a medal."

実は私もジャコベリス選手のとった行動を批判する気はありません。特に、選手本人が後悔していないんであれば、それでいいんじゃない、という感じです。しかし、そう言い切れるのは、彼女が外国の選手だからかもしれません。これが日本選手の場合であれば、そう気楽には考えられないでしょうね。

話をわかりやすくするために、女子フィギアのフリー演技直前の荒川静香選手を安藤美姫選手に置き換えてみましょう。ショートプラグラム終了時では日本のメダル獲得数はゼロで、安藤選手はメダルを狙える3位にいました。彼女は、成功する確率は極めて低いのにも関わらず、悲願であったオリンピックの舞台での4回転ジャンプに挑戦します。

そして4回転ジャンプは大失敗に終わり、トリノ五輪での日本のメダル獲得数はゼロという悲惨な結果を迎えます。そうなったらきっと、日本では一斉に彼女の挑戦を無謀だったと非難する声が湧き上がるのではないでしょうか? バッシングの最中に、彼女を擁護する勇気のあるスポーツ選手は現れるのでしょうか? 彼女のスポンサーのトヨタは、笑って彼女を許してくれるのでしょうか?

へそ曲がりを自認する人間としては、そんな場合でも彼女を擁護する側に廻りたいと思います。


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