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NHKの広告放送実現性は低いが、ネット配信へのスポンサー需要は大

2006年03月02日

政府の意向を受けて国際放送の強化に意欲を見せるNHKに対して、小泉首相が釘を刺しました。 情報源は、NHK、チャンネル数削減を・首相、検討指示です。

小泉純一郎首相は1日、竹中平蔵総務相と首相官邸で会談し、NHK改革について、チャンネル数の削減を含め拡大路線の修正を検討するよう指示した。

首相は会談後、記者団にNHKの国際発信力の強化問題などに絡み「今のNHKの局数(チャンネル数)は多すぎる。海外発信を重視するならば、今までの部分を縮小しなければいけない」と強調。同時に「日本がどういう国なのかを発信するのは重要だ。ただそれはNHKの拡大路線を言っているのではない」と語った。

首相は2月初旬には、NHKの放送を通じた国際的な情報発信力の強化を求めていた。

小泉首相の発言は、国際放送強化の財源に広告収入を充てたいとする橋本NHK会長に対する牽制球だと考えられます。 情報源は、『NHK会長、広告導入も検討、国際放送強化の財源に』(2006年02月23日 日本経済新聞 朝刊 11面)です。

NHKの橋本元一会長は、日本記者クラブで会見し、国際放送強化のための財源に広告の導入も検討していることを明らかにした。実現にはNHKに広告を禁じる放送法の改正が必要で、民放の反発も強まりそうだ。

NHKに対しては政府から国際放送の強化を求める声が出ている。橋本会長は「財源として受信料がベストだが、補完する形でスポンサーからのお金や寄付金に近いお金など色々考えられる」と語った。

NHKは外国人を対象にニュースや情報番組を提供する海外向けテレビ放送「ワールドTV」などの国際放送を手がけている。受信料のほかラジオの国際短波放送に対し政府から交付金を受けているが、強化には衛星などの確保に資金がかかり、新たな財源が必要。

小泉首相の意図は、広告導入を計画するよりも前に、既存事業の見直しによる経費の大幅な削減など、NHKはやるべきことがまだあるはずだ、というものでしょう。消費税アップの正式論議を急ぐ財務省に対して、歳出削減が不十分な現段階では時期尚早とする考えに通じるところがあります。この点に関してはブレのない小泉首相の政治姿勢は、評価してもいいのではないでしょうか。

NHKの広告導入に関しては、民放各社は一斉に猛反対の声を上げています。小泉首相の冒頭の発言と併せて考えると、NHKの広告放送は当面の間実現することはないでしょう。しかし、インターネットでの広告付きの動画配信の可能性は、ゼロではないように思えます。

NHKは、すでにYAHOO! 動画gooなどのポータルサイトを通じて、「プロジェクトX」、「NHKスペシャル」といった看板番組の配信を開始しています。民放各社もネット配信に関しては、さほど神経質にはなっていないようです。こうした他社のポータルサイトを利用して、NHKが直接スポンサーから広告料を得る形態を採らなければ、広告配信も不可能ではないように思えます。

仮にNHK番組の広告配信が可能になったとすると、スポンサーを獲得する上で、民放番組に比べて大きなアドバンテージに恵まれるはずです。そのように考えるヒントは、スポンサー対策――民放テレビ番組を広告モデルでネット配信する時の「意外な課題」にあります。

PC向けの動画配信を広告モデルで行う事業者が登場し注目を集めている。ネット配信ビジネスにとって、課題は優良なコンテンツを取りそろえることであり、過去に放送されたテレビ番組への期待は大きい。しかし、民放が作った番組の制作費は広告のスポンサー企業が出している。それに別の広告をつけるとなると、慎重な配慮が求められることになる。

この記事では、民放が人気番組を再放送する場合に遭遇するスポンサー探しの難しさを説明して、同様の困難がネットへの転用でも生じる可能性を示唆しています。感単に言えば、番組放映時のオリジナル・スポンサーと競合する企業を、ネット配信のスポンサーにすることは、業界慣習上極めて難しいということです。

例えば、オンエア時にキリンビールがスポンサーであった番組のスポンサーには、アサヒビールはまずなれません。最近は、プロダクト・プレースメント的に番組内でもスポンサー企業の商品が登場する場合も少なくありません。こうした傾向を考えれば、民放番組が無難なスポンサーを見つけるのは、ますます難しくなっていくでしょう。

他方NHKの場合は、元々特定企業の商品やサービスが簡単にわかる取り上げ方を避けています。広告ヴァージンのNHKの人気番組は、スポンサーから引く手あまた状態になるような予感がします。


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