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セブンイレブンから撤退するチケットぴあは、リーダーの戦略としては?

2006年03月06日

ローソンが郵政公社の「ゆうパック」の取り扱いを開始したことにより、クロネコ宅急便のローソンでの扱いは中止になりました。今度は「チケットぴあ」が、同業他社のサービスの扱いを開始したことが原因で、セブンイレブンでのチケット販売から撤退します。 情報源は、ぴあ:セブン-イレブンと仲たがい チケット4月末で休止です。

チケット販売のぴあは3日、コンビニエンスストアのセブン-イレブンで行ってきたチケット販売・受け渡しのサービスを4月末で休止すると発表した。セブンが他のチケット販売会社との提携を拡大していることにぴあが反発したもので、チケット販売とコンビニの最大手同士の「仲たがい」だけに、行方が注目されている。

ぴあは年間4000万枚のチケットを販売しているが、01年11月からは電話などで注文を受けた映画や演劇、スポーツなどのチケット販売や代金支払い済みのチケット引き渡しサービスをセブンの店頭で行っている。

しかし、ネット経由でチケットを購入する利用者は年々拡大、サービスを提供する会社も増えており、セブンは昨年12月に芸能プロダクションのホリプロと提携し同様のチケット販売サービスを開始。2月からはチケット販売のCNプレイガイドと提携するなど提携先を増やしてきた。

これに対し、ぴあは「販売方法や払い戻し方法などが異なる」と他のチケット販売会社のサービスをやめるようセブンに求めてきたが、セブンは「消費者の利用に合わせて提携先を拡大する」との姿勢を崩さなかった。

ぴあ側の主張、「会社ごとに販売方法などが異なり、消費者が混乱する」には、全く説得力を感じません。ぴあのセブンイレブンからの撤退は、多様なサービスから選択する消費者の自由を奪うものでしかありません。ぴあファンの中でも、今回の行動には賛同する人は、ほとんどいないのではないでしょうか?。

今回の撤退により、ぴあは約2万4,000カ所ある販売拠点の約半分を占める、セブンイレブンの約1万1,000店分を失うことになります。マーケティング戦略として考えても、そのれだけのチャネルを失うリスクを冒すだけの意味のある決断なのかは、大いに疑問に感じられます。

一方、ローソンの件に絡んでヤマトが郵政公社を相手取って起こした訴訟でも、その主張は完全に退けられています。 情報源は、「ゆうパック」のコンビニ取次訴訟、ヤマト運輸が敗訴です。

日本郵政公社が郵便小包(ゆうパック)料金を民間よりも安く設定したり、不当な利益提供で大手コンビニエンスストアのローソンを取次店に勧誘したのは独占禁止法が禁止する「不公正取引」に当たるとして、ヤマト運輸が差し止めを求めた訴訟の判決で東京地裁(市村陽典裁判長)は19日、請求をいずれも棄却した。

判決理由で市村裁判長は「ゆうパックの料金が不当に低いとは言えず、ヤマトの事業活動を困難にさせる恐れも認められない」と指摘。郵政公社がローソンに不当な利益提供をしたとの証拠もないとして、「不公正な取引には当たらない」と述べた。

コンビニ側が同種のサービスを数多く取り揃えようとする意図は、極めて明白です。コンビニが期待しているのは、各種サービスからの扱い手数料収入に加え、そのサービスをきっかけに来店した顧客によって、商品の売上が増加することです。したがって、来店のきっかけとなるサービスは、多ければ多いほど都合がいいことになります。

こうしたコンビニ側の事情と、排他的な契約を希望するサービス事業者の思惑がぶつかるのは、ある面当然です。特に、ヤマトやぴあといった業界のトップ企業ともなれば、後発の他社と同列に扱われることで、プライドを傷つけられるのでしょう。また従属的な立場に置かれてしまうと、契約条件面が今より不利になることに関係があるのかもしれません。

しかし一般の商品ともなれば、同一カテゴリーの複数ブランドがコンビニで販売されるのは、ごく普通のことです。例えば、サントリーがコンビニ向け商品として、米スターバックスと共同開発したチルド(冷蔵)カップコーヒーが「ディスカバリーズ」シリーズです。

昨年9月末に登場した当時は、「シアトル(ラテ)」「ミラノ(エスプレッソ)」の2種類のラインナップでした。しかし発売4日目にして、予想を超える売れ行きで生産が追い付かず、「ミラノ」の販売が休止になったくらいの人気商品に成長しています。

チルドカップコーヒー市場のトップブランド「マウントレーニア カフェラッテ」を販売する森永乳業は、ディスカバリーの新規参入に反対して、コンビニから商品を引き上げたのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。 情報源は、『サントリー スターバックスディスカバリーズ』(2006年3月6日 日経流通新聞MJ 2面)です。

スターバックスのコーヒーだから売れたのであって、消費者にチルドカップコーヒーのマウントレーニアのライバルとして受け入れられたとは言い難い。ミルクっぽくせず、コーヒーの感覚を強く残したディスカバリーズは、むしろコンビニの缶コーヒーに物足りなさを感じていたコーヒー好きの男性を取り込んだのではないだろうか。

さらにディスカバリーズを飲んでチルドカップコーヒーのうまさを知った人が、市場全体の売り上げの増加に貢献した可能性が高い。マウントレーニアはディスカバリーズ発売後、売り上げが上昇し、前年同月比プラスが続いている。

スターバックスというグローバルブランドの新規参入は、チルドカップコーヒー市場全体を活性化させる効果をもたらしました。マーケットが拡大すれば、他社も新たに製品開発の努力し、消費者の選択も広がるという、好循環につながります。これが競争市場の理想的なあり方でしょう。

競合サービスの取り扱いが始まることで、セブンイレブンから撤退に踏み切ったぴあの決定は、同社の自信のなさの裏返しとも見てとれます。競合の参入に対して、より付加価値の高いサービスで対抗するのが、業界リーダーが本来とるべき戦略でしょう。


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