リヴァンプは企業再生会社というよりは役員派遣型コンサルティング会社
2006年03月08日
ファーストリテイリング元幹部の澤田貴司氏と玉塚元一氏が中心となって設立した企業再生会社がリヴァンプです。現在、同社はロッテリア、フージャース、トークツ、ネクストジャパンの再建支援を手がけていますが、今回新たにベンチャーの立ち上げ支援にも乗り出すことになりました。 情報源は、『企業再生のリヴァンプ、事業立ち上げも支援』(2006年3月8日 日本経済新聞 朝刊 12面)です。
第1弾として浄水器メーカーのOSGコーポレーションと共同出資で、ミネラルウオーターを事業所や家庭に宅配する新会社を月内に設立。経営幹部を派遣するほか販売促進などのノウハウを提供する。
新会社はウォーターネット(東京・千代田)。資本金3億円のうち半分強をOSGコーポ、残りをリヴァンプなどが出資する。全国のプロパン販売会社などとフランチャイズチェーン(FC)契約を締結。
FCを通じて専用給水装置を事業所や家庭に貸し出し、12リットル入りボトルに詰めた水を1,200円程度で販売する。OSGコーポが浄水器の製造で培った技術力を生かし、5年後に100万台の給水装置設置を目指す。
事業規模、ビジネスモデルの斬新さという点だけから判断すれば、ウォーターネットの新規事業は、決してニュースバリューがあるものではありません。リヴァンプが共同出資で支援に乗り出すというところが注目されて、日経新聞の記事になったのは明らかでしょう。日本型事業再生モデルを標榜するリヴァンプの動向に、マスコミが高い関心を寄せていることの証左と言えます。
この記事から得たもう一つの発見は、もはやリヴァンプを企業再生に特化した会社と見なすのは、誤りだということです。改めてリヴァンプ設立の経緯について考えみます。話は、ファーストリテイリング(FR)社長就任の要請を断って、同社を退社したの澤田貴司氏が、企業再生ファンドのキアコンを立ち上げた3年前に遡ります。情報源は、『企業再生最前線-企業再生を新たに担う 「ユニクロ」前社長、玉塚元一のプロ経営者への挑戦』(日経ビジネス 2006年3月6日 日経ビジネス 70~74ページ)です。
澤田は2003年に企業再生ファンドを立ち上げたものの、うまく進まなかった。出資者への還元が前提となるファンド運営に、自分が向いていないと気づく。大きな収益を狙って、ダイエー再建に名乗りを上げるも、2005年3月の最終入札で落選。「投資家でなく、企業のために働きたい」。ファンドからの撤収を視野に入れ始めていた。
2005年の7月には、もう一人の当事者、玉塚氏が業績不振を理由にFRの社長職を解任されます。結局、柳井会長からの慰留を固辞して、玉塚氏はFRを退社します。そこで企業再生への情熱を共有する2人が、再度リヴァンプでタッグも組むことになったわけです。
不良債権問題はひと段落、景気は回復しているが、個々の企業は後継者不足や業界再編など問題を抱えている。解決策は投資ファンド形式だけなのか。いずれ株式を売却するファンドと違い、企業を強くし、必要ならば経営に長く関わる。株式売却ではない形で報酬を得る事業モデルができないか。
リヴァンプの再生支援の特長の1つは、支援企業への独特の出資形態にあります。支援企業の株主となっても、通常の投資ファンドのように、再生完了時に株式売却での投下資金の回収を狙うわけではありません。リヴァンプの再生手法の理想像は、同社の第1号案件のロッテリアへの経営参画にも実現されています。
リヴァンプは、ロッテリアの株式の過半数を、ロッテから期間を限定し、無償で譲り受けた。オーナーとして企業統治を徹底させるためだ。そして会長兼CEO(最高経営責任者)に玉塚、社長兼COO(最高執行責任者)に篠崎が就いた。株式は再生したら返す。ここでは売却益は狙っていない。株取得はあくまで取締役会で主導権を握るためだ。
今後3~5年で再建を果たし、利益増加分の一定割合がリヴァンプの報酬となる。企業の利益が増えた分の一部を自分たちに還元してもらう発想だ。ファンドというより、コンサルティングのような位置づけで収益を得る。オーナーになりながら、大きな株式収益を狙わないのは“日本的”とも言える。
ロッテリアの社長に就任した篠崎氏とは、公認会計士の篠崎真吾氏です。記事中にはコンサルティングという言葉が使われていますが、リヴァンプのビジネスモデルは一般のコンサルティング・ファームとも一線を画すものです。戦略系コンサルティング・ファームは、顧客企業が提案した方策を実行(implementation)して成功する、しないに関わらず一定額の報酬を得ます。そこには成功報酬という概念もなく、極端な話をすれば提案が実行されなくても報酬は確保されます。
一方、再生企業の立場からして見れば、業績不振の会社が高額のコンサルティング料を払える余裕はありません。これらの点を考えると、トップの人材を派遣して自ら事業再建の陣頭指揮を執り、増益分から成功報酬を回収するリヴァンプのビジネス・モデルが、クライアント企業のニーズにマッチすることも理解できます。
また、このビジネス・モデルが有効なのは、問題企業の再生に限らないことも明らかです。今後はリヴァンプ型のビジネス・モデル(出資、役員派遣、成功報酬)が、冒頭の事例のようなベンチャーの立ち上げに活用される機会が増えていくことも、十分に予想できます。これからはリヴァンプを「企業再生会社」ではなく、「役員派遣型コンサルティング会社」と呼んだ方が、同社の実態に近くなるのではないでしょうか?
★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。
| 次世代CIO―最高情報責任者の成功戦略 | |
![]() | Karl D.Schubert 渡部 洋子 日経BPソフトプレス 2006-03 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 国の競争力 | |
![]() | マイケル・E・ポーター 世界経済フォーラム ファーストプレス 2006-02-28 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 現場を動かすマネージャーのための『戦略を実行する技術』 | |
![]() | デューク コーポレート エデュケーション 嶋田 水子 アスペクト 2006-02-27 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 80対20の法則を覆す ロングテールの法則 | |
![]() | 菅谷 義博 東洋経済新報社 2006-02-24 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 知の巨人ドラッカーに学ぶ21世紀型企業経営 | |
![]() | 一条 真也 ゴマブックス 2006-02-21 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 「まっとうな会社」とは何か | |
![]() | 奥村 宏 太田出版 2006-02-16 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け | |
![]() | ニール・ガーシェンフェルド ソフトバンククリエイティブ 2006-02-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 限界を突き破る戦略的事業連携37ステップ―スッキリ理解+シッカリ実践 | |
![]() | 池田 裕一 日刊工業新聞社 2006-02 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 競争環境における戦略的提携―その理論と実践 | |
![]() | 安田 洋史 NTT出版 2006-02 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 世界経営者会議 トップが語る新たな成長モデル | |
![]() | 日本経済新聞社 日経= 日本経済新聞= 日本経済新聞社 2006-02 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 事業投資と資金調達のための「事業戦略計画」のつくり方―成長戦略・新規事業開発を成功させるスキルと勘所 | |
![]() | 高橋 透 PHP研究所 2006-02 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 2010年グローバル勝ち組企業の条件 | |
![]() | 福住 俊男 英治出版 2006-02-06 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |













