米国人の職業選択の基準は、何歳になっても「収入より自由」
2006年04月17日
前回の投稿『日本の就職人気企業ランキングと米国の働きやすい企業ランキング』に引き続き、日米の職業観の違いに関する話題です。日本では「就職志望」という言葉を使っても、結局「どこの会社で働きたいか」という希望でしかなく、実態としては「就社希望」になってしまいます。
一方、米国では「就職希望」と言えば、文字通り「何の職業の就きたいか」ということを指します。MONEY誌とSalary.comが、2万6000人の労働者を対象にに自分の職業の満足度を調査した結果では、次のような順位になっています。情報源は、ソフトエンジニア職は満足度ナンバー1――米調査です。
Best Jobs in America 2006 Top10 順位 職業 平均年収(ドル) 1 ソフトエンジニア 80,500 2 大学教授 81,500 3 ファイナンシャルアドバイザー 122,500 4 人事マネジャー 73,500 5 医師助手 75,000 6 市場調査アナリスト 82,500 7 コンピュータ・ITアナリスト 83,500 8 不動産鑑定士 66,000 9 薬剤師 92,000 10 精神分析医 66,500
この調査は、「STRESS」「FLEXIBILITY(拘束される労働時間の短さ)」「CREATIVITY」「EASE OF ENTRY(就職しやすさ)」の4項目を基準にして採点したものです。注目すべきは、2位の「大学教授(College Professor)」と4位の「人事マネージャー(Human Resource Maneger)」以外は、組織に属することを前提とした職業ではない点にあります。この結果について、次のようなコメントが付いています。
「給与は仕事の価値を決める上で最も重要な要素の1つだが、今の労働者は以前よりも成長の可能性、昇進、ストレス、融通の利きやすさに基づいて仕事を選ぶようになっている」とSalary.comのマーケティング担当上級副社長メレディス・ハンラハン氏は発表文で述べている。
必ずしも達成感や給与が職業の人気には無関係という分析は、最も高給($247,536)の「Physician/Surgeon(医師)」が30位なのに、この3分の1程度の給与($75,731)の「Physician Assistant(医師助手)」が5位という結果にも、端的に表れています。医師助手が人気な理由は、次のようなものです。
[Why it's great] For most doctors, the worst part of their job is filling out paperwork and battling insurers. Physician's assistants get to skip all that. Under a doctor's supervision, they provide routine health care -- conducting physical exams, ordering lab tests, prescribing medications, treating illnesses.
[What's cool] Doctors' work, bankers' hours. PAs average 35 to 40 hours a week, and they can work part time and in a variety of settings.
[What's not] You're not the ultimate decision maker on patient treatment; there's little room for advancement.
この職業に人気のある理由は、医師のような書類づくりや保険会社との交渉といった面倒な仕事のないこと、労働時間が週35~40時間と短いことにあります。反面、患者を治療するに当たっての最終的な意思決定者とはなれないこと、昇進の可能性が低いことが、魅力的でない点として挙げられています。
これは仕事と私生活のバランスを第一に考える、普通の米国人の職業観を表しているのでしょうか? もう1つ特徴的なのは、この中で給与が一番低い8位の「不動産鑑定士(Real Estate Appraiser)」です。
[Why it's great] The housing boom has meant beaucoup bucks for appraisers in recent years, but the field hasn't gotten as crowded as real estate brokerage.
[What's cool] Abundant self-employment opportunities. Research isn't the pain that it used to be, thanks to the Internet.
[What's not] There's still a lot of legwork; advancement is limited.
インターネットのお陰で調査仕事も簡単にできるようになったこと、免許さえあれば独立開業できる機会が豊富にあることが、人気の秘密です。高い給与も貰って他人に使われるよりは、多少所得は減ったとしても独立して自由に働きたいということなのでしょう。
米国人の起業志向の高さは、何歳になっても変わることはありません。特にインターネットの普及により、個人の独立開業の可能性も高まってきたと考えてられています。情報源は、「インターネットは起業のカギ,何歳でも遅くはない」,米Yahoo!の調査です。
起業するのに限界と思う年齢を尋ねたところ,45~54才の70%,および55才以上の72%が「起業するのに年齢は関係ない」と回答した。前年の調査では,同様の回答の割合は45~54才が54%,55才以上が58%となっており,「45才以上のベビー・ブーマー世代で,起業への願望が明らかに高まっている」。
インターネットが起業のカギを握ると考える人が多く,92%が「新たな小規模事業にはインターネットのプレゼンスが重要」と答え,75%が「インターネットによって起業が実現しやすくなる」と述べた。
起業したい理由を尋ねたところ「好きなことを仕事にしたい」(31%)が最も多く,「自分で采配をふるいたい」(22%)がこれに続いた。「お金持ちになるため」と答えた人はわずか3%で,前年(6%)に引き続き低い割合となった。
この結果を見ても、米国人は「お金よりも自由」を選ぶ傾向が強いことがわかります。
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