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中央青山監査法人と米国SGI子会社の事業継続上の戦略的選択肢

2006年05月12日

金融庁は、中央青山監査法人に対して、法定監査業務を原則として7月1日からの2ヶ月間やめさせる業務停止命令を下しました。金融庁による正式発表を受け、同監査法人の奥山章雄理事長は、自身の引責辞任を含めた経営陣の刷新や、今後の展開に関する記者会見を行っています。情報源は、『中央青山、業務停止、自助努力で信頼回復』(2006年5月11日 日経金融新聞 3面)です。

――はっきりと改革の成果が出ていない中、辞任を決断した理由は。
「監査法人の改革というのは、そう一気にいかない。この一年で原点的なものはある程度できてきた。今後は、私よりも若い人たちに改革を実行してもらう方がいいと判断した」

――処分がもたらすダメージは。監査法人の存続そのものにかかわるのでは。
「今回の処分は、これまでの金融庁の処分に対する考え方に基づくものであり想定内だ。今後は(提携する国際会計事務所の)PwCの支援と我々の努力で、信頼を回復できる」

――会計士を丸ごと別法人に移して処分を避ける受け皿会社的なものを作る考えは。
「金融庁の処分を真っ正面から受けるつもりなので、そういうことは考えていない」

異例の厳しい処分を受けても、エンロン事件の影響で消滅したアンダーセンのようなことにはならないと、奥山理事長は考えているようです。しかし、一度失った信用を回復する困難さを考えると、中央青山の存続を危ぶむ声がなくならないのも当然でしょう。

そんな中央青山監査法人には、株式会社中央青山PwCサステナビリティ研究所という子会社があります。自分の親の事業継続性(sustainability)が心配されるようになるとは、なんとも皮肉な社名です。

社名に付けられているサステナビリティは、環境に負荷をかけない持続的な成長の意味で、ロハス(LOHAS = Lifestyles of Health and Sustainability)の "S" に当たります。この会社の事業内容も環境関連のディスクロージャーが中心です。したがって、金融庁が業務停止処分の対象とした法定監査とは無関係なので、子会社そのものは業務停止期間中も営業活動を続けることは可能なはずです。

そうは言っても、親会社の信用失墜は特に環境監査のような仕事に、悪影響を少なからず及ぼすことは間違いないと思います。今後成長が期待される環境関連のビジネスであるだけに、思い切って社名から中央青山の名前を外すことも、同社にとっては重要なマーケティング戦略上の選択肢の1つとなるのではないでしょうか。

続けて、順調に進みそうに見えた子会社のビジネスが、親会社の事情で想定外の展開を迎えそうだという話題を、もう一つ紹介します。 情報源は、日本SGIがマツダから「商談支援システム」を受注、構築です。

日本SGIは5月8日、マツダから販売会社向け商談支援システム「Visual IT Presentation」の構築を受注し、全国のマツダ系・マツダアンフィニ系販売会社への導入を展開していると発表した。マツダのブランドイメージ強化策の一環として導入されたもので、販売面において車づくりの強みをより効果的に伝える新たなマーケティング手法として期待がかかる。日本SGIは、このシステム構築において企画段階の早期から参画していた。

同ツールは、店頭において営業スタッフがPCを活用することでマツダ車の特長などを視覚的にわかりやく説明するもの。コンテンツとして、車の開発過程で生成される3次元CADデータや解析データなどを活用し、より視覚的な商品説明を狙う。

マツダでは、2007年3月末までに全国700店舗以上へ導入するとしている。

日本SGIにとっては、久々の大型受注を発表した翌日に米国から流れたニュースが、SGI、連邦破産法第11章の適用を申請です。

Silicon Graphics(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)は米国時間5月8日、財政破綻からの復活と組織再編を目指し、連邦破産法第11章の適用による破産保護手続きを申請したと発表した。

1990年代前半からさまざまな努力を続けてきたにもかかわらず、同社は赤字経営から脱却できず、投資家を失望させてきた。SGI株は2005年暮れ、ニューヨーク証券取引所の上場要件を満たせなくなり、取扱銘柄から外されている。

この報道を受け、日本SGIはすぐにプレスリリースを発表し、日本での事業継続性(sustainability)には問題のないことを強調しています。

日本SGI は、株式の約20%を米国Silicon Graphics, Inc.が保有しておりますが、NECが筆頭株主となるNECグループの連結子会社です。また、NECソフト、キヤノンマーケティングジャパン、ソニー、ニイウス コー、ソフトバンク クリエイティブといった国内大手企業の資本出資によって、日本企業として独自の事業を展開しています。

このように、今回の米国Silicon Graphics, Inc.のチャプター11の適用が、日本のお客様やパートナー各社の皆様、および日本SGI の事業展開に何ら影響をもたらすものではないことを申し上げる次第です。

日本SGIの株主構成は以下の通りです。

1NEC3,260,000株(40%)
2米国SGI1,956,000(24%)
3NECソフト 1,630,000(20%)
4キヤノン販売 815,000 (10%)
5ニイウス 407,500 (5%)
6ソフトバンクメディアアンドマーケティング81,500(1%)

資本構成から見ると、日本SGIはもはや日本の会社と考えもいいでしょう。このままSGIというブランド名を残すのか、それとも思い切ってはずすのか、社名変更を真剣に考るべきなのは中央青山の子会社の場合と同じだと思います。


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