ゴールドマンの共同出資を加速させて日本型企業再生を目指すリヴァンプ
2006年06月09日
ユニクロ元幹部2人、玉塚元一氏と澤田貴司氏が設立した企業再生支援専門会社がリヴァンプです。そのリヴァンプの玉塚氏のロング・インタビューが4回にわたり日経ビジネスオンラインに掲載されました。1回目:「経営者」が枯渇する時代を予感、2回目:いま、ユニクロ時代を振り返る、3回目:リヴァンプは「突入型再生」を目指す、4回目:カギは、変化を実感させることがそのタイトルです。
4回分を通読すると、リヴァンプが目指す「日本型」企業再生にかける玉塚氏の熱い思いが触れることができるはずですので、一読されることをお奨めします。今回は、ユニクロの社長であった玉塚氏がリヴァンプ設立に至った経緯を語る、3回目:リヴァンプは「突入型再生」を目指すの冒頭部分を引用します。
自分の限界だなと思ったのは、柳井さんはオーナーとして商売をつくり上げた人。僕は途中からやってきたサラリーマン。そこには圧倒的な違いがある。そこで次は自分もオーナーシップを持って、リスクを張って、経営に挑戦しようと決めたんです。
一方で澤田(貴司・現在リヴァンプの代表取締役・マネージングパートナー)さんは僕が本当に信頼している人です。彼がユニクロで苦労していたときに、僕はサポートしたし、僕もいろいろなことを教わった。彼がユニクロを辞めた後も、たまに会っては話をしていました。
それで僕は(退社)発表のちょっと前に澤田さんに電話して、「実は今回去ることになった」と。そしたら彼も、「俺も(ユニクロ退社後に設立した)ファンド(「キアコン」)という仕組みの限界を感じている。ファンドを持たない形で企業を元気にするスキームを考えている」という話になって。
そのコンセプトを実現する方法を色々と考えた結果、「いけるな」と思ったので、「一緒にやろう」と。僕と澤田さんが半分ずつ出して、資本金1億円でリヴァンプを作った。立ち上げてまだ7カ月ですが、ものすごくニーズがある。
この中で玉塚氏のパートナーである澤田氏が、当時社長を務めていたキアコンという投資ファンドの業務に限界を感じていたことが語られています。その事情を書いた以前の投稿 リヴァンプを創業した玉塚元一氏、澤田貴司氏の万年好青年振りには危うさもから再掲します。
真剣に再生を考えている企業に出資し、オーナーシップを発揮して心血注いで会社の再生を果たす。なんて理想的な仕事だとわくわくしていましたよ。だけど、ここでもすぐに「違うな」という違和感にとらわれた。ファンドにはそこに資金を出す投資家がいます。
ファンドの運営者、つまり僕は彼らから預かったおカネを増やして、お返ししないといけない。ということは、安く買って高く売るという行為に純粋でなければならないんです。それがファンドというものです。
しかし僕はファンドの運営者としては甘かった。あくまで経営者の視点で、投資先の会社の立場に立って企業再生をやりたかったということに、後から気づいたんです。でもその考え方だと、売ることを前提に(企業を)買うことができなくなるんですね。
出資者への短期的なリターンを第一義的な目的とするファンド型の企業再生と、マネジメント当事者として支援先の企業価値の最大化に、長期的なスパンで取り組みたいと考えていた澤田氏の理想との間のギャップが、顕在化したということでしょう。この反省からリヴァンプ設立時には、幅広く資金を募ることなく、澤田、玉塚の両氏だけが資本金1億円を折半で負担することで、外部の投資家の意向を気にせずに企業再生に取り組める経営形態を選んだわけです。
しかしながら、設立以来急速に支援先企業を増やしつつあるリヴァンプにとっては、自己資本だけで企業再生を実現することは、もはや不可能になりました。実際には再生資金を提供するパートナーとして、ゴールドマン・サックス証券(GS)がリヴァンプとの関係を深めつつあります。情報源は、『リヴァンプの新再建モデル ゴールドマンとの共同投資を拡大』(日経ビジネス 2006年6月5日号 11ページ)です。
2005年12月に靴卸大手のトークツから、両社が共同出資した新会社が営業権を引き受けると発表。この5月10日にも帽子・洋品卸大手アルプス・カワムラのほぼ全株式を両社半々で取得した。さらに「もう1つ、リヴァンプに案件を持ちかけている」とGSで企業再建を手がける戦略投資部の鎌田武ヴァイス・プレジデントは明かす。
企業再建に当たって、投資ファンドや支援会社の存在感は増す一方。しかし、ダイエーやカネボウのような大型案件以外で、共同投資するケースは珍しい。しかも大手外資と国内組が手を結ぶのはまれだ。「自己資金を持つGSと経営の現場を知るリヴァンプはいい組み合わせ」とGSの鎌田氏は言う。
米国資本の投資銀行であるGSをパートーナーに選ぶことにより、澤田氏が限界を感じたファンド型の企業再生に逆戻りするといった懸念はないのでしょうか? GSもリヴァンプ型の企業再生の手法に理解を示しているので、現状ではそんな心配は杞憂に終わりそうです。投資資金の回収(EXIT)に関しても、投資先企業の企業価値の最大化を長期的な目標と考えています。
GSとリヴァンプの共同投資は、数年で企業再生を終えて株式売却や新規上場で利益を得る従来の手法を変える可能性もある。
例えばアルプス・カワムラについては「ゆくゆくは製造小売りとして経営モデルを確立することも考えたい」(GSの鎌田氏)。業態変革のためにM&Aも視野に入れている。資金と経営ノウハウをふんだんに使い、時間をかけてもより高い企業価値を求める。
今後の共同投資について、リヴァンプとGS双方ともに「案件ごとに手を組む」としており、また新たなパートナーを加えることもありそうだ。
既に米国では、投資銀行やファンドがノウハウの共有とリスク分散を兼ねて共同投資する「クラブディール」が増えている。リヴァンプとGSの取り組みは、こうした流れを先取りした動きと言える。
外資系の投資ファンドというと、「ハゲタカ」という言葉に代表されるように、底値で買って高値で売り抜けるだけという風評がつきまとってきました。しかし投資ファンドの実態は、十把一絡げにできるほど単純なものではありません。
特にゴールドマン・サックスは、ゴルフ場やホテルなどの不動産事業の再生に長期的に取り組んできた日本市場での実績もあります。そのように考えれば、リヴァンプとGSがパートナーとして組むことで、新しい形の企業再生のモデルが生まれる可能性も決して低くはないでしょう。
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