もはや色あせてしまった「セレブ」に代わって登場する「ソーシャライト」
2006年06月29日
製品やサービスの販売策として、有名人(celebrity)による推奨(endorsement)を全面に打ち出したマーケティング手法をセレブリティ・マーケティングと呼びます。このセレブ・マーケティングの手法を活用したスパムメールが、米国の株式市場で事件を引き起こしました。情報源は、迷惑メール:風説を流布、株価6倍に 米化粧品会社です。
英ソフォスは26日(現地時間)、迷惑メールで米国の化粧品会社の風説が流布され、株価が6倍に跳ね上がる事例があったと発表した。「有名歌手が経営にかかわることになった」と偽り、株式投資を推奨。犯人は高値で売り抜けに成功したとみられる。
被害に遭ったのは、カリフォルニア州にあるサザン・コスメティクス社。「歌手のナオミ・ジャッドが経営に参画し、売り上げ急増が予想される」との偽情報を流された。メールが出回る前は株価が1セント程度にとどまっていたが、23日は6.6セントまで急騰。従来は、ほとんど取引がない状態が続いていたのに、出来高が急増した。
メールは「10段階評価で10点満点の推奨株」と記載。株価は100倍以上の「1.25ドルを目指す」と表示して、買いを煽っていた。ソフォスによると、迷惑メールの約15%がこうした風説の流布で、注意が必要という。
手口としては、日本の掲示板等で見られるような煽り調の風説の流布と一緒です。今回の場合は、ニセ情報が投資家向けのニュースレターで、それも手の込んだHTMLメールという形態で配布されました。これにセレブのお墨付きがプラスされたので、さらに信憑性が高まったのでしょう。比較的単純な手法だけに、日本でもこれを真似た犯罪が起きる可能性も否定できません。
さて、日本でもセレブという言葉が、日常語として使われるようになりました。例えば、先ほど起こった女子大生誘拐事件も、センセーショナルな見出しで勝負するメディアの手にかかれば、『超セレブ娘誘拐事件』といったタイトルに変わったりします。
これほどセレブという表現が気軽に使われるようになると、本来持っていたプレミアム感も失われてきます。このためマーケティングの現場では、セレブに代わる新しいキーワードとして、「ソーシャライト(socialite)」を使おうとする動きも見られ始めました。情報源は、『サマンサタバサ、米社交界著名人「ソーシャライト」、モデル・デザインに起用』(2006年6月26日 日経流通新聞MJ 6面)です。
バッグ・宝飾品製造販売のサマンサタバサジャパンリミテッド(サマンサJP)は米国の著名投資家夫人、ティンズリー・モティマーさんを広告モデル兼デザイナーに起用し、都内で新ブランドのバッグを披露した。ブランド名は「サマンサタバサbyティンズリー・モティマー」で、モティマーさんがデザインし、金色の金具使いが特色。今秋発売する。
モティマーさんは米国で「ソーシャライト」と呼ばれる著名人。ソーシャライトは社交界の名士という意味で、モティマーさんも実業家の家庭に生まれ、慈善活動や着こなしが米国のファッション誌の注目を集めているという。サマンサJPが年内に米ニューヨークに出店する店舗のアドバイザーも務める。
同社はこれまでベッカム夫人など「セレブ」をモデルなどに起用して話題を集めてきた。「セレブという言葉が広まり、何でもセレブと呼ぶようになった。これからはソーシャライトという言葉を広めたい」(寺田和正社長)。
Wikipediaでは、socialite は次のように説明されています。
A socialite is a person (male or female, but more often used for a woman) of social prominence who spends a significant amount of his or her time and resources entertaining and being entertained. A socialite is usually a member of the upper class or aristocracy. In the United States, socialites may be listed in the Social Register. Young women may be debutantes prior to being socialites.
The impact of socialites derives not so much from their artistic realizations (then they would be known primarily as author or performer, etc.) or from their official social stature (then they would be called politician, industrialist, etc.), as from their less-tangible ability to dominate the social scene and use personal charisma to achieve prominence. The term "socialite" may be used as one of several descriptive adjectives, as "author, entrepreneur and socialite."
どうも単純に有名であるだけでは、ソーシャライトの資格はないようです。果たして、叶姉妹はソーシャライトと呼ばれる資格はあるのでしょうか? 日本でセレブリティがセレブとなったように、ソーシャライトもソーシャとして通用するようなことになるのでしょうか?
Forbes誌恒例の世界の長者番付で12年連続でトップに輝いたのは、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏でした。総資産は500億ドルです。そのゲイツ氏は、2008年7月にマイクロソフトの経営の第一線から退き、自ら設立した慈善団体の活動に軸足を移す予定を発表しています。社業引退後のゲイツ氏が、「億万長者の起業家でソーシャライト(billionaire, entrepreneur and socialite)」といった肩書きで呼ばれる日が来るのかもしれませんね。
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