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小学生の子どもがグーグルを自在に操ることに感じる漠たる不安

2006年09月07日

百年コンサルティングの鈴木貴博氏のコラム「ググる」子供と、「ググれない」子供を読んでの話題です。コラムでは、塾の宿題をきっかけに鈴木氏のお子さん(小学6年生)が、グーグル検索のやり方を習得したエピソードが紹介されています。このエピソードから話題の中心は、デジタルデバイドへと展開します。鈴木氏は小学生時代から始まる可能性もある、現代のデジタルデバイドの直接的な影響について、次のように述べています。

同じ学校に通う子供でも、インターネットが使える環境の子供は検索したホームページを“コピペ”(コピー&ペーストのこと)して、大学の論文級のレポートが完成できる。一方でインターネットが家にない子供は、図書館で何冊も本を借りて、それを読みながら自力でレポートを書く(コピペなんて荒技はできない)。一晩に数ページのレポートを書くのが精一杯だ。

だから「デバイド」、つまり二極化が起こる。インターネットを利用できるのか、利用できないのかという、デジタル活用度の“貧富”の二極化が、子供の将来の“機会”の二極化につながるのではないかと、皆が危惧したわけである。

このようなレポートの例なら、まだ、本を読んで自分でレポートを書いた子供の方が内容は身についているかもしれない。しかし、現代のデジタルデバイドはもっと直接的である。

親が子供を塾に通わせているかどうかでまず差がついて、そのうえで家で子供が「ググれるか、ググれないか」でさらに差がつく。答えを調べて暗記するのであれば、問題集の解答欄よりもグーグルの方が能率がずっとよいからである。

これに続くのが、デジタルデバイドの負け組にならないために、自分の子供に検索をやらせるべきか、禁止すべきかという疑問です。

二極化をどう解消していくのかは、正直なところ行政に任せたい問題だ。一方で「ググる」ことができる年代になったら、子供に「ググらせる」方がいいのか、「ググらせない」方がいいのか?

僕個人としての考えでは、小学校6年生になったら、どんどんグーグルは使わせた方がいいと考えている。少なくとも、娘やその同級生の世代が大人になるころには、インターネットと英語は必須の世の中になっているはずだ。しかも、インターネットの“世界”は危ないことが多い。だから、早いうちから親の監視下で、良いことも悪いことも経験させておいた方がいい。

実際、娘専用のパソコンには、早くも怪しげなメールがたくさん届くようになっている。何をすると何が起きるか──実際に体験させながら、自分の身を守る方法を教えていかなければならない。

いずれにしても、うちの娘は既にパソコンとインターネット、それにケータイ世代に突入してしまっている。そうである以上、「ググれる」子供に育つようにしていくのは、親としての役目なのかなと思う今日このごろなのである。

検索スキルを現代版「読み・書き・ソロバン(計算)」の1つとして、積極的に教え込むかどうかはともかく、大人が日常使っている便利なツールを、合理的な理由なしに子供だけに使用を禁じるのは筋が通らないとは思います。しかし、便利だからといって、何でも子どもが大人と同じように使えば、思わぬ結果を招くこともあります。

現実社会ではほとんど使われる機会のなくなったソロバンが電卓に置き換わったことにより、どんな子供でも電卓で簡単に答えを出せるようになりました。その代償として子供の暗算能力は低下し、それを補うために「百マス計算ドリル」がブームになっています。親が子どもに百マスのドリルをやらせるかどうかの違いが、新たなデバイドの種になったりします。

情報収集スキルという意味ではグーグルでの検索は、「読み・書き・ソロバン(計算)」の中の「読む」スキルに当たると思います。これも調べる対象がWikpediaを始めとしたWebでは駄目で、書籍の百科事典であればOKという合理的な理由も見つからないので、当然許されるべきでしょう。

しかし「読む」を検索に置き換えることで、問題が生じないわけではありません。例えば、小学校の宿題で読書感想文が出題されたとします。今の時代、Webを検索すれば、本の粗筋や時には読後の感想も見つかることも、珍しくないでしょう。

運良く他人の感想文が見つかった場合、自分で本を読んで感想文を書く代わりに、他人の文章を利用したくなったとしても不思議ではありません。その方が圧倒的に楽ですから。また、自分で読むよりも複数の人間の感想文をまとめた方が、結果としてはバランスの良い作文ができあがるとも思います。バランスは良くても、 きっとつまらない中身になるはずです。

検索結果のコピペが増えると、最も悪影響が出のは「書く」能力です。書けなくても、読み方さえわかればパソコンが漢字変換してくれる昨今では、大人も含めて漢字力は著しく低下しています。国会議員の杉村太蔵氏も、自身のブログで「岐阜」という漢字が書けないことを公言して憚らない世の中でもあります。百マス計算に加えて、漢字ドリルも必要です。

ましてやWebで検索した文章をコピペするだけであれば、変換の必要もないので漢字が読めなくても自分の文章にしてしまえます。大学生が中身も読まないで、コピペした文章でレポートを提出するのも普通に行われています( 当世大学事情:罪悪感なくコピペを繰り返す学生と遅刻に罰金を科す教授)。既に悪影響は顕在化しつつあると言ってよいでしょう。

ここで、我々大人が日々のビジネスでやっている「仕事」の中身を考えてみました。計算はスプレッドシートまかせ、リサーチは2次情報収集(Secondary Research)という大義名分でWeb検索結果のコピペで済ますことで、ほとんどの事務処理をこなしています。学生同様、大人の計算力と文章力も低下しているのは確実でしょう。

効率性を重視するあまり、オリジナリティが損なわれているのは、子ども宿題や学生のレポートに限ったことではありません。かといって、今更職場でコピペが全面禁止されたら、世界中のビジネスマンの仕事が成り立たなくなるのも事実でしょう。

大人が日々平気に行っている検索結果のコピペを、子供にだけ禁止するというのは説得材料に乏しくなります。やはりコピペを繰り返していると、ろくな大人になれないので、止めましょうと言うしかないのでしょうか。いっそのことコピペは成人するまで禁止する法律が必要な時代なのかもしれません。

なお余談になりますが、鈴木のコラムのタイトルにある「ググる」という表現は、Googleの日本法人より、お墨付きをもらっています(日本語の「ググる」はOK?)。

Googleが、「google」という言葉を英語の一般動詞として使用することに対し難色を示しているが(関連記事)、日本語でも一般動詞化しつつある「ググる」という言葉の使い方について、同社はどう考えているのだろうか。

この件について日本法人のグーグル広報部では、「多くの人にグーグルを知ってもらうきっかけともなるため、大変うれしいこと。米国では googleという社名そのものが動詞として使われていて、商標に問題が生じる可能性もあるため対策を取ろうとしているが、日本の場合は、グーグルという言葉ではなく、“ググる”と変化した形で使われているため、特に問題にはならないだろう」と述べた。

商標そのものの「グーグル」がNGで、「ググる」はOKだとすると、音声上は商標と同じの「グーグる」はどうなんでしょうか? 『グーグる! Googleで知識が100倍増える本』なんていう本も存在するのですが。


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