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強引さの目立つ片山さつき氏の夫龍太郎氏は企業にコンプライアンスを説く

2006年09月21日

何のサプライズもなく安倍晋三氏が自民党総裁に決まりました。注目されるのは今後の党内・閣僚人事ですが、小泉首相のようなサプライズはあるのでしょうか? 小泉政権最後の組閣で経済産業大臣政務官に就任したのが片山さつき氏です。政務官とは副大臣と同じく大臣を補佐する職務ですが、その権限は副大臣に比べれば大幅に制限されています。英文でも副大臣が Vice Minister と表記するのに対して、政務官は Parliamentary Secretary です(正確には「でした」)。

今年の2月に、片山さつき氏が本来 Parliamentary Secretary とすべきところを、 Vice Minister と名刺に印刷するという事件が起こりました。さつき氏は、Parliamentary Secretary では「議会に仕える補佐官」と訳すこともでき、国際会議で軽んぜられると考えたからです。結局、政府もこの主張を受け入れ、政務官の英語表記を Vice Minister に変更するのを正式に認めることになりました。

結果だけから判断すれば、さつき氏の主張は正しかったことになります。しかし、英文呼称とはいえ肩書きを無断で書き換えてしまうとは、さつき氏らしいやり方です。その他にも、自分の政治資金パーティーへの参加を呼びかけるメールを、経済産業省職員に対し送信するなど、その強引振りは批判を浴びています。今回の組閣で、本当の副大臣になることはまずないでしょう。

なにかと物議をかもすことの多いさつき氏の夫が、産業再生機構執行役員マネージングディレクターの片山龍太郎氏です( 橋本龍太郎氏の次男に続き、片山龍太郎氏の妻・片山さつき氏も総選挙出馬確定)。産業再生機構は予定より早くその役割を終えることになったため、龍太郎氏も9月末で同社を退任します。

龍太郎氏は、ソフト会社のソフトブレーンと前ニューヨーク市長のルドルフ・W・ジュリアーニ氏経営のコンサルティング会社とが合弁で設立した会社の社長に就任します。合弁会社の業務内容は次のようなものです。情報源は、ソフトブレーン、コンプライアンス事業で元NY市長ジュリアーニ氏の企業と提携です。

ソフトブレーンは8月3日、前ニューヨーク市長のルドルフ・W・ジュリアーニ氏が率いるコンサルティング会社、米Giuliani Partnersと提携を結び、企業統治や内部統制、コンプライアンス強化に関するコンサルティング事業を共同で展開していくことを発表した。

Giuliani Partnersでは、コンプライアンス分野に特化した子会社、ジュリアーニ・コンプライアンス・ジャパン(GCJ)を設立している。ソフトブレーンは10億円を出資し、GCJの発行済み株式の16.66%を取得する形で提携する。

共同事業の詳細は今後1カ月程度をめどに決定していく方針だが、GCJでは日本版SOX法の施行を視野に入れ、米Giuliani Partnersのノウハウを生かし、コーポレートガバナンスや内部統制に特化したコンサルティングサービスを展開していくという。

龍太郎氏のGCJ社長就任に関して、ソフトブレーンは次のように発表しています。

片山氏は㈱マルマン、マルマンゴルフ㈱、㈱産業再生機構を通じ、延べ17年間に渡る豊富な会社経営と事業再生の経験を有しています。特に産業再生機構においては、カネボウ、カネボウ化粧品、マツヤデンキ、富士油業の再生を総括責任者として担当し、カネボウ、カネボウ化粧品では社外取締役を務めました。

精査した総括担当案件をすべて支援決定に持ち込み、再生計画を上回る実績を示し、成功裡に投融資を回収した再生機構唯一のマネージングディレクターです。

片山氏はこれらの経営経験、企業再生経験において、適切な内部統制、コンプライアンスに基づくより良いガバナンスが企業の継続的な発展に非常に重要であると考えています。

産業再生機構において担当をした企業において、ガバナンスの欠如による業績の悪化を目の当たりにしており、その再構築を実践してきました。

今回のGCJ 社代表取締役Co-Chairman 兼社長、CEO の就任にあたり、コンプライアンス、内部統制の適切な整備と実践を支援することにより、顧客企業のガバナンスと企業価値に多大な貢献ができるものと考えています。

日本版SOX法の施行により内部統制、コンプライアンスに関するコンサルティング・ニーズが拡大することを狙って生まれたのがGCJ社です。新会社の業務内容と龍太郎氏のキャリア志向が一致した結果、今回の社長就任となったのでしょう。実際には、この種の専門サービス対するニーズがどれくらいあるのかは未知な部分も多く、単独ビジネスとして黒字化も確実視できるものではないでしょう。

GCJの業務内容は、簡単に言えばクライアントに対して「企業倫理と遵法精神を教える」もので、外聞をはばかるようものは一切ありません。この点では、清廉潔白さを要求される国会議員の夫の仕事としては理想的です。

一方、龍太郎氏より一足早く産業再生機構を去った余語邦彦氏は、パチスロメーカーのアルゼの代表取締役兼CEOに就任しています(アルゼCEOに就任する余語邦彦氏はファンドマネジャーとしては優秀だか)。アルゼの事業分野を蔑視するわけではありませんが、パチスロメーカーの世間体があまり良くないのは事実です。

選挙民の反応を考えれば、旦那がパチスロメーカーの社長になって喜ぶ国会議員はいません。龍太郎氏にはありえない選択のはずです。なお余語氏本人は、再生機構に入る直前の職場は、当時は問題企業の光通信でした。自分の能力が最大限生かせると考えれば、世間の風評というのは、気にかけない性格の人なのでしょう。

さて、ニューヨーク市長退任後幅広くビジネスを手がけるジュリアーニ氏は、こんな事業も展開しています。情報源は、『前NY市長のコンサル会社、安全管理で顧問契約』(日経産業新聞 2006年9月20日 ページ)です。

シンガポールのカジノ開発に名乗りをあげる米エイス・ワンダーが米同時テロ当時ニューヨーク市長だったルドルフ・ジュリアーニ氏の安全管理コンサルティング会社と顧問契約を結んだ。カジノ開発入札で安全対策を売り物にするのは珍しく、落札結果次第で同氏がシンガポールのカジノに関与する可能性が出てきた。

投資会社ジュリアーニ・パートナーズ傘下のジュリアーニ・セキュリティ&セーフティがエイス・ワンダーと提携。カジノを含む総合リゾートには外国人が多数集まる見込みでテロの対象になり得る。避難経路や空調の設計など開発の初期段階から最新の安全対策を導入。危険情報収集など運営面でも協力する。

カジノのセキュリティと言うと近代的で格好もいいようですが、賭場を守るヤクザのような仕事という感じもします(極端か?)。あまり外聞の良い仕事ではありません。ところで、先ほど紹介したソフトブレーン、コンプライアンス事業で元NY市長ジュリアーニ氏の企業と提携の最後には、こんな記述もありました。

また、2006年3月に設立され、セキュリティやリスクマネジメントに特化したコンサルティングを行うジュリアーニ・セキュリティ・アンド・セーフティ・アジア(GSSA)とも協力し、内部統制からコンプライアンス、セキュリティにまたがる包括的なサービスを展開していく方針だ。

龍太郎氏が社長に就任するGCJ社の業務内容が立派そうなだけに、危ない感じもするGSSA社の業務にも拡大することは、妻のさつき氏は喜ばないように思います。そもそもさつき氏は、夫の仕事の中身には何の関心もないといった見方もできます。しかし、一刻も早く大臣になりたい人が、選挙に不利なことは避けたいと考えるのは確かでしょう。


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