テレビポータルサービスの「acTVila(アクトビラ)」はぐっとこないネーミング
2006年10月05日
松下電器産業やソニーなど電機大手が出資するデジタルテレビ向けの共通プラットフォームを提供する「テレビポータルサービス」が、インターネットを利用したテレビ向け情報提供サービスを来年2月にスタートします。「acTVila(アクトビラ)」と名付けられた新サービスの概要は、次のようなものです。情報源は、デジタルテレビ向けポータル「acTVila」、07年2月スタートです。
acTVilaは対応テレビへブロードバンド回線を利用して情報や映像などを配信するサービス。利用に際しては高速回線のほか対応テレビが必要。松下電器産業の「Tナビ」対応テレビはそのまま利用可能となる旨が発表されたが、それ以外については、STBの提供などで対応していく考えだ。登録料や月会費は不要で、ISPや回線の種類も問わない。
これがテレビ機能の取り込みが進むPCへの対抗策として、テレビ側が出した回答なのでしょうか? 結局、この種の新サービスが普及するかどうかは、いかにユーザにとって魅力的なコンテンツを供給できるかにかかってきます。しかし、現状の「テレビポータルサービス」の参加企業を見ると、大手家電メーカーばかりで肝心のコンテンツ供給会社の名前はありません。
言うまでもなく、家電メーカー自身によるコンテンツ供給力には限界があります。 今後は、「acTVila」の共通プラットフォームに、どれくらいのコンテンツ事業者が協力してくるかが、成功の鍵となることは間違いないでしょう。
ところで、私が気になったのは「acTVila」と書いて「アクトビラ」と読ませるネーミングのセンスです。私は「アクト」+「ビラ」というネーミングから、中高年向けのリゾートマンションを想像してしましました。「アクティブ・シニアのためのヴィラ(villa:別荘)」とか。
テレビポータルサービスのブランドコンセプトには、こう書かれていました。
「デジタルテレビ(TV)を介したネットワークへの重要な“トビラ”として、アクティブ(active)で、活き活きとした(alive)情報サービスを提供し、インタラクティブなコミュニケーション世界(village)を創造していく」という、「アクトビラ」が目指す世界を表現しています。
「アクトビラ」とは、英語のTV、active、alive、そしてvillageから合成したネーミングでした。最近は、このように日本語のようでもあり、外国語のようにもとれるといったネーミングが流行しています。著名コピーライターがこうしたトレンドを分析した記事を紹介します。情報源は、『ネーミング&コピーライター岩永嘉弘氏――「外国語風」(日経産業新聞 2006年10月3日 5面)です。
最近出た「グッスミン」がその典型。一見、外国語みたい。薬によくあるスタイルのネーミングだ。しかし、よく観察すると、「グッスリ」という言葉と「眠」でできている。しかも、「酢」も入っているという多重構造のネーミングです。
「酢が入っていてよく眠れる」というセールスポイントを、見事にわずか3音節で表現している。ずいぶんと欲張ったネーミングです。
トマト酢とグァバジュースが主原料の飲料。「だからよく眠れる」とは、広告でははっきり言えないらしい。だから、眠気を感じさせるヴィジュアルを添えて、ネーミングでずばり、「グッスミン」ときたわけだ。まさにネーミングならではの裏技。ニクイ伝達方法である。
こんな表現は、やっぱり日本語の掛け算だからこそ可能なこと。だけど、ちょっと洋風の匂いは欲しい。というわけでこんなカタカナ・ネーミングが登場とあいなるのだ。
いったい、最近のこの手の合成和語ネーミングは、どこからきているのだろう。
同じ種類の競合があまりにも多い。開発競争で付加価値勝負が必須となる。そうなると抽象的なイメージのネーミングでは、勝てない。よく売るためには、商品特性の分かりやすさ、セールスポイントの明快表記、といったことが絶対条件だからではないか。
分かりやすい具体的なメリットを表出したネーミングが必須だと、メーカーが気付いてきたからではないだろうか。それが、こうした外国語風カタカナ・ネーミングに結実しているのだろう。
この記事を読んで、改めて「アクトビラ」のことを考えてみました。おそらくこのネーミングを決める前には、いろいろな試行錯誤があったのでしょう。トビラという意味では英語のドアを使うことも考えたが、ライブドアのイメージが強いので避けることにしたとか・・・ 個人的には、「テレビによるテレビのためのポータルサービス」という意味を表現するには、素直に社名と同じの「テレビポータルサービス」で良かったのではないかと思います。
ライブドアと言えば、元ライブドア(正確には前身のオン・ザ・エッヂ)の幹部という関係から、一時期テレビに盛んに登場していた人物がいました。自称「オープンソースプログラマー」の小飼弾氏です。この10月から小飼氏がITProでコラムの連載を始めました。コラムのタイトルは、なぜか『404 Title Not Found』です。
連載初回の記事では、コラムのタイトルを決めなかった理由が述べられています。タイトルが時として実態以上に重要であるからこそ、あえてタイトルをつけないことにしたということが、その理由のようです。テレビでの言動を見る限りでは、奇人変人、いわゆるキワモノの印象が強かった小飼氏ですが、このコラムを読むと冷静に自己分析している人物であることがわかりました。
最後に、マーケティングにおけるネーミングの重要性を解説した新刊書を紹介します。本名の長嶋有で書いた「猛スピードで母は」で芥川賞を受賞したコラムニスト・ブルボン小林氏の『ぐっとくる題名』です。以下がアマゾンでの紹介です。
■名タイトルにはワケがある!文学、漫画、映画、音楽など、ジャンルを横断した55作品の題名を分析、その魅力を語り尽くす。タイトル付けに悩むすべての人におくる、実用派エッセイ集。
『ゲゲゲの鬼太郎』が、文法的に正しい『ゲゲゲな鬼太郎』だったら、ここまで印象に残ったか?(助詞の使い方)
『課長島耕作』の安定に比べ『取締役島耕作』の落着かなさは、「音」に理由がある!(韻とリズム)
ツァラトストラが「こう言った」ではなく、「かく語りき」だったからこその豊かさとは?(古めかしい言い方で)
『部屋とYシャツと私』で意図的に隠されている事柄とは?(言葉と言葉の距離)等々、著者が「ぐっときた」55の名タイトルを例に、心に残る理由を考察する。
第3章には、本名の長嶋有名義の作品のタイトル付けに関する裏話も収録。
さらにアマゾンでは、新しい試みとして筆者自らのメッセージも聴くことができます。
【Amazon.co.jp 特別企画】
ブルボン小林氏の「Amazon.co.jp独占音声コメント」を聴く
★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。
| ぐっとくる題名 | |
![]() | ブルボン小林 中央公論新社 2006-09 売り上げランキング : 737 おすすめ平均 ![]() ぐぐっとくる内容 ぐっとくる文章!Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 猛スピードで母は | |
![]() | 長嶋 有 文藝春秋 2005-02 売り上げランキング : 45615 おすすめ平均 ![]() 看板に偽りなし。 少しは成長できたはず・・・ 芥川賞?Amazonで詳しく見る by G-Tools |
| 泣かない女はいない | |
![]() | 長嶋 有 河出書房新社 2005-03-15 売り上げランキング : 79478 おすすめ平均 ![]() 思えば遠くに来たものだ 静かで日常的な断片 静かな恋もいいなAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| 夕子ちゃんの近道 | |
![]() | 長嶋 有 新潮社 2006-04-27 売り上げランキング : 71675 おすすめ平均 ![]() 長嶋さんの真骨頂!! さらっと読みたい人にAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| パラレル | |
![]() | 長嶋 有 文藝春秋 2004-06-26 売り上げランキング : 128017 おすすめ平均 ![]() 誰にでもあてはまる日常だけど面白い! 昔の恋を思い出すのかな 現代において上品であることAmazonで詳しく見る by G-Tools |
| いろんな気持ちが本当の気持ち | |
![]() | 長嶋 有 筑摩書房 2005-07-26 売り上げランキング : 109147 おすすめ平均 ![]() 小説の方が好き 本を読んで笑いたい人に!! 以外にロジカルAmazonで詳しく見る by G-Tools |




ぐぐっとくる内容
ぐっとくる文章!
芥川賞?

さらっと読みたい人に


