「はてブ」も数あるソーシャルブックマークの1つと考えるのは間違い?
2006年10月07日
『はてなブックマーク(はてブ)』でブックマークされた数がブログでも表示できるようになりました。情報源は、「ブックマークされた数」をブログに埋め込める機能、はてなが公開です。
はてなは2006年10月5日、任意のWebサイトやブログに、それが「はてなブックマーク」でどの程度ブックマークされているか(被ブックマーク数)を表示する「はてなブックマークカウンター」を公開したと発表した。指定されたHTMLソースを自分のWebサイトやブログに貼り付ければ、被ブックマーク数がカウンターのように画像で表示される。はてな以外のWebサイトやブログにも埋め込める。
はてなブックマークは、同社が提供するソーシャルブックマークサービス。ユーザーが注目しているWebページやブログの記事を登録し、ユーザー間で共有可能にする。多くのユーザーがブックマークしている記事はそれだけ注目度が高いと言えるため、被ブックマーク数はWebサイトやブログの人気を測る指標の1つとなっている。
この記事を読んで、また新しい人気ランキングの1つが始まったのか、程度の感想を持ちました。ちなみに私はコアなはてなユーザではありません。しかし、中には「はてブ」には特別の思い入れ、あるいは一種の権威を感じている人も多いようです。ジャーナリストの佐々木俊尚氏もその1人です。情報源は、検索エンジンが「ユーザーのその日の気分」を知る方法(中)です。
はてなブックマークは当初、技術者を中心にしたネット業界の人たちによって利用された。だがはてなの知名度が上がり、それに応じてはてなブックマークの人気が高まっていったのに従って、利用者も増えていく。ブックマークを行う母集団が大きくなっていったのだ。この母集団の増加は、果たして集合知をより良くすることに役立つのか、それとも衆愚化してしまうのか?――という疑問は、いまやWeb2.0の世界の最もホット、かつ重要なテーマになりつつあるように思われる。(中略)
結局のところ、はてなブックマークが持っていた価値というのは、「ネット業界の狭い世界の中の人たちがブックマークしていた」ということだったように思える。つまりは一般のネットユーザーとは異なる狭いコミュニティーの中から集合知を生み出していたわけで、だからこそ一般のニュースサイトは異なる貴重なブックマークを抽出できたのだ。だから、はてなブックマークのユーザーが増えて母集団が増えて大衆化していくと、一般ニュースサイトと同じようなブックマークが抽出されるようになるのは、当然の帰結である。言い換えれば、はてなブックマークがロングテールからショートヘッドへと転換してしまったということなのだ。
はてなを先進的なコミュニティのツールと考えてきた古くからのユーザが、「はてブ」の権威が参加者の増加によって希薄化したと懸念するのは、十分に理解できます。SNS人気化の背景には、こうしたコミュニティ感の希薄化を不満を感じた人々が存在するのも、また事実でしょう。
はてなユーザの増加がその価値の低下を招いているといった、いわゆる衆愚化の問題を、当のはてなはどう考えているのでしょうか? その回答のヒントになりそうな記事を見つけました。週刊東洋経済「IT経営者が語る私のお気に入りの3冊」(2006年8月12-19ページ)の中で、はてな社長の近藤淳也氏が1番目に紹介している本は、極めて象徴的です。
はてなの近藤淳也社長が挙げるのは、ちょっと変わったタイトルの本だ。すなわち『「みんなの意見」は案外正しい』。
「非専門家である不特定多数の人が集合的に出す結論が正しいという本著の内容は、ネットビジネスを展開するうえで興味深いものです。多くの人の力を少しずつ借りながらインターネットサービスを提供しようという取り組みをするうえで、示唆を与えてくれます」
| 「みんなの意見」は案外正しい | |
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アマゾンでの『出版社/著者からの内容紹介』はこうなっています。
人間は集団になると烏合の衆と化し、愚かな行動に走ると言われてきたが、それは違う。一握りの天才や、専門家たちが下す判断よりも、普通の人の普通の集団の判断の方が実は賢いのだ。多様な人間が、独立して判断を下す重要性を説き、インターネット世界を中心に広まる「たった一人のユーザーの判断の積み重ねが価値を生む」という新しいコミュニケーションのあり方を提言する。来るべき未来社会のスタンダードを示す必読書。
近藤社長自身は、自社のサービスの価値が、佐々木氏が考えるように「一般のネットユーザーとは異なる狭いコミュニティーの中から集合知を生み出していた」とは、思っていないことが推測できます。だとすれば、はてなユーザ層が一部の専門家から広く一般の人に広がることによって、その価値が減じるとも考えていないはずです。
はてながユーザの拡大を目指すのは、SNSのようなクローズドなコミュニティを志向していない点でも、まったく矛盾はありません。また、オープンなユーザ参加型のサービスの提供者側が、コンテンツの質をコントロールすることは所詮不可能です。
はてなが、数あるソーシャルブックマークに対する差別化要因として考えているのは、コンテンツの質ではなく機能性の向上にあるはずです。その1つが、今回リリースされたブックマーク数を表示するサービスでしょう。同時にAPIも公開されているので、コアなユーザも満足させる「はてならしさ」も、あるように思うのですが。
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