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油断大敵 絶頂期を迎えつつある任天堂を襲う傲慢化の罠?

2006年12月21日

ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「PLAYSTATION3」(PS3)、任天堂の「Wii」、マイクロソフトの「Xbox360」の三機種が出そろった新型ゲーム機商戦では、任天堂が予想通り圧勝しています。また、マクロミルが行った購買意欲調査でも、任天堂のの強さが光っていて、まさに現在の任天堂は、向かうところ敵なしといった状況にあります。情報源は、新ゲーム機3機種の購入意向、女性にも人気の「Wii」がトップ--マクロミル調べです。

家庭用ゲーム機所有者に、新ゲーム機の購入について尋ねたところ、任天堂の「Wii」は、「既に購入した(予約済みも含む)」5%、「購入したいと思う」 32%で、購入意向が37%となり、新ゲーム機3種の中ではトップとなった。

ソニー・コンピュータエンタテインメントの「PLAYSTATION3」(PS3)は「すでに購入した(予約済みも含む)」2%、「購入したいと思う」22%となっており、合計で購入意向は24%、マイクロソフトの「Xbox360」では、購入意向が5%という結果となった。

性・年代別に購入意向を比較すると、PS3は男性で33%、女性では15%に留まっているのに対して、Wiiの購入意向は男性で40%、女性でも35%となっており、女性も男性に匹敵する購入意向があることが分かった。さらに、女性では年代が上がるほど購入意向が高くなっている点も特徴となっている。

女性マーケットの開拓に成功したのは、携帯ゲーム機「DSライト」に引き続き任天堂の独自のマーケティング戦略が奏功したからでしょう( ブルーオーシャン戦略が成功したニンテンドーDS Liteは人気過熱でCM自粛)。

こうした好調振りを受けて、株式市場では任天堂の業績予想を上方修正する動きも見られ始めました。情報源は、『株式相場展望-フィーチャー-強気優勢、高値2万円予想も 消費好転と増益持続力が試される「亥年相場」』(日経ビジネス 2006年12月18日 124~128ページ)です。

2006年度通期の会社側業績予想は、総じて控えめと言われる。そんな中、中間決算発表で通期の業績予想を上方修正した企業も少なくない。このうち最も注目されるのは修正率ランキングの12位に登場した任天堂である。

携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」がゲームに縁のない層に支持されヒット。12月には据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」を発売し、波に乗る。同社は10月3日、通期の連結経常利益を従来予想の1,450億円から1,700億円に引き上げた。主要アナリストの予想をまとめたQUICKコンセンサス(15社ベース)は、会社側予想を上回る1,828億7,000万円。株価は2005年8月からほぼ一本調子で上昇を続けており、業績の上振れを織り込み始めている。

好事魔多し。しかし、向かうところ敵なしと思われた任天堂にも、一転して想定外の問題が立て続けに起こることになります。

  1. 米インターリンク、Wiiリモコンの特許侵害で任天堂の米国法人を提訴
  2. ニンテンドーDS、ACアダプタ20万台の不良が発覚--無償交換へ
  3. 任天堂、Wiiリモコンストラップの無償交換受付を開始
  4. Wiiリモコンのストラップ問題、米国で集団訴訟に発展か

相次いで任天堂を襲った問題の中で、現実的に業績にインパクトがありそうなものは、DSとWiiの製品不良に伴う回収問題ではないでしょうか。しかし、現在の任天堂の勢いを持ってすれば、回収費用そのものは業績を左右する金額にはならないのかもしれません。

また、製品不良の問題も対応さえ間違えなければ、企業イメージに深刻なダメージを及ぼすこともないでしょう。ところが実際には、Wiiリモコンのストラップ回収に関して発表したリリースに、疑問も投げかける声も聞かれています。情報源は、変な取材です。

Wiiの北米発売直後から、プレイ中にストラップが切れてリモコンがテレビにぶつかり、テレビが壊れた、などという体験談がネット上で出回っており、任天堂が対応に乗り出した。

だが回収にあたって出したリリースには「不慣れなお客様がWiiリモコンを操作中に手から離されてしまう可能性を想定して、付属品としてストラップを用意した」「想定を超えた動作をされたことにより、ひもが切れるという報告があった」など、まるでリモコンが手から離れる「想定外の」遊び方をしたユーザー側に問題があるかのような書き方がされているのが気になる。「Wiiリモコンは強く振らなくてもゲームプレイに支障はありません」とあるのはその通りなのだろうが、強く振ってしまうのもゲームに熱中すればこそ、ではないだろうか。

私自身は発表されたリリースの内容に、この記事が指摘するほどの「傲慢さ」を感じることはなかったのですが、このような指摘を受けるのは任天堂の存在が大きくなったからなのでしょうか? あるいは、訴訟問題に発展することを警戒して、自らの非を認めるような表現を控えた結果とも考えられます。

傲慢にもとれる自信ということから思い出したのが、「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の使い勝手の悪さを指摘されたソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)の久夛良木健氏社長(現会長)の発言です(トップたるものは時に率直に誤りを認め、時には持論を曲げない頑固さも)。

これが、私が考えたデザインだ。使い勝手についていろいろ言う人もいるかもしれない。それは対応するゲームソフトを作る会社や購入者が、この仕様に合わせてもらうしかない」。こう話すのはソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)の久夛良木健社長だ。彼が言うのは昨年12月12日に発売し、爆発的な人気を博す同社の携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」だ。あまりの話題性から品薄状態が続いている。

(中略)SCEもボタンが戻らない点については不具合と認めている。一方、ボタンを押しても画面が時に反応しない点に関してはSCEは不具合ではないと説明する。ボタンの位置は左右対称なのに、本体内部でボタンが押されたことを検知する部分の位置は非対称だ。結果、問題が指摘されるボタンだけは、他のボタンのように真下に検知部分がない。この点が反応しないことがある原因ではないか。本誌の疑問に関して久夛良木社長は次のように説明した。

「使用する液晶画面はこれ以上小さくしたくないし、PSP本体もこれ以上大きくしたくなかった。ボタン位置も狙ったもの。それが仕様。これは僕が作ったもので、そういう仕様にしている。明確な意思を持っているのであって、間違ったわけではない。世界で一番美しいものを作ったと思う。著名建築家が書いた図面に対して門の位置がおかしいと難癖をつける人はいない。それと同じこと」。

久夛良木社長は、これまでもソフトメーカーやユーザーの声に右顧左眄しない姿勢を貫いてきた。プレイステーションを世に送り出した時、手で握れるグリップ型のコントローラーを初めて採用し、後にゲーム界の主流となった。

久夛良木氏がこうした発言を行った2005年1月には、SCEはゲーム市場で圧倒的な強さを誇る絶頂期にありました。そうした実績に裏付けられた、自分が最高と考える設計仕様にユーザが従うべきといった同氏の考え方が、メーカーの原点である、ユーザの素直な声を聞くという姿勢を見失わせてしまったのではないでしょうか?

結果論と言われればそれまでですが、そうしたSCEの隙を突いて、任天堂の快進撃が始まったとも考えられそうです。

現在の任天堂は、当時のSCEと同じような絶頂期に近づきつつあります。Wiiリモコンのストラップ回収のリリースに違和感を覚えた人がいることは、「業績好調がもたらす傲慢化」の兆候と解釈すべきでしょうか? 敵は意外に社内にあるもので、とりあえず油断は禁物でしょう。


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