2006年ベストセラーNo.1は藤原正彦氏、10年前の春山茂雄氏は破産
2006年12月27日
2006年の年間ベストセラーが発表されました。これは、2005年12月から2006年11月までの年間ベストセラーをトーハンが調査したものです。
【1位】国家の品格
【2位】ハリー・ポッターと謎のプリンス
【4位】えんぴつで奥の細道
【5位】病気にならない生き方
今年度の1位となった国家の品格の著者は、数学者でお茶の水大学教授の藤原正彦氏です。3年前の2003年の年間ベストセラーは、同じく大学教授の養老孟司氏の『バカの壁』でした。どうも理数系の大学の先生には、ベストセラーを書く才能があるのかもしれません。
ところで、今からちょうど10年前の1996年の年間ベストセラーのトップを占めたのは、医者の春山茂雄氏が著した、『脳内革命』と『脳内革命2』でした。春山氏は同書の中で、脳内モルヒネ(ベータエンドルフィン)を出すことで「125歳まで生きられる」と主張しています。
煎じ詰めれば、「ハッピーなことを考えるとハッピーなホルモンが出てきてハッピーになる」といった、超ポジティブ・シンキングを臨床的な裏づけがありそーに分析した本です。そうは言っても、西洋医学の成果を駆使しながら、東洋医学の思想に基づいて考え直すという新規性は、当時の右脳ブームの先駆けとなり、大きな注目を集めました。
その春山氏が東京地裁より破産手続きの開始決定を受けました。情報源は、ベストセラー「脳内革命」著者の春山茂雄さんが破産です。
ベストセラーとなった「脳内革命」の著者で、神奈川県大和市で田園都市厚生病院を経営する春山茂雄院長が26日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。春山氏の破産に伴い同病院の経営継続が困難となり、約140人の入院患者は近隣の病院に移送される。
県医療課や大和市によると、破産手続きの開始決定を受けたのは、春山氏本人と関連する6法人という。同病院は87年3月に春山氏が開設し、病床数は260。内科や外科、脳神経外科など16の診療科がある。
大和保健所は近隣の12病院に対して、急遽入院患者の受け入れを要請しているようですが、年の瀬が迫った突然の破産で、関係者は対応に苦慮しているようです。
「脳内革命」がベスセラーになった理由は、当時神がかり的存在であった経営コンサルタントの船井幸雄氏が推薦したからとか、同書のもっともらしい分析は「ニセ科学」ではないか、といった風評も絶えませんでした。そうした批判に対して、同氏はこう答えていました。情報源は、『田園都市厚生病院院長春山茂雄氏――『脳内革命』をめぐり批判』(日経産業新聞 1997年2月6日 25面)です。
――講演や執筆活動で、医者としての活動に手がまわらなくなってきたのでは。
「私はあくまで医者。(院長を務める)田園都市厚生病院では、今も週に2日は診療し手術もこなすようにしています。しかし、講演回数が年間400回にも上り、病院にいられる時間もおのずと限られてきました。これからは“春山イズム”を受け継ぐ後進の育成に力を注ぎたい」
――その“春山イズム”が「宗教的」「科学的根拠がない」などの批判を浴びているが。
「本の影響で病院の患者数が増えたのを、快く思わない人が面白おかしく書いているととらえています。ただ、私は叩かれれば叩かれるほど燃えるたち。事実無根の糾弾は腹立たしく思うが、“意識の切り替え”で乗り切る」
――今後も、医業以外のビジネスを広げるのか。
「スポーツクラブやエステサロンを集めた東京・新宿の健康テーマパーク内に、カルチャースクールを作る。そこで哲学を教え、脳内革命の効果をより高めたい。勝算はあります」
「私はあくまで医者」と言いながらも、年間400回もの講演活動をこなし、カルチャースクール開設に邁進する姿は、完全にビジネスマンに思えます。しかし、こうした批判を尻目にビジネスは順調に拡大し、その利益は税務署から隠さなければならないほどに膨らんでいました。情報源は、『「脳内革命」春山さん、6億5000万円申告漏れ、3億円余追徴へ』(日本経済新聞 夕刊 1998年5月27日 19面)です。
ベストセラー「脳内革命」の著者で医師の春山茂雄さん(58)が東京国税局の税務調査を受け、1996年までの5年間に約6億5000万円の申告漏れを指摘される見通しとなったことが27日、分かった。一部は仮装、隠ぺい行為を伴う所得隠しと認定され、追徴税額は重加算税を含め3億円余に上るとみられる。
関係者によると、主に問題となったのは春山さんが申告所得を算出するに当たり、収入から経費として差し引いていた本人や親族が経営するファミリー企業に対する支出だという。
税務調査について春山さんは「ノーコメントだ」と話している。春山さんには神奈川県大和市で経営している「田園都市厚生病院」の事業収入のほか、本の印税収入や講演料収入などがあり、これらから事業に必要な経費を差し引き所得を申告していた。
あらためて一連の報道を眺めてみると、遮二無二に事業の多角化に邁進した春山氏が、本業を忘れて破産するようになるもの、想像できないこともありません。一躍マスコミの寵児となったホリエモンの末路と似たようなものでしょう。
春山氏が注目を集めてから10年間も持ったのは、動きの早いIT企業ではなかったからといった違いだけでしょう。まあ、「超ポジティブシンキング」をモットーとする春山氏には、破産からの「再チャレンジ」に成功することで、脳内モルヒネの効果を証明する絶好の機会かもしれません。
さて、今年のベストセラーNO.1を飾った藤原正彦氏も、『国家の品格』以降急速に執筆のピッチが上がっています。少し調子付いているとは言えないでしょうか?(失礼) 「品格」を説いていた学者さんが、10年後には破廉恥罪で捕まるなんてことはないでしょうね。(冗談です。すいません。)
【おまけ】
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