NHKがテレビドラマ復活を期して制作したのが、毎週土曜日放映中の経済ドラマ「ハゲタカ」です。
このドラマは、2004年に発表された真山仁の同名の小説「ハゲタカ」を原作としています。昨年来のホリエモン、村上ファンド等の経済事件によって、外資系投資ファンドの存在が身近なものとなり、連続ドラマの題材として選ばれることになりました。
テレビを見たことがない人のために、以下に簡単にあらすじを紹介します。情報源は、『注目の経済ドラマ「ハゲタカ」を語る-ファンド資本主義は日本社会をどう変えたか』(週刊東洋経済 2007年3月10日 98~103ページ)です。
米国の投資ファンド「ホライズン・インベストメント・ワークス」の敏腕ファンドマネジャーである鷲津政彦(演じるのは大森南朋)と、大手都銀・三葉銀行のエリート幹部である芝野健夫(柴田恭兵)の対決を軸に展開される。かつて鷲津は三葉銀行丸の内支店に勤務しており、芝野は当時の上司だった。
貸し渋りによる取引先の倒産と経営者の自殺に直面した鷲津は銀行を去り、米国へ渡る。そして5年後にホライズンの日本代表として帰国した鷲津は、不良債権ビジネスを通じて三葉銀行と対決。芝野との再会を果たすことになる――。
昨日、その第4回目「激震! 株主総会」が終わりました。
2004年。莫大な資金を背景にNY本社から「大空電機」の買収を命じられる鷲津。一方、企業再生家となった芝野は、社長の塚本(大杉漣)から同社の再建を依頼される。かつての名門大空電機も今や赤字にまみれ、創業者である現会長の大木昇三郎(菅原文太)は癌を患い瀕死の状態。
筆頭株主となった鷲津は、赤字部門の切り離しを芝野らに迫る。だが、それは大空電機の下請け工場である由香の実家の工場の閉鎖も意味していた。かつて、自らの貸し渋りで死に追いやった由香の父親のことが忘れられない鷲津は、深い苦悩を抱えたまま株主総会に挑む。
あくまで合理性を訴える鷲津に対し、病床の大木からのメッセージが届き、会社への切なる思いが伝えられる。情に訴えた形で戦いは芝野らが僅差で勝利。
今回放送分のクライマックスは、カリスマ経営者と呼ばれた創業者大木会長の手紙を、株主総会の場で芝野が代読する場面です。手紙には、終戦後の混乱期に起こした町工場を、現在の総合家電メーカーまでに一代に築き上げた、創業者の熱いメッセージが込められていました。創業者の強い信念に動かされた出席者が、会社側提案に賛成票を投じるという形で、株主総会は無事終了することになります。
「創業の原点に帰る」という言葉は陳腐なようではありますが、カリスマと呼ばれる人間が語ればそれなりの迫力のあるもので、現在でもよく使われています。それは日本人経営者に限ったことでもありません。
この2月には、スターバックスのハワード・シュルツ会長が社内向けに送ったメモがインターネット上に流出しました。「スターバックス体験のコモディティ化」(The Commoditization of the Starbucks Experience)と題されたメモは、会長自らが現状のスターバックスを否定し、原点回帰の必要性を強く訴えるものでした。
危機感に駆られたとは言え、現役のトップ経営者が語るにはあまりにも衝撃的な内容であったために、流出当初はそのメモの信憑性を疑う声も多かったようです。しかし、それが本物であることは後日スターバックス自身によって確認されました。
800語に及ぶこのメモの中でシュルツ氏は、過去10年間にわたって事業を拡大させるために行ってきた数々の意思決定が、「スターバック経験の希薄化」と「ブランドのコモディティ化」を招いたと述べています。当時としては最適の判断(部分最適)だった個々の意思決定が、全体として合わさると最適な結果(全体最適)ではなかったのではないか、というのがその論点です。
現在のスターバックスが創業時の原点から離れてしまった例として、シュルツ氏が具体的に指摘した部分は以下のようなものです。