« YouTubeにある政府の偽ブランド品撲滅キャンペーン広告の効果は? | メイン | ネーミングの罠「すててこ・ロングトランクス」と「個人請負・IC」 »

Topネット/ブログ/SNSブログ > ブログのヤラセとドキュメンタリーの仕込みとの間のグレーゾーン

ブログのヤラセとドキュメンタリーの仕込みとの間のグレーゾーン

2007年01月10日

本日の日経産業新聞の1面を飾ったのが、「BR」という聞き慣れないタイトルの記事でした。Blogger Relation(ブロガー・リレーション)の略がBRで、米国の企業ではPR手法の1つとして、BRが注目されているという内容です。情報源は、『PRからBRへ(ウェブが拓くBizスタイル2.0)』(日経産業新聞 2007年1月9日 1面)です。

シリコンバレーの中央部に位置するカリフォルニア州サニーヴェイル。民間のベンチャー支援施設「プラグアンドプレイテックセンター」の一室に、テックダートのオフィスがある。ブログ(日記風の簡易型ホームページ)を活用した企業向けコンサルティングを手がける社員14人の同社が2006年10月に始めた新サービスが、大企業の間で話題を呼んでいる。

「通信」「コンピューターセキュリティー」「企業向けソフト」などテーマ別に分けられたリストには、各分野の市場動向や技術に精通したブロガー(ブログの書き手)約250人の名前が並ぶ。「テックダート・インサイト・コミュニティー」と名付けられたこのサービスは、ブロガーたちと直接対話したい企業にその機会を提供するユニークな試みだ。

「企業は既存の調査会社やアナリストが提供するありきたりの製品評価や市場分析では満足しなくなっている。一方で爆発的な勢いで増えているブロガーの中には特定の製品やサービス、技術の動向について優れた洞察(インサイト)を持っている者が少なくない。両者を橋渡しする仕組みができればおもしろい」。自らもシリコンバレーで有名なブロガーであるマイク・マスニック最高経営責任者(CEO)はサービスの狙いをこう語る。

これまでにIT(情報技術)関連企業を中心に10社が採用。「非常に率直で示唆に富む意見を聞くことができる」(ベリサイン)、「影響力のあるブロガーと定期的に意見を交換できる貴重な機会」(SAP)などユーザー企業の評価も高い。

独自の基準によって選ばれたブロガーたちは報酬を参加企業から受け取る仕組みだが、「多くのブロガーはお金のためというより、関心や知識のある分野の企業の人間と知り合えたり自分の見解をほかの人と分かち合い、見識を深められることに魅力を感じている」とマスニック氏。

日本でもブロガーと企業の橋渡しをして、記事の材料を提供するサービスは、かなり普及しています( 各種サポートサービスは充実してきたが、プロブロガーへの道は遠い)。具体的には、以下のようなサービスです。

この種のサービスの日本での位置づけは、アフィリエイトの亜種としての小遣い稼ぎの側面が強く、ユーザの意見を企業の製品開発に反映させる手段といった認識は、はなはだ希薄のように思われます。

こうして生まれた企業とブロガーとの関係が度を超すと、いわゆる「Flog(Fake Blog:企業に雇われていることを隠す、あるいは偽ってブログをすること)問題」が起こります。情報源は、『「やらせ」記事で逆効果(ウェブが拓くBizスタイル2.0)』(日経産業新聞 2007年1月9日 2面)です。

「この問題は我々のミスであり、責任は100%我々にある」。06年10月16日、米大手PR会社エデルマンのリチャード・エデルマンCEOは自らのブログでこう謝罪した。

謝罪の理由は、顧客である米小売り最大手ウォルマート・ストアーズのイメージ向上戦略の一環としてエデルマンが仕掛けた「旅行ブログ」。ごく普通のカップルが自動車で米国内を旅しながら、行く先々で立ち寄ったウォルマートでいかに親切にしてもらったかをつづった内容だった。

問題となったのは、この二人が実はエデルマンに雇われており、旅行の費用も全額会社側が負担していることを隠していたこと。雑誌などがこのブログがPR目的の「やらせ」だったと暴露すると、消費者団体やブロガーなどから厳しく批判された。

「企業がブログを含むCGM(消費者発信型メディア)をWOMM(口コミマーケティング)に活用する場合、自らの身元と意図を明かす『透明性』が何よりも重要。情報をコントロールしようという悪い意味での大企業的アプローチは、CGM時代には通用しない」。シリコンバレーを拠点に活動し、米国のウェブマーケティング事情に詳しいコンサルタントの大柴ひさみ氏はこう指摘する。

この記事に登場した大柴氏は、ウォールマートのFlog(やらせブログ)事件にみるメディアとしてのブログでも、詳しく事件に関して解説を掲載しています。これ以外にも、バイラル・マーケティングのネタバレ時の問題について口コミマーケティングは『やらせ』か『正当化ビジネス』か等でも書き込みがが見られますので、いまさら私がコメントすることもありません。

話は変わりますが、昨年末にテレビ朝日で放送された『中田英寿引退特別番組 遥か旅の途中』を見ました。内容は、サッカー選手引退後に「新たな自分探しの旅に出た」中田氏の近況を伝えるものでした。

この番組は、ワールドカップイヤーの締めくくりとして中田英寿が行っている 旅の模様を描きながら、自身が「日本サッカーに残した宿題」と語る問題について半年経った今だからこそ検証する、中田の過去、現在、今後を追求するドキュメントスペシャルです。

この番組は「ドキュメントスペシャル」と銘打つ以上、ヤラセではないはずです。しかし、中田氏の「自分探しの旅」そのものは、私が想像していた気ままな単独行とは、程遠いものという印象を受けました。綿密にスケジューリングされた仕込み満載のスポンサー付き旅行という感じです。

考えてみれば、アジア太平洋経済協力会議首脳会議でハノイを訪問中の安倍晋三首相と、「たまたま現地を旅行中」の中田氏が面談するなんて展開は、偶然としてはできすぎた話です。こうした会談が実現した裏側では、自民党のPR会社プラップジャパンと、中田氏側のマネジメント会社サニーサイドアップとの間で綿密なスケジュールの調整があったに違いありません。

また、中田氏が中国の孤児院や、フィリピンのスラム街を訪問した時に、子供たちにプレゼントするサッカーボールが、同氏のスポンサー企業のナイキ製であることも、決して偶然ではないでしょう。これも、ナイキ社のPR活動の一環と捉えることもできます。

だからと言って、このように仕込まれた旅の模様がマスコミに取りあげられることを批判するつもりもありません。中田氏本人、子供たち、スポンサーのナイキといったすべての関係者がハッピーであれば、いいだけの話でしょう。

チャリティー活動の場面しか扱わないと、番組の雰囲気もわざとらしくなるものです。ところが、ファッションショーの最前列に陣取る姿や、高級ブランドショップを探索する映像等も見られ、随所に「リアルな中田像」も交えてあり、それなりにバランスを取る工夫もありました。さすがにフライデーされたタヒチのバカンスの映像はありませんでしたが。

結局、中田氏の自分探しの旅は一種のビジネストリップであり、スポンサー有りのONと、無しのOFFの部分があるのでしょう。チャリティー活動は公開を目的としたONで、完全OFFのタヒチはプライベートで非公開です。まあ、中田氏のプロモーション番組と考えれば、マーケティング的にはよくできた構成だったのではないでしょうか。

話を冒頭のブログとスポンサーとの関係に戻します。中田氏のスポンサー付き旅行をテレビのドキュメンタリー番組として見せられても、大きな反発の声が上がるわけではありません。もし、中田氏が同じ内容をブログに書き込んで、それを読まされたとしたら、どう感じるのでしょうか? ドキュメンタリーでは真実として通用することが、ブログではヤラセと解釈されるのでしょうか?


★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。


  • このエントリーをdel.icio.usに追加
  • このエントリをニフティクリップに追加
  • このエントリをLivedoor クリップに追加
  • このエントリをFC2ブックマークに追加
  • このエントリーをバザールに追加
  • このエントリをSaafブックマークに追加
  • このエントリをChoixへ追加
  • newsing it!
  • このエントリーをCoRichへ追加
  • このエントリーをはてなブックマークする
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • このblogをはてなアンテナに追加
  • このエントリーのはてなブックマーク数

このエントリーに含まれるタグ

関連するエントリー

ワード

このエントリーのダイレクトリンクURL:

このエントリーのトラックバックURL:

【注意】重複トラックバック防止プラグインにより、同一エントリーに対する同一のトラックバックは登録されない設定にしています。また2006年から、本エントリーへのリンクのないトラックバックも登録されない設定に変更しました。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)



アクセス解析 アクセス解析 レンタルCGI