パーソナライズド・アドで堂々と宣伝すればヤラセとは呼ばれない
2007年01月11日
この前の投稿「ブログのヤラセとドキュメンタリーの仕込みとの間のグレーゾーン」に続いて、ブログを利用した口コミマーケティングの話題を取りあげます。このブログはシックス・アパート社のMovable Typeを利用していますが、同社の日本代表自らが、広告メディアとしてブログを活用する有効性を説いています(クチコミを生かす早道はWebサービスとの連携)。
であれば、アフィリエイト広告こそがブログのメインのコンテンツである、と考えるユーザが増えてきても、不思議ではありません。しかし、依頼元の企業の名前を隠したまま、通常の投稿を装って企業に有利な宣伝文句を書き連ねれば、ヤラセブログとの避難を浴びて、最悪の場合ブログが炎上する事態を招いてしまします。
すでにこの種のヤラセブログによる口コミマーケティングが大きな社会問題となっている米国では、政府が本格的な規制に乗り出す動きも見られ始めました。情報源は、Web2.0型消費者主導の口コミ広告に規制の動きが始まる米国です。
米国のFederal Trade Commission(連邦取引委員会、日本の公正取引委員会に対応する組織)では、「商品の口コミプロモーションにおいてブログなどで口コミを行った消費者に口コミ手数料を支払うタイプのマーケティングを行う企業は、その旨を開示しなければならない」といった議論が始まっています。
これまで、スポンサー付きブログやSNSなど、口コミマーケティング目的のスポンサー付き投稿は、法律上の問題はないが倫理上の問題があると数多くの指摘が行われてきました。
例えば、マイスペースが作るマーケティング用のコミュ二ティは、キャラクターを活用しているものがあります。そこでハンバーガーチェーンが「キャラクターであるキングバーガーの友達の輪に入ろう」というマーケティングを行い、10代の多くの子供たちが参加しました。
しかし、これに対しては「子供達をだましてビジネスに取り込むハーメルンの笛吹きだ!」といったトーンでの批判が一部で出ています。また、PPP(PayPerPost)などのサイトでは、参加者が企業から委託を受け、手数料をもらって商品宣伝のブログを書くことが奨励されています。その結果、極端な場合には商品を一度も使ったことがなくても、商品を褒めそやす中身の薄い、同じようなブログが氾濫する傾向が指摘され始めています。
これは、ステルスマーケティングやアンダーグラウンドマーケティングと呼ばれています。分かりやすく言えば、ステルスマーケティングは宣伝の意図を隠して行う、騙しややらせのコマーシャルであり、倫理上問題だというわけです。
先進的な米国では、これまでもCBSなどの番組で盛んにステルスマーケティングが取り上げられていました。そしてついに、連邦取引委員会による規制の動きが表面化したのです。この結論はいまだ出ていませんが、早速、米国のPPPもブログが広告である点を広く開示する自主規制を導入しました。
同じ指摘は米国のマーケティング協会も行っています。広告であることを開示し、消費者が商品やサービスを実際に消費し、その上で率直な意見をブログや動画に投稿するならば、倫理上も問題ないというわけです。
あくまでも広告であることを明示せよ、との指摘はしごく納得のできるものです。しかし、「これは広告です」と書いた瞬間に、すべての記事は読み飛ばされることになるのでは? と多くのブロガーが不安を覚えるのも、また事実でしょう。こうした懸念に対しては、「別にいいよ、広告でも。役に立ってウソ言わなければ」と言った専門家の意見を紹介します。
記事と広告、番組とCMの区別が明確に判断できてしまったのでは、今日の消費者には広告は排除されて注目してもらえないのだから、仕方がない、と論じる人もいます。
それは本当でしょうか?
私は今日の消費者の多くは、広告の発信者側が思う以上に進化していると思います。
というのは、情報の発信者という側面を持つようになった今日の消費者は、情報の受け手としてのスキル、すなわち「あらゆる情報の中から自分にとって役立つ部分、楽しい部分だけを抽出して、それ以外は排除してしまう能力」が目覚ましく向上しているからです。
言い換えると、広告の「形態」は、あまり問題にされなくなった。
広告であっても、それが自分にとって関係性が高く、役に立ったり、楽しめたりするものであれば、好んでブログやSNSで紹介してくれたり、人に薦めてくれたり、パロディ作品を作ってくれたりと、無視するどころか、送り手サイドと一緒になって楽しんで遊んでくれます。
その一方で、つまらない広告は無視しますし、自分たちを騙すようなやり方でアプローチしてきた時には、多少複雑であってもそのからくりを見破って一斉攻撃をしかけてきます。
広告でも「役に立ったり、楽しめたりするもの」であれば、読者にも喜ばれるはずという指摘も納得できます。それでも、「これは広告です」と明示することへのブロガーの懸念は、完全に払拭されることはないでしょう。なぜならば、素人のブロガーにとっては、「役に立ったり、楽しめたりする広告」は、簡単には書くことができないからです。実際のところ、アフィリエイトブログで感心するような書き込みに出会った経験は、私自身も数えるくらいしかありません。
つまり、一握りの才能に恵まれたセミプロ級のアフィリエイター以外の人間にとっては、広告であることの明示は依然としてハードルが高く、逡巡せざるをえないものであることは変わりありません。そうした悩める大多数のアフィリエイターにとって、大きな力になりそうなのが、「パーソナライズド・アド」と呼ばれるサービスです。
このサービスを利用すれば、誰でもオリジナルのオモシロ広告コンテンツが制作できてしまうからです。情報源は、『CMの「顔」はワ・タ・シ(ウェブが拓くBizスタイル2.0』(日経産業新聞 2007年1月11日 1面)です。
「パーソナライズド・アド」と呼ばれるサービスの仕組みはこうだ。まず、ユーザーが自分の写真を広告主が開設した専用サイトに送信(アップロード)する。すると、ペルソニーヴァが開発したソフトが写真から顔の部分だけを自動的に抜き出し、CMに登場する人物の顔にはめ込む。わずかな時間で、ユーザー自身が登場するオリジナルのウェブCMが出来上がるというわけだ。
写真から顔だけを抽出する技術は、実はある日本企業の顔認識技術がベースになっている。目鼻口など顔面の87カ所を自動的に検出し、それらを動かしたアニメーションを生成することも可能。動きの滑らかさなどに改善の余地はあるが、CMに登場する自分がまばたきしたり、音楽に合わせて歌ったりする様子は見ているだけで楽しい。
これまでにヒューレット・パッカード(HP)やリーバイ・ストラウス、マクドナルドなどが自社のウェブCMに採用。HPとリーバイスの場合、実際にテレビで放映されたCM映像に自分が登場できるとあって若者を中心に人気を集めた。
この広告のミソは、作成した「自分入り」のオリジナルCMを家族や友人などについ見せたくなること。自分の「VLOG(映像コンテンツ付きブログ)」で宣伝したり、メールで教えたりすれば、広告を目にする人はどんどん増えていく。いわゆる「バイラル・アド」と呼ばれる口コミマーケティングの手法だ。
マクドナルドのパーソナライズド・アドは、SHAKE n' Dance with Joeyで公開されています。画面の一番右端のダンサーが、はめ込み画像で作ったものです。
しかし、これだけでは話題作りにはなってもアフィリエイト収入には結びつかないのでは? との疑問も当然でしょう。大丈夫です、ちゃんと小遣い稼ぎの方法も用意されています。
リーバイスは、作成したCMを3人に見てもらうと、次回の75ドル以上のオンラインショッピングの送料を無料にする特典を付けるなど、口コミ効果をさらに高める工夫もしている。
残念ながら、現在のところアクセスがストレートに金銭に変わる仕組みではありません。アフィリエイト熱の高い日本のこと、どこかの会社がもっと直接的に儲かる仕組みを作ってくれることに期待しましょう。そうは言っても、パーソナライズド・アドは完全顔出しが前提です。思い切って実行できる匿名ブロガーも、そんなにはいないような気もしますが。。。
★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。



