クリスピー・クリーム・ドーナツとマックグリドルのローンチ・マーケティングの違い
2007年01月23日
ハーンバーガーのロッテリアのリニューアルに続き、リヴァンプとロッテが共同事業として展開している「クリスピー・クリーム・ドーナツ」(KKD)の第1号店が、先月15日新宿にオープンしました。「ダンキンドーナツ」の業績不振による撤退、「ミスタードーナツ」の異物混入事件、ダイエット志向の浸透など、ドーナツを取り巻く市場環境が厳しさを増す中で船出ですが、KKDは予想以上の健闘振りを見せています。情報源は、『クリスピー・クリーム・ドーナツの巧みな戦略 ドーナツ復権? 新宿にファン集結』(日経ビジネス 2007年1月22日号 24ページ)です。
東京・新宿、午前7時。出勤姿もまばらなこの時間から、サラリーマンやOL、学生、外国人と様々な人が、まるでディズニーランドのアトラクションを待つかのごとく、行列を作る店がある。
昨年12月15日にオープンした米国で人気のドーナツチェーン「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の新宿サザンテラス店だ。
オープン以来、連日朝7時の開店から午後11時の閉店まで、常時100人程度の行列が絶えない盛況ぶり。待ち時間は平均で1時間~1時間半。それでも1日平均3,000~4,000人ほどの客が、今でもドーナツ目当てに訪れている。
初物好きの日本人ならではの光景と割り引いて考えたとして、この寒空の中でドーナツ目当てに1時間以上も並ぶ行列は、KKDの人気が高いことの証拠でしょう。ロケットスタートを切ったKKDの1号店オープンの成功の裏には、米国流の周到なマーケティング戦略がありました。
新宿店がオープンする10日ほど前、東日本旅客鉄道(JR東日本)本社ビルや、マイクロソフトが入る小田急サザンタワーなど、新宿の主要なオフィスビルにドーナツが届けられた。すぐにできる黒山の人だかり。「知ってる。海外で人気だよ」「おいしい!」といった声がさらに人を呼び話題となった。
これは、クリスピーが新規出店の前に必ず行う「ドーナツ・ドロップ」という施策。オフィスだけではなく、新宿の路上でもワゴンを引いて通行人にドーナツを配った。
1週間ほどで配ったドーナツは合計7,000ダース。これを食べた数万人の口コミが、新宿店のスタートダッシュを支えたのだ。
地域密着型の口コミ基本としたKKDのマーケティング戦略の効果を調べるために、kizasiで「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を検索してみました。
リアル店舗の盛況ぶりとは違って、ネットでも口コミが爆発的に盛り上がっている、とは言えないようです。新宿に1号店ができたばかりでは、KKD日本上陸もネット全体を席巻するほどの全国的にホットな話題になっていないのも、ある意味当然かもしれません。
今後5年間で首都圏限定の30~50の出店を計画しているKKDでは、短期間での地方展開を予定しているわけではありません。したがって、仮に現時点での地方での口コミが盛り上がっていないとしても、同社の事業計画に大きな齟齬が生じるものでもないでしょう。
続いて、ブログの記事を集計して口コミの好感度がわかるBuzzTunesでも調べてみました。
こちらの方でも、書き込み件数自体はあまり多くありません。BuzzRank(クチコミ好感度)は5.9です。世間を騒がしている不二家の好感度は2.5と比べて、2倍の好感度があることになります。
元々、私自身は書き込みの内容を機械的に分析する、この種のサービスの信憑性には懐疑的でした(ブログで好評・悪評を判定するBuzzRankはホメ殺しは理解できる?)。今回の結果を見ると、こうした評価もそれなりに妥当かもしれないと思えてきたりします。第一印象とはいい加減なものかもしれません。
このクリスピー・クリーム・ドーナツ日本法人の社長は、日本マクドナルド出身の香坂伸治氏です。そのマクドナルドは、KKDのオープンのちょうど1ヶ月後の1月15日に新製品「マックグリドル」の販売を開始しました。情報源は、200円から…新・朝マックは「甘さ&塩味」です。
日本マクドナルドは10日、朝食時間帯(午前6~10時半)の新メニュー「マックグリドル」を発表した。
甘いパンケーキにソーセージや卵などをはさみ、甘さと塩味を一体としたのが特徴。15日から全国で発売する。
マックグリドルは、北米や中国ではすでに販売されているメニュー。メープルシロップ入りのパンケーキに、(1)ソーセージと卵とチーズ(2)ベーコンと卵とチーズ(3)ソーセージ-をはさんだ3種類があり、価格は単品で200~240円、飲み物などとのセットで400~440円となっている
kizasiで「マックグリドル」を検索した結果です。見事に発表会の10日以降から口コミ件数が増えてきて、発売日当日の15日に頂点に達しています。
マスコミ向けの話題作りを狙って、タレントを起用した発表会を中心にしたマクドナルドのローンチ・マーケティングは、クリスピー・クリーム・ドーナツの地域密着戦略とは好対照です。現状の口コミのトレンドを見る限り、マクドナルドの戦略も目論見通りというところでしょう。
しかし、このグラフを見て若干気になるところもあります。すでに口コミトレンドが降下する兆しを見せているからです。そこで、再びBuzzTunesの登場です。
やはり全国商材だけあって、マックグリドルの口コミ件数の多さは、クリスピー・クリーム・ドーナツの比ではありません。BuzzRank(クチコミ好感度)も6.7と、クリスピーの5.9を上回っています。私の予想に反して、マックグリドルの「甘さと塩味を一体とした特徴」は、抵抗なく受け入れられているみたいです。
かく言う私自身は、パイナップルソース風のポークソテーは苦手なタイプです。したがって、ソーセージやベーコンに甘ったるいメープルシロップをからませる米国風の味付けが、日本人の感覚にマッチするのかどうか疑問に思っていました。発売後1週間の反応を見る限りでは、商品ターゲットである20~30代の間では、結構好評のようです。
米国の人気商品を日本にそもまま持ってくるという、マクドナルドのマーケティング戦略の成否を判断するには、もう少し時間が必要でしょう。ここしばらくは、BuzzRankを定点観測してみることにします。
ところでリヴァンプの代表である澤田貴司氏が社長を務めるのが、米国のアイスクリーム・チェーンの日本法人である「コールド・ストーン・クリーマリー」(CSC)です。こちらの方は、第1号の六本木ヒルズ出店以降、関東圏を中心に順調に多店舗化を進めています。CSCの口コミ評価の分析は、くどくなるので今回は見送ることにします。
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昨年12月15日にオープンした米国で人気のドーナツチェーン「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の新宿サザンテラス店だ。






