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江副浩正リクルート元会長と和解した朝日新聞のAERAに今度は日経が抗議

2007年01月24日

昨年の1月26日にリクルート創業者の江副浩正氏が朝日新聞社を訴えた損害賠償請求訴訟が、両者の和解という形で決着を迎えました。情報源は、江副元会長と朝日新聞が和解 ライブドア報道でです。

ライブドア事件をめぐる朝日新聞の報道で名誉を傷つけられたとして、リクルート事件で贈賄罪などに問われ、有罪判決が確定した江副浩正元リクルート会長が朝日新聞社に200万円の損害賠償を求めた訴訟が22日、東京地裁で和解した。

和解条件は「朝日新聞社は、江副元会長に取材しなかったのは遺憾との江副元会長の指摘を真摯(しんし)に受け止める」などの内容。

訴状などによると、朝日新聞は昨年1月26日付朝刊の「虚飾 ホリエモン逮捕(下)」の連載記事で、「リクルート事件二重写し」「カネのにおい 突進の果て」との「見出し」で、江副元会長がカネのため手段を選ばないと受け取られかねない記事を掲載した。

朝日新聞社の話「和解内容は、指摘を真摯(しんし)に受け止める趣旨で、記事内容に誤りがあるとしたものではない」

昨年8月に記者が起こした『虚偽メモ事件』などを契機に、「ジャーナリスト宣言」を掲げて信頼回復に向け抜本改革に取り組んでいる(はずな)のが、朝日新聞です。この事件以来、誤報を認めることを覚えた(はずの)朝日ですが、今回は素直に誤りを認めることはなかったようです。

江副氏が朝日の記事の中の問題箇所として指摘したのは、次の一節です。

「新興企業には、『成長の強迫観念』がある」
リクルート出身で、「リスク・ヘッジ」代表の田中辰巳さん(52)は言う。

江副浩正元会長が、政治家や官僚に未公開株を譲渡して逮捕されたのは89年。就職情報誌などが頭打ちになっていた。

「立ち止まることは死を意味する」
事件前、秘書課長だった田中さんは、江副氏が会議の度にそう繰り返していたのを覚えている。不動産や電話回線の再販などへ次々と手を広げ、江副氏のスケジュール帳には、毎週のように政治家との会食が組まれるようになった。

「情報産業じゃなかったのか」
リクルートは、「地上げ屋」と批判されたが、空前の土地ブームに人々は踊った。ライブドアは、規制緩和やベンチャー育成の機運に乗り、株式市場は沸き立った。

「映画のリメーク版を見ているようだ」
田中さんには、2つの事件がダブって見えた。

この記事に対して、江副氏は「立ち止まることは死を意味する」と会議で繰り返し話していたとされている点などを「誤報」であるとし、「一般の読者に、地道に事業に専念せず、虚業を推し進めていたと受けとられる」などと主張していました。朝日側が今回の和解で認めたのは、江副氏本人に確認を取ることなく、田中氏への取材内容だけを元に記事を書いてしまったことに落ち度があったということで、「誤報」であることを認めたわけではありません。

当事者同士が和解してしまったので、真相のほどは永久にわからなくなりました。真相を知る一番の方法は、問題となった江副氏の発言を記者に伝えた田中元総務課長に確かめることでしょうが、それも難しそうです。現在では危機管理の専門家に転身している田中氏は、いまさらこのような争いに巻き込まれたくないことでしょうし。

そもそもリスク管理の専門家を名乗る人間が、自らの発言が嘘つきと呼ばれかねないリスクを招いてしまったことは、皮肉な結果ではあります。今回両者が和解に至ったことで一番ホッとしているのは、田中氏のような気がします。謝罪の達人と呼ばれる田中氏であれば、円満に事態を収拾することができるのかもしれませんが...

こうして江副氏とは和解した朝日新聞社ですが、今度は「AERA」の記事を巡って日経新聞社から抗議を受けました。情報源は、『「AERA」に本社が抗議書』(日経新聞 朝刊 2007年1月23日 38面)です。

日本経済新聞社は22日、朝日新聞社が発行する週刊誌「AERA」1月29日号の「日経に『SEC再び』の訳」と題する記事について「読者に事実を誤認させる悪意に満ちた記事」として、同誌編集長と執筆記者に抗議書を送った。

抗議書は、同記事が事実の裏付けのない匿名の談話などを基に、日経に新たなインサイダー取引の疑いがあるとの誤った印象を読者に与えようとするもの、と指摘。日経の名誉と信用を棄損する、としている。

今週号のAERAの見出しには、こうなっています。

「第2のインサイダー」があるのか
日経に「SEC再び」の訳
インサイダー取引など不祥事で揺れ続けた日本経済新聞社に、再び証券取引等監視委員会の調査官がやって来た。しかも、元広告局員の有罪判決確定直後というタイミングだ。

日経新聞広告局の笹原一真社員(AERAでは「社員A」と表記)の有罪判決が確定した翌日の1月10日に、証券取引等監視委の調査官が日経本社を再訪したというのが、見出しに続く記事本文の概要です。見出しと本文の前半部分を読んだだけでは、日経にさらなるインサイダー取引の疑惑があるように臭わせるのに、十分な記事になっています。しかし、その後半にはこう書いてあります。

以上の取材、証言などから推察すると、Aのときのような事件が再度摘発される可能性はさすがに薄いようにも思えるが、そうはいっても、もやが晴れないのは、法定公告に関する情報管理の甘さを指摘する声が証券界に根強くあるからだ。

最終的には新しい疑惑がある可能性は極めて低いと、マッチポンプ的な結末です。扇情的な見出しで読者を刺激して、実は本文の方はたいした内容ではないという、女性週刊誌やタブロイド紙によくあるパターンです。そうは言っても、週刊現代の朝青龍の八百長報道が波紋を呼んでいるくらいですから、発行部数の多い週刊誌の影響力は決して小さくないことも事実であり、日経が抗議するのも当然でしょう。

今回のAERAの記事には、日経が抗議書の中で指摘している、「読者に事実を誤認させる悪意」が感じられのも確かです。記事の結びには、とってつけたような日経批判が登場しているからです。

ところで、今回の件では、言論の機関たる日経が証券監視委の任意の調査に、やすやすと応じていいのか、というまったく次元の違う問題も残る。いくら報道ではなく広告部門とはいえ、当局の求めにサービスよく応じていれば、言論機関としての矜恃が疑われよう。

言論機関であると同時にマーケットをも左右する日経新聞。そのコーポレートガバナンスやコンプライアンスは、当事者が想像する以上に周囲に大きな影響を与えている。

これも、日経憎さゆえの言いがかりのようにも解釈できます。本当は今週号のAERAの広告が日経新聞にも載っていたりして、日経が「ウチは報道と広告は完全に独立していますから」と反論したりすると面白いのですが... 実際には残念ながらAERAの広告はありませんでした。それにしても、最近のAERAは中身の薄い記事ばかりでつまらなくなりました。朝日はまず自分のことを心配した方がいいように、私には思えます。


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