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大和証券CMに蛯原友里登場 「エビ売れ伝説」は金融商品でも通用するか?

2007年01月31日

日経新聞朝刊での大和証券のカラー全面広告が、本日で3日間連続の掲載となりました。お堅いはずの証券会社の広告に、起用されているのがタレントの蛯原友里(通称エビちゃん)とくれば、かなりのインパクトを与えてくれます。この時期に連日広告を投入するのは、不正会計処理問題で揺れる日興コーディアルグループの敵失をついて、一気に顧客を奪い取ろうという大和の戦略の一環なのでしょうか? そういうわけで新聞広告に登場したエビちゃんも、いつになくキリリとした表情です。

彼女が登場したCMの効果で商品が売れる現象が「エビ売れ」と呼ばれるほど、エビちゃんは今や広告業界では絶大な神通力を誇っています。しかし、これまで彼女が登場してきたCMは、ファッションや化粧品、食品といった身近な製品が中心だったので、証券会社のCMには若干の違和感を覚えました。そこで、大和証券のHPを調べたところ、彼女のテレビCMもすでに完成していることがわかりました。

蛯原友里(エビちゃん)大和証券CM それも30秒CMが4バージョンも公開中です。

4編のCMは、
・株券電子化
・ダイワダイレクト(オンライントレード)
・ポイントプログラム
・ライフハーモニー(投資信託)
を宣伝する内容になっているのですが.....

どのCMでも、エビちゃん自身は冒頭に商品やサービスの名前を叫ぶだけで、数秒程度の登場場面しかありません。その後は、エビちゃんをCMキャラクターに起用することを巡っての、広告代理店担当者とクライアント企業(つまり大和証券)とのやりとりが続きます。

しかし、なぜ彼女がこのCMに登場する必然性があるのか、といったような真剣な議論ではなくて、「いいね~。エビちゃん」というクライアントの感想に終始する内容です。CMの本来の目的であるはずの商品内容の具体的な説明も一切なしで、ある意味思い切ったCMです。あくまでも受け狙いのイメージアップが目的なのでしょう。

つまり、このCMは「エビちゃんさえ出しておけばOK」、といった昨今の広告業界の知恵のなさを皮肉っているのだと考えられます。「エビ売れ」ブームをパロディ化したCMに本人自らが出演するとは、エビちゃんもたいしたものです。

エビちゃんと同じく雑誌「CanCam」専属モデルの押切もえ(もえちゃん)も、CMで頑張っています。「もえ売れ」といった言葉こそ聞かれませんが、彼女が宣伝するセイコーウオッチの「ワイアード」の販売が絶好調です。2006年4~12月の売上高が前年同期比6割増え、特に女性用は3倍にも伸びました。情報源は、『セイコーウオッチ「ワイアード」――もえさん効果、100%引き出せ』日経産業新聞 2007年1月31日 5面)です。

「ワイアード」は10代後半から20代前半が主要ターゲット。06年4~12月で14万個売り上げ、すでに05年度の20万個を上回った。06年度累計では16万~17万個を見込む。今やセイコーウオッチの国内売上高の5%、利益の10%を稼ぐ屋台骨だ。

売れ行き好調なのはロフトや丸井、パルコなど若者客が主力の店。これらの売り場は男性用が中心だが、ワイアードは女性用の伸びが著しく、「20代前半の女性の指名買いが多い」(オンタイムロフト渋谷店の浦和智之店長)。

ワイアードはセイコーウオッチの低価格ブランド「アルバ」の一部として2000年に誕生した。ファッション雑貨としての拡販に活路を求めブランドを独立。

06年度には女性用を「ワイアードエフ」として分離し、今や女性比率は約五割まで高まった。飛躍の最大の要因は女性誌「CanCam」(小学館)の人気モデル、押切もえさんを商品開発アドバイザーに迎えたことだ。

押し切りもえ(もえちゃん)セイコーワイアードエフ

タレントのキャラクター起用は一つの常道。ただ、腕時計の分野では同社の20~30代女性向け「ルキア」が女優の伊東美咲さんをイメージキャラクターに据えながら伸び悩むなど、この手法の効果がブレやすくなっている。そこでワイアードでは「押切さんにあこがれる層にリアルに訴える売り方」(マーケティング企画二部の山崎博之主事)を徹底した。

「○○さんプロデュース」など、タレントの監修をうたう商品はファッション分野に多いが、ワイアードにはデザインに押切さんの要望を徹底して反映させた。

スケッチ段階、試作品の段階で直接顔を合わせ、「金色の腕時計には竜頭にミルキーなワンポイントを加えると印象が和らぐ」「ハート二つをこの位置に入れて」「バンドは革じゃなくてベルベットを」といった押切さんの具体的指示に応じ、試作品の作り直しも辞さなかった。「メーカーではあり得ない発想もあった」(山崎氏)が、流行を的確にとらえ、若い女性の目を引く個性的なデザインが完成した。

「ワイアード」の前のセイコーの女性向け腕時計「ルキア」のCMキャラクターは、女優の伊東美咲でした。ルキアの販売不振により、登場したのが押切もえの「ワイアード」ということになります。そう言えば、冒頭に紹介した大和証券のCMにこれまで出演していたのも、伊東美咲でした。

大和証券とセイコーのCMで、現役モデルに道を譲った形となった伊東美咲も、元をただせば「CanCam」の専属モデルです。今や完全に女優業が板についた長谷川京子にも専属モデルの時代がありました。そう考えると、いまや雑誌モデルとその出身者のCM全盛期とさえ思えてきます。

モデル出身者は、良くも悪くも女優ほど強烈なキャラクターがないので、CMタレントとして使いやすいのかもしれません。とりあえずモデルを使っていれば、クライアントを納得させやすいという、広告業界の安易な発想を反映している面も強いのでないでしょうか? 

そうした業界の風潮を自虐的に皮肉っているのが、大和証券のエビちゃんCMだと理解することにしましょう。だとすれば、そもそも金融商品のCMにエビちゃんがマッチするかどうかなんて、考える必要もなくなります。むしろ、不釣り合いな印象を与えれば与えるほど、このCMは正しいメッセージを伝えていることなるはず、というのを今回の結論とします。


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