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「Willと言えば任天堂のゲーム機」「兵法と言えば孫氏」が常識となる日

2007年02月07日

米国のビジネス誌Forbes.comが「2006年市場に衝撃を与えた製品ベスト10」(原題"The Disrupters Of 2006"を発表しました。情報源は、Forbesが選ぶ「2006年市場に衝撃を与えた製品」ベスト10です。

第1位:YouTube
第2位:プライベート・エクイティ・ブーム
第3位:巨額の慈善活動
第4位:任天堂「Wii」
第5位:Salesforce.comの「AppExchange」
第6位:ETF
第7位:Erik Lie氏
第8位:Al Gore氏と『不都合な真実』
第9位:Perez Hilton氏
第10位:放送・通信統合への争い

ビジネススクールの学長や教授からなる5名の選考委員が選んだベスト10は、日本人には馴染みのない、バラエティに富んだランキングになっています。そうは言っても、YouTubeが一位を占めたのは、我々日本人でも納得できる結果なのではないでしょうか。さらに注目すべきは、任天堂の「Will」が、「絵に描いたようなイノベーションの事例」(a picture-perfect example of disruptive innovation)として、堂々と4位に選ばれているところです。

誰もが持っている子供心を刺激する、任天堂の新しいビデオゲーム機「Wii」が29ポイントを獲得して第4位となった。Wiiはまさに、 Christensen氏が前出の『イノベーションのジレンマ』で定義した、既成概念を覆すイノベーションを絵に描いたような実例と言える。

任天堂の大きな競合相手、Microsoftとソニーは、さらに複雑でもっと高額のゲーム機を開発してきた。「『PLAYSTATION 3』(PS3)は、市場をいわば追い越してしまった」とChristensen氏は言う。

自身もかなりのゲーム・フリークであるAnthony氏ですら、 Christensen氏の見解に同意する。「機能を使いこなすには、素早く操作する相当な腕前が要る。時間のない私には『MADDEN NFL 2006』はどう操作したら楽しめるのか分からない。あまりにも複雑すぎる」(Anthony氏)

任天堂は、まったく違うアプローチをした。映像はそれほどシャープでないかもしれないし、あっと驚くような特殊効果もないかもしれない。しかし、スティック型のWiiリモコンを手にすれば、ユーザーはバーチャル・リアリティ・システムを使っているかのようにゲームに入り込める。

画面上のキャラクタに剣を振らせたければ、Wiiリモコンを振ればよい。剣で突いたり、かわしたりもできる。もっとも今は、多くの人が、値段が下がるのを待っている状態だ。 Christensen氏も「まだ買っていない」と言う。

コメントを述べているChristensen氏とは、Harvard Business Schoolの教授で『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』の著者のClayton Christensen氏です。また、このChristensen氏と一緒に『明日は誰のものか イノベーションの最終解』を書いたのが、Scott Anthony氏です。

ビジネス戦略の重鎮2人に絶賛されたWillは、イノベーションの成功例としてビジネススクールのケース・スタディに取りあげられるのも確実でしょう。おそらく、Will単体としてではなく、先行したDSと一緒に任天堂のビジネス戦略として紹介されることになるのだと思いますが。いずれせよ、任天堂の戦略がマーケティングの教科書に好まれそうな題材であるのは、以前に指摘した通りです(ブルーオーシャン戦略が成功したニンテンドーDS Liteは人気過熱でCM自粛)。


と、ここまでが今回の投稿の長い前振りです。Forbesの記事を読んだ同じ日に見つけた、日経ITproの記事のタイトルがこれです。

「Willを大切に取り扱ってください」

また、ゲーム機の話かと思ったのですが、内容はまったく違いました。

仕事のmust、can、will 仕事を考えるに当たって、「すべきこと」(must)と「できること」(can)だけではなく、「したいこと」(will)も大切にしましょう、という内容です。しごくもっともな記事で、もっとも過ぎて食い足りないような印象をうけるくらいです。

私が記事のタイトルからその内容を勘違いしてしまったのは、「Willと言えば任天堂」という固定観念ができあがっていたからでしょう。


さらに、「孫氏の兵法」という新刊書を見つけました。「孫子」ではなく「孫氏」でいいのです。「革命を起こし続けるソフトバンク・孫正義社長、初めての名言集」だからです。

孫氏の兵法 ・明確な目標を持って、絶対に負けないんだという姿勢があればいいんです。
・他の人間ができることならば、同じ人間である僕にできないはずはありません。
・最初にあったのは、夢と根拠のない自信だけ。
・7割の勝算があれば戦います。
・今月の売上高を心配しているようでは、社長失格です。
・僕がやりたいのは、改善ではなくて革命です.......

ちなみに「孫子の兵法」をググると、189,000件ヒットしました。一方、「孫氏の兵法」の方は、13,800件でした。このうち「孫正義氏の兵法」と確信犯的に検索した人はごくわずかで、そのほとんどは「孫子」を間違った結果でしょう。 しかし、「Will=任天堂のゲーム機」と私が考えたように、「孫氏の兵法=孫正義氏のサプライズ戦法」と普通に理解している人もゼロではないのかもしれません。

もし、日本の携帯業界で禁じ手と言われているSIMロック解除にソフトバンクが乗り出すことになれば、業界風雲児の奇手として「孫氏の兵法」が末代まで語り継がれることになるでしょう。さすがの孫氏と言えども、その可能性はさすがに低いように思えますが...


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