アメックス、アップルが全世界共通キャンペーンCMを日本市場向けにローカライズ
2007年03月09日
イメージキャラクターとしてサザンオールスターズの桑田佳祐氏を起用したアメックスの新しいCMが、今月の7日からスタートしました。情報源は、『アメックス、CMに桑田佳祐さん、初の日本オリジナル』(日経産業新聞 2007年3月7日 日経産業新聞 20面)です。
CMは全世界の共通コンセプトとして打ち出した「MORE THAN JUST A CARD キャンペーン」の一環として制作された。桑田さんが書き下ろしたオリジナルソング「こんな僕で良かったら」を使って、2パターンで放映。
同社のテレビCMは、プロゴルファーのタイガー・ウッズさんや映画俳優の渡辺謙さんなどを使ったものがあるが、日米共通の画像に言語だけを置き換えただけ。日本人を起用した日本市場だけの作品は初めてで「日本が世界で最重要市場だと位置付けられたため」(同社)としている。
2パターンあるCMの中で30秒のバージョンは、アメックスのキャンペーンサイト「MORE THAN JUST A CARD」で見ることができます。なお60秒バージョンは、8月13日から公開される予定です。
桑田佳祐氏が世代を超えて幅広いファン層から指示を受ける数少ないアーティストの一人であることは、間違いありません。しかし、アメックスが日本市場向けに桑田氏を起用したからには、訴求ターゲットを絞り込んでいるはずです。おそらく団塊富裕層への影響力の大きさを考えた上での選択だと思います。ちなみにサザンオールスターズの楽曲は、団塊世代が好む定番として位置づけられています。
金融商品の宣伝ということもあり、今回のCMは上品な映像として作り込まれています。 桑田氏がハゲ頭のカツラ(通称:マンヅラ)をかぶって、「マンピーのG★SPOT」を歌う下品な姿を見せることは、アメックスとしては避けてもらいたいと思っているのではないでしょうか。
アメックスのようにグローバル企業が世界的なキャンペーンを展開する際に、現地の文化事情を配慮した上で内容に変更を加えることは、決して珍しいことではありません。アップルが世界的に展開している「Macをはじめよう」(Get a Mac)キャンペーンの一環として制作した「Macくんとパソコンくん」のCMにも、日本向市場向けにかなりの修正が加えられています。情報源は、「Macくんとパソコンくん」、日米文化の違いへの配慮です。
以前から直接比較広告が嫌われている日本の文化では、力を誇示することは無礼に映る。そこで、昨秋から放送されている日本版のCMでは、ラーメンズという2人の日本人コメディアンを起用して微妙に変化を加え、MacとPCはそれほど変わらないという点を強調している。
パソコンくんを間抜けに、Mac くんをかっこよく見せる衣装の代わりに、パソコンくんは地味なビジネススーツを、Macくんは週末に着るような服を着て、個性の違いよりも職場と家庭の違いにハイライトを当てている。このシリーズの最初のCMでは、Macくんがパソコンくんに「ワーク」というニックネームをつけてさえいる。
日本版では、パソコンくんのボディランゲージにユーモアがあふれている。パソコンくんがMacくんの肩に触れたり、ウイルスから逃げようとMac くんの足下に隠れたりすると、Macくんは当惑したような顔をする。
「パソコンくんは常に友だちのように接近してくるが、Macくんは友好的ではあるがイライラしたような様子でそれを拒否する」と東京のブランドコンサルティング会社Information Architectsの創設者オリバー・リーチェンスタイン氏は語る。「西欧のMacの広告は日本では反発を受けるだろう。Macくんは品を欠いているように見えるだろうから」
本国で制作されたCMがそのまま外国でも通用する考えるのではなく、現地の文化に配慮してアレンジしようとする姿勢は、素直に評価すべきでしょう。アップルのCMは、比較広告が敬遠される日本の環境に合わせてマイルド仕様に修正したため、オリジナルが持っていた毒がなくなり、ほんわかしたムードの仕上がりになりました。
では、私がこのCMを気に入っているかというと、そういうわけでもありません。Macくんが着ているユニクロ風のカジュアルウェアは、クールなMacという印象を狙ってのことでしょうが、その効果には疑問を感じます。格差社会がとやかく言われている昨今の状況を考えると、スーツ姿のパソコンくんが定職を持つ「勝ち組」で、ラフなスタイルのMacくんの方が「負け組」のように見えたりもします。
どうせ比較広告に挑戦するのであれば、ほんわかムードを狙うのではなく、もっとインパクトのあるビジュアルが欲しいところです。例えば、宣伝上手のサントリーのビタミンウォーターのようなCMはどうでしょうか? パソコンを使っていた冴えない速水いまいちが、Macに乗り換えたとたんにシャキッとした速水もこみちに変身するとか。
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