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郵政公社解体を主張した堀江被告のライブドアに投資して大損した郵政公社

2007年03月14日

16日の東京地裁判決を控えて、ここ数日ライブドア前社長・堀江貴文被告に関する報道が増えてきました。ホリエモンは再び合コン三昧の日々を過ごしている、といったような週刊誌の記事も見られます。そうしたマスコミ報道の中で、ライブドア事件は国策捜査であるとして、検察側の手法に疑問を投げかける姿勢が感じられるのが朝日新聞系のメディアです。反権力の朝日健在というところでしょう。

そうした「親ホリエモン」ともとれる朝日系メディアのポジションを反映してか、逮捕後堀江氏自身が取材を直接受けたマスコミの中では、朝日系が突出しています。昨年12月3日に、事件後初めて出演するのに選んだテレビ番組も、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」でした。本日の朝刊で、判決直前の心境を語った独占インタビュー記事を掲載したのも朝日新聞です。情報源は、「一生懸命やると捕まる」「茶番捜査だ」 堀江被告語るです。

◆〈第27回公判(1月26日)の最終弁論。裁判長に「何か言っておきたいことは」と尋ねられ、前社長は全面無罪を主張。涙で声を震わせた〉

(あの涙は)いろんな意味で情けないということ。不言実行だったんですけどね。それが、法廷の最後の最後に、本当は言いたくなかったのに、言わねーと分からないのか、そんなの当たり前じゃんという、それを言っちゃった自分が情けなかった。

本当はやってねーくせに立派なことばっか言っている人っていっぱいいますけど、むかついてしょうがない。それを言わないと分からない報道機関もむかつくし、そんなものに影響を受けて先入観を持って捜査した捜査機関もむかつく。結局、茶番じゃねーかよ、みたいな話で。僕はまだ裁判所を信頼しているから、ついついそこまで言ってしまった。

率直に言って、これを読んでもホリエモンの言いたいことはよくわかりません。インタビューだとしても、話した言葉をここまで忠実に再現して記事にするのは、新聞紙面としては異例のことだと思います。普通の新聞では、口語文を読みやすい文章に編集して記事にするはずです。何らかの意図があるのでしょう。

◆〈東京拘置所から保釈された後、ライブドア関係者との接触禁止などの保釈条件が課せられた生活を送った〉

対人恐怖症みたいになっちゃう期間が1、2カ月ぐらいあって。(住居がある)六本木ヒルズのクリニックにちょっと風邪薬をもらいに行くことも嫌で持ってきてもらったりして。ライブドアのブログを読むだけでやばいんじゃねーかって思った時期があった。フリーな時間があっても、結局、前向きなことは何一つできないわけで。

(将来は)宇宙開発とかライフサイエンスとか、本当に好きなことだけやっていこうかなと。でも、一生懸命やると捕まりやすくなるんで。僕みたいな人間、カネ持ってて有名な人間が多少へこむのは、見ていて気持ちがいいですから。頑張らないのが一番いいんでしょうけど、僕たぶん、頑張っちゃうんで。

仮にも上場企業の社長であった人間のものとは思えないほど、発言が支離滅裂です。現在の心理状態が、後ろ向きなのか、前向きなのかがよくわかりません。こんな異様なインタビュー内容を、口語体でそのまま掲載する意味はどこにあるのでしょうか?

公判中の堀江氏は、自分は知らない間に部下が勝手にやったという、「バカ社長」路線を貫き通しました。今回のインタビュー記事はそれに加えて、大それた悪事は思いつくこともできない、「アホ人間」振りを強調する狙いが隠されているのでしょうか?

今週判決が出る刑事裁判とは別に、堀江氏はライブドアの個人株主との間で民事裁判も抱えています。情報源は、「時代の寵児」の行方 3・16堀江被告判決(3)時代の徒花です。

LD株で損害を受けた個人株主3244人が堀江らに賠償を求めた集団訴訟の代理人「ライブドア株主被害弁護団」団長、米川長平(56)の手元には、原告のアンケート調査のまとめがある。

「LD関連株購入のきっかけは」との設問では、第2位が「自民党幹部による選挙応援」(897人)で、3位が「堀江の衆院選出馬表明」(680 人)。この2つを足すと、1位の「日本経団連への加盟」(1017人)を上回り、衆院選関連でLD株購入を決めた人が最も多いという結果になった。

「権威の破壊者」として脚光を浴びたはずの堀江が、“権威集団”の自民党によって社会的信用が与えられるという、奇妙な逆転現象が起こっていた。

ライブドア株で損害を受けたとして損害賠償訴訟を起こしているのは、個人株主だけではありません。機関投資家として郵便貯金、簡易保険、年金を運用する日本郵政公社、年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)もライブドアを訴えています。 情報源は、郵貯・年金積立金をライブドア株で運用する不見識です。

2007年2月13日、日本郵政公社はライブドアに対して、総額10億4000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことを明らかにした。郵政公社が、かつて保有していたライブドア株は292万株。これが、株価下落によって9億4600万円の売却損が生じたというのである。これに訴訟費用をプラスしたのが請求額の10億4000万円だ。

原告は郵政公社が運用を委託した信託銀行となっているが、実質的な原告は郵政公社であることは言うまでもない。

GPIFもまた、2006年12月27日に同様の訴訟を起こしている。

GPIFの損失額はさらに大きく、40億円あまりに上る。GPIFは、ライブドア株を最盛期にはなんと1427万株も保有。63億 5582万円を投じて買った株式を、ライブドア強制捜査後に全株売却して、手元には19億8341万円しか残らなかったのだ。去年のあのライブドア騒ぎのどさくさにまぎれて、国民の大切な金が失われてしまったのである。

通常ならば、株価が下落したからといって損害賠償などできない相談である。だが、両者は、ライブドアが有価証券報告書に虚偽の記載をしたことを問題にしている。相手がウソをついていたから自分たちは買ってしまったというわけで、言い分はもっともである。確かに、ライブドアのやったことは犯罪ではある。だが、はたして郵政公社、GPIFに落ち度はなかったのだろうか。

この記事の筆者・経済アナリストの森永卓郎氏は、本来長期安定運用を第一に考えるべきプロの運用者が、リスクの高いライブドア株に投資したことに疑問を呈しています。ライブドア株が上場廃止になった結果論という見方もできるかもしれませんが、森永氏の主張はもっともだと思います。私が不思議に思ったのは、なぜ郵政公社が新興市場の中から、よりによってライブドアを選んだかの理由です。

安倍総裁になってから造反組の自民党復党が簡単に進んだために、大昔のことのようになってしまいましたが、そもそも先の総選挙は郵政民営化の是非を問う選挙でした。郵政民営化に反対する亀井静香氏の対立候補として、形式的には無所属ながらも、自民党の全面的なバックアップを得て立候補したのが堀江氏です。

こうした自民党の選挙戦略通りに、本当にそう信じていたかは怪しいところもありますが、選挙期間中は堀江候補も、郵政民営化の必要性を必死に訴えていました。したがって、現行体制を維持したい郵政公社の人間にとっては、ホリエモンは天敵のはずです。

その郵政公社を解体すべきと主張した人間を社長に擁する会社の株を、当の郵政公社がガッポリと買い込んだということになります。社長の言動とは無関係に、郵政公社運用担当者はライブドアを、わざわざ投資先として選んだわけです。それほどライブドアを長期投資の対象に相応しい優良企業だと考えたのでなければ、こうした投資判断の説明はつきません。

ライブドア事件が起こって上場廃止になると、個人投資家と同じように郵政公社も損害賠償請求で同社を訴えます。郵政公社運用担当者は、ライブドア株を買った理由を、個人投資家と同じように「自民党幹部による選挙応援」と答えるのでしょうか? その自民党幹部が郵政解体を訴えていたとしても。


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