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産業再生機構冨山和彦専務の歯に衣着せぬ発言と想定外の剰余金処理

2007年03月15日

2003年4月に発足した産業再生機構(IRJC)が、当初予定を1年前倒しして、明日15日に解散します。その解散を前に、再生案件を陣頭指揮したきた冨山和彦専務(COO)のインタビュー記事が、日経産業新聞に掲載されました。 情報源は、『市場規律から逃げるな、再生機構・冨山氏に聞く日本企業改革』(日経産業新聞 2007年3月14日 22面)です。

――日本企業の問題点はどこにあったのか。

「再生機構はまず不良債権を抱え傷んだ金融セクターの問題を、(債権買い取りという)外科手術で解決した。そうしないとフレッシュマネーという血液が循環しないからだ。だが、慢性的問題があった。(1)製造業中心(2)加工輸出型(3)右肩上がりの成長(4)連続的な技術革新――という4つの前提で構築された産業モデルの改革だ。このモデルは自動車や精密機器では効果的だが、不連続な技術革新パターンをたどる産業、例えばIT(情報技術)やバイオでは国際競争力を持てない」

――そのことは企業経営者もある程度認識していたのでは。

「認識はしていた。しかし変えられない。たとえて言えば、ずっと野球をやってきた人たちに、サッカーをやれと言っても切り替えられない。激しく動き、バックスでさえ時折シュートを放つサッカーを、守備範囲が固定した野球の方法で戦おうとする」

後述しますが、冨山氏は基本的なポジションは決まっているものの、ダイナミックに役割が変わるサッカーの例えが好きなようです。

――再生機構は支援先企業で、その体制をどう変えたのか。

「取締役以上の経営陣の選び方を根本的に変えた。年功序列にとらわれず、40~60代の幅広い人材の中から本当に最適な人を選ぶよう心掛けた。そうすることで、我慢していれば偉くなれるという意識を変えた」

――30代以下はなぜ対象外なのか。

「経営には人間に対する洞察力が必要。30代はやはり一般的に言って、経験に基づく洞察力という点で子供が多い。従業員、株主、取引先といった存在も最後は人間だ。六本木ヒルズ族と称されたネットベンチャー企業の悲劇は子供が経営したことだ。人間観が単純で、何でもカネで買えると思った」

20代の若者には起業はできても、色々なしがらみのある問題企業の再建は難しい、ということでしょう。しかし、機構が支援先の企業に送り込んだ幹部の中で、パフォーマンスが上がらずに途中交代したケースがあったことも、冨山氏は認めています。

再生機構の人材については、冨山氏は昨年の週刊AERAの中で、次のように語っています。情報源は、『産業再生機構の仕事人たち』(週刊AERA 2006年7月10日号 12ページ)です。

専務の冨山は、再生機構に「メジャーリーガー」を採用し、束ねてきた。自身、「筑駒東大」という「エリートの王道」を歩いてきた。しかし、こう言う。

「受験は、だれかが用意した答えに時間内にたどりつく力を競う。でも社会に出たら、答えはどこにも用意されていない」

チームリーダー役の「マネージングディレクター」は「昔からの友だち」に就任をお願いした。価値観を共有する人たちだ。

では、若い人材はどう選んだか。

冨山はまず「公のために働くスピリット」を挙げた。次が「ストレス耐性」。さらに、「専門分野の殻の中に閉じこもらないこと」だという。

「サッカーでも、DFが得点することもある。ピンチの時はFWも守る。セクショナリズムはだめ」

若きビジネスマンにアドバイスを求めると、こう答えが返ってきた。

「有名な会社でまじめな部下をしていても通用しない。自分の頭で考えていれば、決断する力が生まれる。残念ながら、これには、マニュアルはない」

冨山氏が言うように、事前に用意したマニュアルにない出来事が起こるのが世の常です。清算業務を残すだけになったはずの再生機構自体も、想定外の出来事に見舞われて頭を悩ましています。情報源は、『産業再生機構は想定外の儲け 利益400億円はどこへ』(週刊AERA 2007年3月19日号 83ページ)です。

「4年間、トータルで700億円くらい儲かっているはず。一応、株式会社ですから、税金も払ってますよ。だから、税引き後なら、まあ、400億円くらいですかね」

今年3月末、予定より1年前倒しで解散する産業再生機構の幹部が明かす。最終的に利益剰余金は、400億円程度になりそうだという。

元々銀行救済の意味合いが強く、だれもが、「こんなに儲かるとは思っていなかったんですよ。ほんとに」(財務省関係者)という。

このため、実は、困ったことが起こっている。この利益をどうやって分配するのか、設立根拠になっている産業再生機構法にはほとんどかかれていない。

再生機構の資本金505億円は、金融機関が預金保険機構を通じて出資したものです。普通に考えれば、利益は株主である銀行に還元するのが適当とも思えるのですが、ことはそう単純ではありません。

合併で最大出資者となった三菱東京UFJ銀行も、

「国が銀行救済のためにやった事業なのだから、銀行が利益を得るって、どういうこと? という話になっちゃう。まあ、合理的に処理していただければいいです」)同行関係者)

銀行側も、決まり悪いというか、ありがた迷惑という感じです。

では、銀行か国庫か。どっちもどっちだが、産業再生機構担当室に聞いてみた。

「今やっているところで、何にもいえないんですけど、ま、いろいろあるんですよ」(産業再生機構担当室)

歯に衣着せぬ冨山氏の発言と比べると、歯切れの悪すぎる再生機構のエリートの答です。おそらく国庫に返納されるのではないでしょうか。話は少し違いますが、ジェイコム株大量誤発注事件でボロ儲けした証券会社は、「火事場泥棒的な行い」との批判を受けて、利益を自主的に返還することになりました。再生機構の株主の銀行も、いまでは批判を受けてまで利益をもらわなければならないほど、窮しているわけでもないでしょうし。


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