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「あるある問題」は関西テレビ民放連除名だけでは終わらずに放送法改正も

2007年04月02日

本日放送のサンデープロジェクトに菅義偉・総務大臣が出演しました。総務省が今国会に提出する放送法改正案で導入される予定の、新たな行政処分が番組のテーマでした。関西テレビの「発掘!あるある大事典Ⅱ」のような捏造番組への対策として、捏造が発覚した場合は放送局に再発防止計画の提出を求めその内容を公表する、というのが改正案の骨子です。

改正案に対しては、報道の自由を規制するものとして、日弁連は反対の立場を表明しています。法案はあくまでも放送局側が自ら捏造の事実を認めることが前提としているので、国家による検閲を強めるものではない、というのがこうした懸念に対する菅総務大臣の回答でした。番組司会の田原総一朗氏は、テレビ局出身者にしては、突っ込みがやや弱いような印象を受けました。

最終的な改正案がどのようなものになるにせよ、番組内容にまで介入を強めようとする政府の方針は、テレビ局が歓迎できないものであるのは変わりありません。こうした行政側の動きに対して、テレビ局も対応に躍起になっています。日本民間放送連盟はテレビ業界の自浄能力をアピールしようと、「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造問題で緊急対策委員会を開き、関西テレビを除名処分とすることを決定しました。

準キー局の除名処分は史上初となるので、異例の重さの処置ということです。部外者が普通に想像すると、業界団体でしかない民放連から除名されることは、不名誉ではあっても、ビジネス上の実害はないように思えます。しかし、民放連の場合は五輪放映権の取得や音楽の著作権処理の窓口も担っているので、その影響は深刻です。情報源は、『関テレ、五輪放送できない?――民放連除名、広告収入激減も』(日経産業新聞 2007年3月28日 36面)です。

民放連は単なる業界団体ではなく、実は様々なビジネスを束ねている。具体的にみると、一番影響力が大きいのは五輪とサッカーW杯の放映権をNHKとジャパンコンソーシアム(JC)を組んで取得している契約だ。

関テレが08年夏まで除名されたままだと、北京五輪でフジテレビ系列がマラソンを放送する場合でも、関テレは放送できない。フジが系列外の放送局に依頼しない限り、関西の視聴者はマラソンを楽しめなくなる。

実際、静岡第一テレビ(静岡市)が除名されていた2000年。シドニー五輪が開催されるため、地元経済界などが民放連に除名解除を嘆願。最終的に、開幕直前の8月に再入会し、五輪が放送された経緯がある。

関西テレビの除名処分はあくまでも無期限です。しかし、静岡第一テレビの前例を考えると、北京オリンピックの放送に間に合わせる形で、来年の夏頃には処分解除となりそうな可能性が高いのではないでしょうか?

第二は著作権利処理。民放連は日本音楽著作権協会(JASRAC)に年間100億円程度を支払う代わりに楽曲を自由に使える契約を結んでいる。除名になると、関テレは独自にJASRACと契約を結ぶ必要がある。使用楽曲をすべて報告する手間もかかり、コストが億円単位で増える可能性がある。

第三は番組映像の送信に使う回線使用料だ。民放連はNTTコミュニケーションズと契約し、東京から地方に番組映像を送る際などに使う回線を共同で借りている。除名されると割安な共同回線を使えないため、支払う回線使用料が年数千万円増加する恐れがある。

テレビ局というビジネスは、コスト面で業界共通のプラットフォームの上で成り立っていることがわかります。アウトサイダーが存在できないビジネス環境は、イノベーターが業界内部からは生まれづらいこととは、無関係ではないでしょう。

「あるある大事典」の不祥事がテレビ業界を全体を巻き込んだ問題となったのと同じく、西武ドラフト問題もプロ野球界全体を揺るがしました。それも、今秋のドラフトから希望枠を撤廃する形で決着を迎えました。

今回の合意は、FA短縮がない希望枠の撤退には最後まで反対していた巨人が、アマ球界や世論の批判に応じて妥協した結果です。ひと昔前の巨人であれば、自分一人が反対の場面でもリーグ脱退をちらつかせて脅しに出るのが常套手段でした。いまの巨人にはアウトサイダーとして存続できる可能性は、なくなりました。自らドラフト問題が意外と簡単に決着したのは、それだけ巨人の力が衰退していることの証拠でしょう。

巨人も一球団として業界協調路線を歩むことは、基本的には正しいことだと思います。しかし、アウトサイダーとなることを恐れない暴れん坊がいない業界には、大きなイノベーションが生まれる可能性も低いのではないでしょうか? 新規参入した楽天も、アウトサイダーと呼ぶには力不足です。業界協調ムードがいきすぎると、業界全体が沈滞していまうのは、放送業界もテレビ業界も一緒ではないでしょうか?


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