日本サッカー協会「こころのプロジェクト」と理念なきサッカーくじ「BIG」
2007年04月03日
日本サッカー協会(JFA)が、「サッカーを通じて子どもたちの心の成長に寄与したい」という主旨で立ち上げたのが、「JFAこころのプロジェクト」です。プロジェクト開始直前の3月29日に開かれた記者会見には、今年度のプロジェクトに関わる「夢先生」として、北澤豪氏、城彰二氏、前園真聖氏、三浦泰年氏、小倉隆史氏の元Jリーガーが参加しました。以下が本プロジェクトの概要です。
このプロジェクトは、元日本代表選手、現役のJリーガー、なでしこリーグの選手、そのOB/OGのほかサッカー関係者の協力を得て、彼らを「夢先生」として小学校に派遣し、「夢の教室」と呼ばれる授業を行います。
授業では、フェアプレー精神や助け合うことの重要性を教えるとともに、夢を持つことの大切さを児童に伝え、それについてディスカッションをしながら子どもたちと交流を深めます。
□「夢の教室」の内容:
[構成]「夢の教室」の基本となる構成はサッカーと同じ90分です。
- 前半の35分(ゲームの時間)
体を動かしながら、課題を達成するために仲間同士が協力すること、相手を思いやる心やフェアプレー精神を学ぶ時間です。- 後半の55分(トークの時間)
夢先生の体験談などをもとに、夢や目標を持つ素晴らしさ、それに向かって努力することの大切さを語り合う時間です。[対象]小学校5・6年生
人格形成において重要な時期である小学校児童、特に目的と手段を合わせて考えることができるようになる、5・6年生を対象とします。
日本サッカー協会が青少年の教育活動に熱心なことには、何の文句もありませんが、その理由は同協会が文部科学省所管の公益法人であるからでしょう。
その文部科学省の指導監督の下で、独立行政法人日本スポーツ振興センターが販売しているのが、サッカーくじの「toto(トト)」です。2001年にスタートしたtotoが、文部科学省の所管になった理由に関しては、櫻井よしこ氏のブログで、詳しく解説されています。
櫻井の難しい説明の他にも、農林水産省(競馬)、経済産業省(競輪、オートレース)、国土交通省(競艇)と、他の中央官庁が財源として公営ギャンブルを持つ中で、文科省も同様の財源を欲しがったのがその理由、という見方もあります。
totoはチケットの正式名称「スポーツ振興投票券」が表すように、そもそも「スポーツの振興に寄与することを目的」として誕生したものです。しかし、売上げ不振のために当初の目的はまったく達成されていないのが現状です。情報源は、『日体協、toto助成、07年度ゼロに』(2007年3月15日 日本経済新聞 朝刊 41面)です。
日本体育協会に対するスポーツ振興くじ(サッカーくじ、通称toto)からの助成金が、2007年度はゼロになることが14日、分かった。売り上げ不振から助成対象が限定されたため、日体協が申請そのものを取りやめた。初年度(02年度)には3億2,500万円あった助成金は、06年度は87万円にまで落ち込んでいた。
totoの売上金額の推移を調べると、完全な右肩下がりであることがわかります。
- 2001年度 643億円
- 2002年度 361億円
- 2003年度 203億円
- 2004年度 155億円
- 2005年度 149億円
- 2006年度 132億円
こうして累積債務を抱えることになってしまった日本スポーツ振興センターが、打開策として発売したのが「BIG」です。情報源は、『景気と指標-Data 今週の気になる数字-132億円 2006年シーズンのtotoの売上金額』(週刊東洋経済 2007年4月7日 24面)です。
そこで、06年9月から国内最高の当せん金額となる1等6億円(キャリーオーバー時)の「BIG」を発売。「BIG」は試合の勝敗を予想するのではなく、コンピュータがランダムに指定するもので、「BIG」発売により1回当たりの売上金額は1.8億円増の4億円前後に回復した。07年には「mini BIG」(1等100万円)を追加し、さらなる拡大を図る。
「BIG」導入により売り上げ減少への歯止めはかかったが、どこで買えるのかわからない、種類が多くわかりにくい、といった課題は残る。また、これまで購入してきたJリーグファンにとって、勝敗を予想しない「BIG」が受け入れられるのかとの懸念もあり、売り上げが急反転するかどうかには疑問符がつく。
いまやtotoの主力は、「投票券」とは名ばかりで運試しの宝くじでしかない「BIG」に成り下がっていたのです。宝くじが誰でも買えるのに、「BIG」の購入が19歳以上に制限されているのも解せません。「mini BIG」という矛盾だらけの安直なネーミングも最悪です。
他の官庁が所管する公営ギャンブルの投票券は、勝者を予想するという点で大人の知的ゲームという要素があります。一方「BIG」で賞金を得るには、対戦成績を分析するといった知的作業はまったく必要ありません。背に腹は代えられないとはいえ、文科省もよくこんな下品なくじを認めたものです。やはり文科省は三流官庁なのでしょう。
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